01.プロローグと変化
あらすじなっが!
冒頭に書いてあった文章をそのまま貼り付けたら文字数ギリギリだった……。
今度修正しておきます。
(あとエピローグとプロローグを間違えて書いてた恥ずかしい)
これは一年前から少しずつ少しずつ書いてきたもので、小説を書いたのはこれが初めてという作品です。
一年かかってはいますが、一ヶ月に一度、加筆するかどうかというレベルだったで、まだ最初のダンジョンすらクリアしていません!!!
どうしてこんな事になったのだろうか……。私は今、殺人の容疑をかけられ裁判所の法廷に立たされている。
容疑の内容は「恋人を殺害した殺人容疑」らしいのだが……。
そんな事あるわけがない、私は誰よりも彼を愛していたし、彼の嫌がるような事は一切した覚えがない、そもそも、もしも彼の身に何か起きたのであれば例えそれがどんな些細な事でも一つ残らずチェックするほどに大切にしていた。
そんな私が彼を殺すなんて事はもっての外であり、どう間違ってもありえないのだ。
……だというのに、警察はそんな私の主張を一切認めずほとんど一方的な押し付けで有罪判決が下った。
実際に刑務所に服役してからも、私は自分の置かれた状況や、恋人が殺されたという事実を認めることができず、ほとんど実感を持てないまま一ヶ月ほど経った。
そしてある日、更なる追い打ちをかけるような事件が起きる。
「○○ ○○、出ろ」
いつもなら一日の予定が終わり、囚人達はそれぞれ割り振られた部屋で僅かばかりの自由時間を過ごしているはずだったのだが、その日だけは違った。
「……あの、今日の業務はもうおしまいなのでは?」
恐る恐る私は返事をする。
というか、突然の呼び出しに驚くなという方が無理だろう。
刑務所という所はとにかく時間に厳しい場所なのだ。
入浴時間、食事時間、運動時間、就寝時間、どれを取ってもほぼ一分の狂いもなくきっちりと時間分けがされている。
そしてそれは囚人の自由時間も例外ではなく、こうして監視員が時間外に訪問してくる事自体が珍しいのだ、その上自分だけを名指しされるとなれば「何かの懲罰でもあるのか」とつい身構えてしまう。
しかしそんな私の心中はお構いなしに、監視員は相変わらずの口調で言った。
「余計な事は喋らず、黙って着いてこい」
まるで下等生物でも扱うかのようなぶっきら棒な接し方だ
私は未だに監視員とのこういった関係に慣れることができていない。
まあ、これ以上反論をして反抗的な態度と取られても困るので、私は監視員の後を黙って着いて行く。
まだ八月に入ったばかりなので、日中に行われる野外作業はまさに地獄なのだが、それでも二十時を過ぎる頃には既に夏の夜の涼しさを感じられる。
……はずなのだが。
「……さむっ」
監視員の後に続いて部屋を出たまでは良かったのだが、今歩いているこの殺風景な廊下に変わってから、気温が一気に八度は下がった気がする。
……そもそも、ここはどこなのだろう? 刑務所に来てから一ヶ月ほどになるが、この通路はまだ通った事がない。
周囲に扉らしい扉が無い所を見ると、やはり「懲罰部屋」と呼ばれる独房に入れられるのだろうか。
でも、独房に入れられるような事をした覚えはないし。
そういえば、自分が気に入らないと思った囚人を遊び半分で独房入りさせる監視員も居ると聞いたことがあるが、これはそういう事だろうか?
だけど、この監視員とは会った覚えもない、という事は、誰でも良かった所にたまたま私が選ばれたのだろうか? まさかね……。
理由もわからないままただ歩かされるが、そろそろ限界だ。
「あの!」
私をどうするつもりなんですか! と監視員に声をかけると同時に。
「着いたぞ。服を脱げ」
相変わらずぶっきら棒に監視員が言った。
私の呼びかけを遮る形になったにも関わらず、監視員は全く気にする様子もなく、扉を開けるためにベルトから鍵束を取り出す。
さすがにこれ以上、状況もわからないままで居るのは精神的によろしくない。
なので、もう少し粘ってみる。
「あのっ! これから私はどうなるんですか?」
ちょっと大きめな声で呼びかける。すると、意外にも監視員はこちらに顔を向けて何か考えているような様子を見せる。
もしかして、この人は普通に話ができる人なのでは……。悠長にもそんな事を考えていた私に対して、監視員が変わらずの口調で告げる。
「……聞こえなかったのか、服を脱げ」
そう冷たく言い放つと、扉を片手でゆっくりと押し開ける。
「服を脱いで、この部屋に入れ」
ちょっとくらい話を聞いてくれてもいいじゃないか……。
そんな文句が思わず口から出そうな所を何とか抑えつつ、言われた通りに服を脱ごうとしたのだが。
とにかく寒い。
本当に夏入りしたのかと喚き散らしたくなるくらいに寒い。
てっきり部屋の中で着替えをさせてくれるのかと思いきや「この中で服は必要ない、下着も不要だ、ここで脱げ」なんて事を言うもんだから、結局バカみたいに寒い通路でバカみたいに全裸になっているのだ。
そして監視員に急かされ中に入ったのだが、真っ暗で電気も付いていないので何の部屋なのかさっぱりわからない、やはり何かの懲罰なのだろうか?
