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クソがつくほど弱いヒーロー  作者: 東京の害児
2/3

2 悪戯

私の潜在能力である、攻撃性鉄鋼武装は名の通り攻撃には優れているが防御は障子だ。主にハイジャンプをした際に生成される翼《機械翼(メタウィング)》で空中戦に持ち込み、指を閉じた状態で掌から発射される《超磁界砲(コイルガン)》で相手を屠る、それがセオリーだという。他にも色々なことができるらしいが、サイボーグで検索すれば大抵の能力が見つかる筈だ。


またまたある日(一人暮らしの私の自宅に浮浪者の彼を泊めている悲惨な状況のある日)、私は学校に行くため早朝に起床したのだが、楓くんは既に何処かへ行ってしまったようだ。私は唯一無二の親友、代田(だいた) 菜々(ななか)と自宅の玄関で待ち合わせをして登校した。


───USAテキサス州、とある雑居ビル。

所謂(いわゆる)テロ集団である秘密結社『Melte(メルテ)』。その幹部らが会議をしていた。まずは議長?が、

「成果を確認する。東京港区の壊滅状況は…?」

と提起したが、幹部らは皆沈黙を保っていた。そのうちの1人が、

「計画が事前にバレてて、数人のマッチョヒーローに阻止されました…。」

「ありえん!もう一度テロ部隊を送れ!早く!」

「し、しかし…。」

会議室はざわめきを起こした。そんな中、突然施錠中の部屋のドアがパカンと開いた。

「誰だ?」

開けた華奢な体つきの少年───楓くんはのこのこと幹部らが囲む会議机に歩み寄る。

「…侵入者だな。死ね」

議長?は指を彼に向け、とてつもない勢いでビームを放つ。しかし、

「ボクのチャリンコを壊した罰!」

とくだらなすぎる恨みを告げた楓くんはビームを放った議長?の追撃を全て眼力で跳ね返し、会議場諸共雑居ビルごと崩壊させた。


『HQ…!テキサス州支部が…滅亡しまし…た…。』


一方、私は呑気に授業を終え、部室に一番乗りである。巨大な鞄からサックスを取り、音楽室に向かう。すると、階段の踊り場で突然知らない男子に壁ドン(人生初)をされた。

「お前好きな人いるか?」

呆然と受け身をしている私に向かって彼はもう一度告げた。

「好きな人はいるか?」

「いる」

と正直に答えた。勿論相手は数人いる。アイドルとか二次元etc

「俺はお前が好き」

「うん」

彼はさらに顔を近づけ、

「付き合え」

と迫ってくる。流石に鬱陶しいので、

「やだ」

と軽く返すと、彼は無邪気に泣き去って行った。人生色々あるもんだ。


部活も終えた私は、校門を潜り、夕食を食べに近くのファミリーレストランへと向かう。最初の交差点辺りで、見知らぬ女の人に待ったをかけられた。

「ヒーローバッチを付けてるってことはアナタヒーローよね」

その女の人もヒーローバッチを付けている。

「手合わせしてくれる?」

「なんで?」

私は意味不明を主張した。

「私が手合わせしたいからに決まってるじゃない!」

「ふぇ」

何もする間もなしに彼女の手に持つ金棒に顔面を強打される。しかも金棒を操る彼女自身のパワーが異質で、音速で100m程度飛ばされた。

女の人はなんだそりゃ、と退屈そうに立ち去ろうとしたが、私はすぐさま立ち上がり超磁界砲を連射する。

「ちょっと!アタシの大事なボディに傷入れんなよ」

「ごめんなさい…。」

女の人は瞬時に私の目の前にきて、

「弱小ヒーローで有名なミオリちゃんだよね?ちょい強くなったの!」

「お願いします、これ以上は勘弁してください」

「じゃあ避けてみろ!」

女の人は金棒を高速回転させて私を屠ろうとした。そのとき、私と誰かが入れ替えられたのか、私の代わりに誰かが吹っ飛ばされた。

「なんだァ?身代わりですか?」

女の人はゆっくりと吹っ飛ばされた相手───尊き師匠のもとへと歩く。

「大丈夫ですか??!」

私も女の人に続いて駆け寄る。

「…折角ファミレス奢ってくれるっていうのに、ムチさんのせいで足止め喰らってたのか。」

女の人はムチさんというらしい。それにしても師匠はまるで金棒で打たれた形跡がない。

「待てよ、アタシの相手をしろ!」

「美織ちゃん行くよー!」

ちょっ、と私は楓くんに手を引かれ、事を済ませた。


今日の夕飯はカフェレストラン『ギミックホスト』の、激安バイキングである。私の顔面はやや左方向に潰れかけていたので、無理矢理空気を入れて治癒した。

「ねぇ美織ちゃん、明日何があるか知ってる?」

唐突に質問され、ポカーンとしていると、

「昇段試験だよ!もしかしてノー勉…」

「え、筆記試験も明日?」

昇段試験とは、ヒーローに貼られる《段位(ランク)》を決めるためのテストだ。段位は全部で9種類ある。下位からE,D,C,B,A,S,SS,SSS,X。また試験内容は2種類あって、実技と筆記。文字通り力量や対応力を測るのが実技、ヒーローとしての知識を問うのは筆記である。無論、現在私はE段。

「まぁ頑張るんだ、弟子よ」

「おうやで師匠!」

美味しそうにココアテイストパフェを頬張る楓くんを微笑ましく眺めていると、後ろから肩をトントン叩かれた。反射的に後ろを振り向くと、

「田園ちゃん!」

親友の代田だ。可愛さ段位でいうと私より2段ほど上で、身長は楓くんより少し小さいぐらいだ。具体的には161cm。

「菜々花、どしたん。」

「その子誰??!彼氏??」

代田は楓くんを指差す。

「いや…」

私が口ごもっていると、

「バイト仲間だよ。ほらほら友達さんもこっち座りなよ」

「超声可愛いじゃん!」

代田は代田んにも楓くんの隣にストン、と座る。勿論ウケを狙った訳ではない。

「ねね、腕相撲しようよ!私男子によく勝ってるから結構強いよ」

代田は更に腕を構えた。勝敗は見えているのだが。

「いいよ」

私は流れ的にカウントダウンを始めた。

「3」

「2」

「1」

「ファイト」


その瞬間、テーブルの食器が一気に浮き上がる。


「きゃぁぁぁぁぁえぇぇぇァァァァァア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!」


「ごめん」

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