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私と電車と不思議な力
山手線からの乗り継ぎを待つ西武新宿線の最終電車は
酔っぱらった大学生や
仕事帰りの疲れ果てたサラリーマン。練習帰りのビジュアル系なのかなんなのかわからないようなバンドマン達を乗せ、終点の新所沢を目指して発車した。
ホウキを持った黒人と
チリトリを持った白人の
奇抜なTシャツを着た大学生風な少年はシートに浅く腰掛け、自分以外には誰もいないと、いった様子で携帯電話で騒がしく話していた。
私は少年の前に立ち、なにもないような顔をして読みかけの短編小説を開いた。