俺でよければ気場巡回にお供しよう前編
2月になってしまった。
29の日に投稿。
この間新調したばかりのスマフォの画面が欠けていた。
買ったばかりだったのに。これから2年は機種変できないのに。
そしてなにがムカつくというと、自分の預かり知らぬところでひび割れていたことだ。
欠けたのは俺の責任じゃない…。
修理代は3,200円也。
…もう少しボロくなるまでこのまま使うか。
そういって結局次の機種変までそのまま使うこととなるのだった。
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なんでも蒼宮さんは、深夜の活動できる時間はほとんど部屋から出ることはないらしい。
その理由は彼女曰く「俺の傍から離れるのが怖い」らしい。
少しなんともいえない気持ちになる。
俺が蒼宮さんは縛ってしまっているのだろう。
今度叔父に寝ている俺を車に担ぎ入れて、彼女を夜のドライブにでも誘ってもらうよう頼んでみようか。
それよりもまずは室内でできるアイテムを持ち込んで有意義な時間を過ごしてもらうべきだろう。
「いやそれはバカでしょ」
俺が自室の20インチ以上のテレビと据え置き型ゲーム機を担いでいる光景をみた莉音が吐いたセリフだ。
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昨夜の大雨が嘘だったかのようによく晴れた翌日。
廊下でとある男に俺は呼び出された。
「おっす」
「…どうもです」
意外なアナログ派の佐伯湊だ。実際はケータイの類を所有していないだけなのだが。
「お前さ、週末ヒマ?」
「今週?」
いきなり本題を振ってくるのは実に彼らしい。
しかしこのように前もって誘われるのは初めてだ。
「空けられないことはないけど…」
「お、マジ?」
「まあ、大して重要なこともないし」
「じゃあよろしくな」
翌日、佐伯から日曜9時に駅前で集合という約束を取り付けられた。
そして当日ー
俺は待たせたら悪いと思って早めに家を出ていた。人に待たされているとき、往々にしてスマホをいじるが、彼はそれを持っていない。
暇つぶし道具を有していない分、待たされた時のストレスはたまりやすいかもとなんとなく思った。
結局20分前に目的の場所についてしまい、俺が佐伯を待つこととなった。
佐伯が到着すると、さっそくその駅から在来線に乗った。
今日は主にパワースポット巡りをするらしい。バスケ部の県大会が近いので、要は必勝祈願というわけだ。
「でもなんで俺といくの?」
「えー、なんか詳しそうじゃん」
「いやいや……」
どういうイメージで見られていたのだろうか。
修学旅行でくらいしか神社や寺を巡った覚えはない。
最近は初詣でさえ敬遠しがちである。
「部の奴ら誘っても、帰り寄り道して疲れるの目に見えてるし」
「ああ……」
今回は「遊びにいくこと」とは混同したくなかったようだ。
「一つ目はどこにいくんだっけ?」
「とりあえず近場っしょ」
佐伯は薄い雑誌を指して見せた。
恋愛、安産、縁結び、商売繁盛、夫婦円満、厄除開運の御利益があるいう寺院がー
「…肝心の必勝守護がないんじゃないかな」
「あ、マジ?」
しかし縁結びと聞くと様々な因果を想像してしまうものだ。
場合によっては、相手との相性次第では悪縁と判断され新しい相手と縁を結ぶよう神が働きかけるそうだ。
神に祈ってまで縁を持ちたい相手がいない俺ではあるが。
「二礼二拍一礼って知ってるか」
「あ、はい」
賽銭箱と鈴を前にして、5円玉を放って去ろうとしたときに佐伯にたしなめられた。
向き直り二礼と二拍手。
年末年始の雑踏の中皆がやっていれば俺も倣うが、こうも閑散としていると形式ばって参拝するのは少し憚かれた。
恥ずかしいとは似て非なる感情。言葉が見つからない。
「しっかり頼むぜ。俺の県大がかかってるんだからよ」
「でもここは必勝守護の加護は特にないのに」
そういいつつも歩いていると、離れたところに巫女さんの姿がみえた。
そういえばしばらくおみくじは引いてなかったな。
「おみくじ引いていかない?」
「パス。ここじゃ必勝守護の御加護はねえし」
「そうだったね…」
次に赴いたパワースポットはなんとかの神剣が祀られているとされる神社。
「兵共よ…」から始まる名言を残した武人の墓があるとかないとか。
ここではおみくじを引いておくことにした。
「10番」
佐伯が巫女さんに引いたを番号告げると、俺たちとあまり年の差がなさそうな巫女さんが愛想よくみくじ紙を渡してきた。
「んー…」
微妙な面持ちだ。
かくいう俺は…。
「えっと…」
ええい、番号が書いてある方とは反対側が出てきた。指でくるくるまわす。
「…1番」
果たして俺の運勢やいかに。
今まで何回か小説もどきを書いてはみたものの全て未完。
この話は完結させて半端者を卒業したい…です。