俺でよければせめて点滴の代わりくらいになります
初めての投稿です。書き方がよくわかっていません。
誤字等はできるだけ修正したいです。見づらいなどどうかご容赦ください。
現実でも爆死しました。
(今日もよく眠っておるわ)
俺は足音を忍ばせながら、ベッドの傍に寄った。彼女が目覚める様子はない。
亜麻色の髪を腰近くまで伸ばした彼女は、2DKの間取りのマンションの一室のベッドで仰向けに寝ており、その隣には簡易な敷き布団があった。
俺はそこで横になると、スマホを取り出した。通知が一件。
ラインではなくとあるソシャゲのスタミナが満タンになったという通知だった。
以前の俺であればこれを見た瞬間、慌ててそのゲームを起動させていたものだったが、今は違う。
そのゲームをやっている時間が、彼女の貴重な活動時間を奪うことになる。
俺はアラームを6時30分にセットし、スマホを横に置くと瞼を閉じた。
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室瀬千博。男性。17歳。
小心者でヘタレ、特に異性に対して。
流行に乗せられやすいが、飽きっぽい。特に物を収集することに対して。
熱しやすく冷めやすい、特にアニメに対して。
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この男は一旦はまれば、関連する商品を収集こそすれど、どこかがさつな一面があると友人の片桐氏は語る。
彼が室瀬宅へ遊びに行った時のこと。
「この漫画の1巻なくね?」
「買ってないから」
そう千博は答えたが、その漫画の既刊は最終巻までほかすべて揃っている。
理由を尋ねると、1巻目の内容はアプリの試し読みで知っているそうだ。
「これは8巻しかないぞ」
「7巻まではアニメ化してたよ」
「9巻はどうした?これ16巻まででてたろ」
「その載ってる雑誌を妹買ってたから」
「……。じゃあ、この5巻しかないやつもそうか?」
「残りは妹の部屋にあるよ」
「なんで?」
「妹が揃えてるから」
「じゃあこれもそっちに置いとけよ」
「いや、それは俺の」
「……は?」
「それだけ俺が買ったの」
片桐は裏表紙を見ると、確かに「兄」と大きく書いてあった。
室瀬家の所有物争いの名残だろう。
「でもほかのが妹の部屋にあるのら、これも置いとけよ」
「いやそれは俺のだから」
「うわあ……」
後日、片桐の反応が気に留めたのか千博はその「5巻目」を妹の部屋に納めたそうだ。所有欲もブレブレである。
ちなみに彼の血液型はO型だ。
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千博は比較的寝起きはいいほうである。なぜならアラームが鳴る瞬間に目覚めるからだ。
「おう、おはよう」
別室ではいい香りがした。白米に味噌汁、鮭の切り身、ちょっとした惣菜としてひじき。お手本のような朝食だ。
「来てたんだ」
「ああ。連絡したんだが、お前もう寝ちまってたよ」
「ほんとだ」
確かに叔父から通知は来ていた。
「それ食べる時間があるってことはまだ出ないんだね?」
「ああ。お前食っていかないのか?」
「いやここでそれ食べると、うちの分入らなくなるし」
「せっかくお前のために作ってくれたんだぜ」
「いやいや叔父さんにでしょ?」
それを言うと叔父は目を細めて、ふーんといった。
「だったらこれも俺がもらうな」
行儀悪くはしで指したその先にはもう一匹、叔父とは別の鮭が並んでいた。
「……鮭好きだからやっぱ食べる」
千博は相変わらず横になっている亜麻色の髪の女の子のほうを見ると、「いただきます」と呟いた。
蒼宮一凛。女性。17歳。
千博が起きている間、彼女が目覚めることはなく。
彼女が起きている間、千博はまだ目覚めることができない。
千博が蒼宮と直接話をすることができたのは出会ったその直後のこと。
それからおよそ2週間が経とうとしている。
サブタイトルそのうち直したいです。