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クソがつくほど弱いヒーロー  作者: 東京の害児
1/3

1 問い

皆さんは、スポーツをやっていますか?私は全くできません。筋力とか持久力は少しでもありますか?私は少しもありません。


───東京都港区、品川駅のすぐ側にあるタワーマンション。皮肉にも貧相な私はそこに住んでいる。現在近所の高校に通っていて、1年生だ。性別は女。身長は151cm、体重は善意による非公開。(決して50kgには届いていない。)髪色はモカベージュにインナーカラーのナチュラルクリムゾン(紅色)で、赤いカラコンを入れている。本名は、田園(たぞの) 美織(みおり)。ニックネームは《T☆A☆Z☆O☆N☆O》。


そして、私はヒーローのバイトをしている。


2025年現在、北朝鮮やイスラム国という近隣の国々によるテロ活動が勃発している。残念なことに我が国の憲法九条は未だ改正されておらず、日本は軍隊を持つことができない。そこで防衛省は国家直属のヒーローを募った。結果はこうだ。

ヒーロー。唯のヒーローではない。各個人、何らかのパワーを持っているのだ。例えば滅茶苦茶筋力が強いだとか、サイキックだとか…。私はといえば、無に近い。何故雇われたのか今一度問い質さないといけない。だが私は職務を全うしている。可能の範疇で。

無論、現在5時吹部を終えた私は街の平和を守るべく適当に徘徊しているのだが…。


「オイオイオッサン、金持ってるか?」

早速仕事を見つけた。こそりこそりと近づいてみる。どうやら20代前後のDQN(ドキューン)(不良)と40代ぐらいのサラリーマンの揉め合いらしい。

「い、いくらがいい?」

「全部に決まってんだろ」

オッサンの方は言葉が出なくなっている。私はDQNの背後に回り、首を絞めた。

「誰だテメェ!」

「ごごごめんなさいっ!」

チキン中のチキンである私は思わず手を解いてしまった。いつも通り、逃げるのがセオリーなのだろう。

「ネーチャン年いくつや!めっさ可愛いな」

私もオッサン同様、言葉を失う。すると、

「い、嫌がってるだろ」

オッサンが怖がり混じりに止めようとした。無理があるよ。

「オッサン、歯ァ食いしばれ?」

「あっあっそれはおやめ下さい…」

オッサン絶体絶命、私がなんとかできる筈もない。DQNがパンチを放った瞬間。誰かがDQNのパンチを小指で止めた。思わず《は?》と息を漏らすと、そこにいたのは

「オッチャン大丈夫?」

と何とも可愛らしいショタボで話しかける少年だった。身長は私よりも高い(当然)が、年下に見える。あどけない童顔に下北沢風なパーマをかけるホワイトアッシュの髪の毛はなんか美しい。

「誰だァ?邪魔すんな糞ガキ」

と言葉の末尾辺りで、DQNは目の前の高架橋の支柱に飛ばされ埋まった。

「ボク高校生なんだけどな…。」

見惚れていると、少年は私の方を見てくる。

「あ、なに?君もオッチャン助けようとしてたの?」

「あの…不甲斐ないんですが…私、ヒーローなんです…。」

すると、少年はにこやかに言った。


「不甲斐ないなんで言うな!勇気があれば誰だってヒーローなんだ!立派だよ!」


それを機に私は少年───(かえで)くんの弟子入り、しました。



楓くんは、見ての通り最強クラスのヒーローである。しかし知名度は身内レベルなので、私はつくづく独占欲を抱いていた。そんな彼との弟子入り生活数日目のことだった。

普段通り通り魔にボコされていた私だったのだが、ボコされ果てた私はあることに気がついた。

「てかなんでお前みたいな奴がヒーローなんだァ?」

散々に鼻血を垂らし、制服のセーラーカーディガンの黒色を赤色に染めた私はまるで発作を起こしたように立ち上がる。

「教えてやろう。」

「な、なんだその無様な姿…」

私はまたもや発作を起こしたようにその男のすぐ側に瞬間移動すると、

「早いっ!」

「ドカーン」

言葉通り、私達が戦闘している河川敷が爆発した。


私の能力の発動条件が判明しました。と報告してみる。先程、私は発作を起こしたように瞬間移動や復活、起爆をした。それは私の固有潜在能力《攻撃性鉄鋼武装(アタッカーファンクション)》によるものだ。今まで私は拘束や防御と逃亡をメインウェポンとして生きてきたのだが、初めて攻撃を試みたことで見出した答えだ。だが、それを持ちにせよ私は弱すぎるため使いこなすのは難しかった。というか無理に近かった。


「君の能力と同系統の能力者がいる、繋げたから聞いてみなよ」

尊き師匠、楓くんは何方かに発信しているようだ。因みに私は人見知りなので多分ろくに会話が成立しないだろう。

「おっメイくんおひっさー!でさでさ、ちょい相談の持ち主がいるんだけどいい?」

すると、電話越しになにやら笑い声がする。

「弱小ヒーローで、ボクの弟子!」

ボロクソに煽られているのに、彼には何故か殺意が沸かなかった。

すると、楓くんは軽く投げるようにスマホを寄越してきた。

『いつも弟がお世話になっております…相談とは一体どのような要件でしょうか?』

ツッコミどころ満載だったが、なんとか平常心を保つことに成功した。

「簡潔に言いますと…攻撃性鉄鋼武装の能力者としてその使い方を知りたいんです」


『は?女の子?男かと思ってた』


「使い方を…教えて欲し…い…」


この後本題に入るまで1時間かかりました。

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