27.G神々の争いを知る
ツン、ツン。
「おーい、生きてるかぁ~」
ツン、ツン。
「さすがに《神気》を浴びたら死んだかなぁ~。」
ツン、ツン
「あ~あ、折角迷宮踏破者が出たかと思ったのにぃ~。」
ツン、ツン。
「ヤメイ!」
汚い物みたいに枝でツンツンするのは止めるんじゃ。
「おお、生きてた~。でも何言ってんのか分かんないなぁ。仕方ないからホレ。」
羽根つき巨人の手から我に向かって光が放たれた。
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ピコーン
スキル《念話》を獲得しました。
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(ぬおぉ、なんなのじゃ。)
「お、ちゃんと《念話》が使えるようになったね。」
(お?おお。おぬしは何なのじゃ?巨人共の仲間ではないのかのぉ?)
我が生きているってことはすなわち今は我の敵ではないと思うがのぉ
「君の敵ではないのは確かだね。いきなりで悪いんだけど迷宮踏破者である君の願いを叶えてあげる代わりに僕のお願いを聞いてくれないかな?」
こやつが何者か分からんがもし本当に我の願いを叶えてくれるなら成長が止まった悩みが解決するんじゃが・・。
(それは我のどんな願いでも叶えてくれるのかのぉ?)
「不老不死とか自分だけの世界がほしいとかは無理だよ~。」
(我をもっと強く、大きくすることはできるかの?)
「う~ん、君は器の限界まで強くなってるから器を大きくする必要があるね。強くなる代償にスキルとステータスが必要だけど良いかな?」
(それは我の願いと違って弱くなるではないか!我をバカにしているのか!?)
「違う、違う。スキルとステータスを使って器を大きくしてもっと成長できるようにするんだよ。」
(つまり、一時弱くなるがまたレベルをあげれて強くなれるということか?)
「そうそうその通り!」
(うむ、それでおぬしの願いとは何だ?)
「お、やってくれ気になったぁ?」
(まず、お主の話を聞いてからじゃ。)
「ふんふん、つまりかなりやる気ってことだね。因みに君や勇者や魔王って知っている。」
(なんじゃ、話が急に飛んだのぉ。よく分からんが小型巨人が勇者って呼ばれておったのぉ。魔王については名前を聞いただけじゃな。)
「なるほど、なるほど。僕のお願いはその勇者と魔王を倒してほしいんだよ。」
(勇者に関しては元々そのつもりじゃが。何故魔王もなのじゃ?どっちか片方ならまだ分かるんじゃが・・。)
「え、説明が必要?いや必要ないでしょ。」
(魔王も勇者と同じくらい強いのなら我より圧倒的に強い相手を二人も倒せと言っておるんじゃ、聞いたからと言ってどうにかなるわけではないが理由くらい聞いても良いと思うんじゃが?)
「分かったよ~。まず勇者と魔王が何か説明するね~。勇者と魔王は神の代理戦争をする者なんだ~。神が代理を立てるのは理由はいろいろあるけど神自身が戦うと世界が壊れてしまうからなんだねぇ~。それでなんで神が争っているかと言うとこの世界に元々いた管理者がいなくなってその代わりの者を誰が送り出すかを決めるためなんだぁ。それで勇者と魔王を倒してほしい理由は彼らが選んだ候補者に管理してほしくないからだよ~。」
(全く分からん。なんでその争っている神が管理者を選ぶのが気に入らんのじゃ?)
「だってさぁ。この争いの勝者の条件はもっとも信仰する信者が多いものって条件なんだけどさぁ。そしたらあいつら簡単だからって自分を信仰する信者を増やすことじゃなくて自分を信仰しない信者を減らすことに力いれてんだよ!それで自分の信仰の象徴である勇者や魔王に力を与えて相手を滅ぼそうとさせてるんだから!そんなヤツらに管理者を選んでほしくないわけね。」
(それなら我が勇者や魔王を倒しても意味ないぞ?)
「チッチッチッチ、もっと深く考えないと。勇者や魔王を倒したらスッゲぇ奴がいるって認識されて畏れられるわけ、畏れる者に対して人は神のように扱うよな。つまり信仰されるんだよ。そして勝者の条件はもっとも信仰する信者が多いことでそれがあいつ等二人でなくても良いんだよ。あいつらは気付いてないけどねぇ。」
(え~と、つまりおまえが管理者を選びたいのかのぉ?)
「え?いやだよめんどくさい。」
(それじゃ誰が選ぶんだよ!)
羽根つき巨人は何も言わずにビシィと音がしそうな勢いで我を指差して来た。
(ヘ?我か?)
「恐らく必然的に勇者と魔王を倒したら君に信仰が集まると思うからさ。」
う~む、勇者は元々倒すつもりじゃったし、勇者を倒せたら魔王も何とかなるかのぉ。
管理者云々はそのときに考えるとしようかのぉ。
(それで魂の器とやらを大きくしてもらわんと勇者と魔王は倒せんと思うんじゃが・・・。)
「だから報酬は先払いにしてあげるよ。もちろん監視は着けるけどね。」
(分かったぞ、それなら我の願いを叶えてくれ!)
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