スズメ親分
ごく平凡で当たり前の生活の中に、実は物凄く奇跡的な事がおきる可能性をいっぱい秘めている~。
それに、ある日気づいた主人公が繰り広げる、チョッとコミカルなファンタジーにも似たお話です❗
誰もが経験するかも知れない不思議な世界が、人と人との絆を繋いでゆきます❗
さぁ、一緒にミラクルパワーの旅へ出ましょう❗
テルメの空は限りなく美しい。
テルメの上を流れる少し碧海ががった雲の波を、かなりの低空飛行で野性の鳥達が群れをなして上手く乗りこなしてゆく。この特別なパラダイス劇場を観戦するのが大好きで、私は良くテルメというこの温泉の露天風呂に遊びにくる。
もちろん誰も誘わない。
何でも悩みを打ち明けられる親友とやらと勘違いをしている女友達や、相思相愛でたぶん結婚という安全な確約を取り合うであろう恋人にも、会話という雑音で邪魔されたくない不思議な空間。
ここでミラクルな出来事は始まった。
テルメに行くと先ず、私はサウナに入る。
かけ湯もせずに熱い砂漠の世界に突入する。運が良いと、この平日夕方の時間帯は誰もいない。4月8日、少し生ぬるい小雨が舞うあの日も、そんな運が良い情況に遭遇した。ドライサウナ室にソッと足を忍ばせたが物音ひとつしない。(良かった❗)素直に喜べる。
運が悪いと脳が認識する感覚を思い浮かべるとかなり落胆する自分がいる。数名の「常連」と呼ばれるココのサウナの主が狭い場所を占領している事があるのだ。入った瞬間にひどい騒音の汚い言葉が飛び交っている。「常連」達は、この窮屈な砂漠の世界で色々な物を共有しあっている。
たとえば氷。誰かが大きめのタッパーに四角いキラリとした氷をぎっちりと詰めこんで持って来ている。それを皆に当たり前のように配る。そして最後に「常連」の仲間じゃない私の方をチラ見しながら様子を伺って来る。私は、つかさず寝た振りをして絶対に顔をあげない。目があったら最後、にっこり笑ってしまうかも知れない自分がいることが恐ろしい。目があったら最後、
「氷、冷たくて美味しいわよ!おひとついかが?」
声がかかる。そしてめでたく「常連」の仲間入りだ。氷の誘惑は「常連」の仲間入りへの儀式なのだ。そうなったら最後、本当にココへは二度と来られなくなる。だから何としても阻止しなければならない。私はテルメの空が大好きだからだ。
4月8日は誰もいなかった。幸福感で満たされ、ふぅ~と熱いマットに腰を下ろすや否や、ぎぃーと入り口のドアが重たく開く音がした。慌ててバスタオルを頭からかぶり下を向いて寝た振りをして目を瞑って様子を伺っていると、なんと、その女は私の隣にゆっくり腰をかけた。狭いとは言っても50席はあるサウナ室。私の位置は4段あるヒナ段の一番下右側で、テレビも極端に見ずらい。
なのに何故隣にー。目をうっすらと開けて様子を伺うと、そこには猫背の老婆がいかにも何か話しかけたそうに、キョロキョロとしている。その前に一本の杖が無造作に置かれていた。
(このおばあさんは、杖をついてヨロヨロとココへ入って来たのだろうか)一瞬、脳裏に黒い霧が散布する。(勘弁してもらいたいな~なにゆえに私の隣にわざわざと‥)とにかく寝た振りを続行するしかない息苦しい雰囲気が充満した。
作者の私(紫式部)は、実生活において、あるバンドのボーカリストでもあり、歌を通して人の心を癒したい音楽セラピストでもあります。
そして、ある時は占い師でもあります❗
この度は、その長年の経験を生かし、どうしても語りたい事があり小説という形で執筆させて頂きました。
読んで下さる皆様にとって、少しでも愉しいと思える時刻造りに参戦したいと考えます❗