一体、この部屋でどんな懲罰を受けるのだろう……。
同じ部屋の囚人の話によると、それはもうこの世の終わりのような体験ができるとか……できないとか。
部屋の真ん中で訳も分からず突っ立っていると、監視員は壁のスイッチを操作し明かりを点けた。
真っ暗の部屋の中でいきなり光を浴びて、一瞬目が眩む。
しばらくするとそれにも目が慣れて来た。
そして、目の前に現れたのは簡素なパイプベッドと何やら怪しげなヘルメットのような物が一つ。
……こうなって来ると、当然これから私はパイプベッドに寝かされヘルメットのような物を装着される、という事は簡単に想像が付く。
そして刑務所の中で一人だけ呼び出され、滅多に使わないような個室に入れられた挙げ句、更には怪しげな装置を頭に付けられる、となると考えられる事はそんなに多くはない。
「あの、待って! やだ、どういう事ですかこれ、何をするんですか!?」
自分がこれから辿ると思われる惨状を想像し、取り乱しながら監視員を問い詰めるが、監視員はあくまで機械的に答える。
「……安心しろ。お前の想像しているような事ではない」
目の前の装置が電気椅子のような物ではないと知り、ひとまずは安心したが、これが得体の知れない物だという事には変わりがない。
「……私はこれから何をされるんですか?」
さすがにそろそろ、自分の置かれた状況を把握できないのはしんどい。
「お前にはこれから仮想世界へ飛んでもらう。そして、これはお前を仮想世界へ飛ばすための装置だ」
監視員は何かの機械を操作したままの姿勢で答える。
仮想世界……ってなんだろう? 聞きなれない単語に首をかしげる。
「準備が終わった。そのベッドに仰向けに寝ろ」
事態を全く理解していない私をよそに監視員はベッドを指差す。
「あの、すいません、仮想世界って何ですか? あの、それと、飛ばすって何を?」
どう考えても嫌な予感しかしない。
「……アチラに行く前にチュートリアルなるものがあるそうだ、アチラの事はそこで把握しろ。わかったらとっととベッドに横になれ」
不安を解消するために質問をしたというのに、逆に不安要素を増やしてしまうとは……。
かえって聞きたい事が増えてしまった。
アチラってドチラ?
まあ、これ以上質問をしても良い結果にならない事はこの一ヶ月の経験で痛い程わかっている。
私は大人しく指示されたベッドで横になった。
すると、すぐに怪しげなヘルメットを頭に装着させられる。
意外な事に、窮屈だと思っていたヘルメットには想像以上のゆとりがあり、装着時に圧迫感などは感じられない、どうやら中に低反発素材などが入っているようだ。
最初に見た時は外見がゴツい上に、いかにもという胡散臭さを漂わせてたのだが、着け心地だけで言えばむしろかなり良い方だろう。
「では《》へ転送を開始する」
ヘッドギアについてあれこれ考えている私に監視員がそう告げる。
いや、正直かなり怖い。
心構えなんてこれっぽっちもする余裕がなかったし、そもそも私はお化け屋敷などのアトラクションには入れないタイプだし、もしも強引に誘われた時は出来うる限りの抵抗をして事態の回避を試みる人間だし。
「あの、待ってください。ちょっとお手洗いに……」
「安心しろ。これからは排出を含め貴様らの体調管理は全て我々が行う」
交渉決裂だった。
いや、ていうかそもそもこの人は話を聞くタイプではなさそうだ、作戦を間違えてしまったか。
……いや。
ん? あれ? これからは、ってどういう意味なんだろう?
「あのぉー、これか」
「では、健闘を祈る」
らって、いつまで? ……って人の話を聞けぇーっ!!
実に無愛想で実に人の話を聞かない監視員は、私の動向などお構いなしに転送スイッチを押した。
その瞬間、ヘルメットから神経に向けて、静電気のような微弱な電気が走り、身体が一瞬ビクッと僅かに跳ねる。
そして金縛りにあったかのように身体に力が入らなくなり、次第に眉間の奥がじりじりと熱くなる。
それに少し遅れるように身体中の感覚が先端から少しずつ無くなっていく。
手の指先から腕、足の爪先から太もも、ゆっくりと感覚が消えていく中で、眉間の奥に生まれた熱だけがどんどん広がっていく。
全身の感覚がなくなり、頭の熱だけを感じられる状態になってからしばらく、ある瞬間を境に急激に頭の熱が温度をあげていく。
そして頭が焼けてしまいそうなくらいの熱さを最後に感じ、私は意識を失った。
次は初っ端から死にそうになっているチェスティルさんと
かわいいハクリさんがご登場します。
キャラクターを活かすのが難しい。
次話は2015/3/7 21:00を予定しています。