エピローグ
短いです。
2/2タイトル変更しました
グゥとアミィのお腹がなったので、俺とハッサクさんは彼女を連れて階段を下り、店に入った。
「とりあえずなにか食べなよ。先のことはゆっくり考えよう」
「…………うん」
店の椅子に座ったアミィは、恥ずかしそうに顔を赤らめ、お腹をおさえてうつむいていた。
「何作りましょかねぇ?」
「ご飯ってまだあります?」
「うーん……、茶碗の半分ぐらいわ」
「じゃあ目玉焼きのやつでいいんじゃないですか?」
「ほなそうしましょか。ご飯少ないからダブルにしときますわ」
ジュウジュウと卵が焼ける音が店内に響くなか、俺たちは終始無言だった。
「ほい、おまたせ」
「あ、コロマンサ……」
出された料理を見るなり、アミィが口を開く。
「コロマ……なんですのん、それ?」
「え……。これ、コロマンサじゃないの?」
あとで詳しく聞いてわかったのだが、コロマンサというのはアミィの世界の料理で、パスタなんかにポーチドエッグを乗せた料理のことらしい。
ちなみにパスタはマカロニやペンネみたいなのでもいいし、スパゲティのような麺でもいいのだとか。
もしそのコロマンサとやらが、ご飯に目玉焼きを乗せた料理だったら、言語翻訳能力で目玉焼き丼とでも訳されてたかもしれないな。
「コロマンサ……コロマンサかぁ……」
何度かアミィからその名前を聞き、ハッサクさんが呟く。
そんななか、アミィは出された料理をスプーンですくいながら、パクパクと食べていった。
そこそこ速いペースで食べているにもかかわらず、アミィの仕草にはどこか気品が感じられた。
あと、見られていることにも特に抵抗はないようだった。
「ありがとう。コロマンサとはちょっと違ってるけど、美味しかったわ。えっと……」
皿を空にし、静かにスプーンを置いたあと、アミィは少し困ったように俺とハッサクさんを交互に見た。
そういえば、まだ名乗っていなかったことを思い出す。
「ごめん、名乗るのが遅くなったね。俺は鷹山勇次でこちらが桃谷八朔さん。俺のことはユージと、彼のことはハッサクさんとでも呼んでくれたらいいよ」
「そう。ありがと、ユージ、ハッサク」
アミィが食べ終えた皿をカウンターに持っていくと、ハッサクさんはまだ何かブツブツいいながら腕を組んで虚空を見上げていた。
「ユージさん、ワシ決めましたわ」
ほどなく、ハッサクさんが口を開く。
「ワシ、目玉焼きのやつの名前コロマンサにしますわ。響きがええから」
「お、いいですね」
「えーと、アミィはん……、でしたかいな? コロマンサっちゅう名前使てもええでっしゃろか?」
「別にいいんじゃない?」
「よっしゃ! ワシ、なんかいけそうな気がしますわ!!」
ま、俺が手を引いたら今日にでも潰れるんだけどね、この店。
「ハッサクさん、あまり無理をせずぼちぼちやっていきましょうか。アミィも、しばらく休んで、先のことはゆっくり考えればいいよ」
「そうね。ありがと、ユージ」
この日、俺は長年勤めた会社を辞め、ハッサクさんは店を閉めようとした。
そこに俺が共同オーナーとして名乗りを上げ、なんだかよくわからない内にアミィが転がり込んできた。
ピンクトップとアロハデニム? そんなのはどうでもいいや。
「ほんと、1日でいろいろあったよなぁ」
だがこの日がまだ終わっていないということを、俺はもう少しあとで思い知らされるのだった。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
これにて毎日更新は終了させていただきます。
しばらくお休みをいただきまして、第三章は2/12(月)~2/16(金)に連続5話で更新予定です。
それ以降はおそらく不定期にりますが、一章が5話前後になりそうなので、一章分のストックができたら月~金とかで毎日更新という形にしていこうかと思います。
最低でも月に一章は上げていきたいと思いますので、今後とも応援よろしくお願いします。