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目覚めた記憶喪失
初めまして、杉の木小太郎ともうします。
この小説をお読みになっていただいてありがとうござます。
私の初作品、どうか楽しんでご覧ください。
「ここ・・・は?」
のそり、とやや重たげな上半身を起こしながら、低い声で疑問がこぼれる。
それはこの場所にはひどく不釣り合いな台詞だった。
青い匂いとざわざわとした感触から、その影は自身が草地の上に居ることを感じ取った。
そわりと肌をなでる風、遠くより聞こえる鳥の声で屋外に居ることが分かった影は、勢いよく立ち上がった。
「ここは、どこなんだ!?」
雲が晴れる。闇夜を切り裂くかのように伸びる光の線は、的確にその影の正体を暴いた。
そよ風に靡く黒髪、色素の薄い白い肌、すらりと伸びる手足にスレンダーな体。
二つの月明かりに照らされて明らかになった容姿は、美少年と呼ぶには整っていないまでも、標準よりは明らかに上位に位置している。
ただし、その表情は恐怖の一色に染まっていた。
「俺は・・・誰だ?」
少年は、記憶を失っていた。
まずは導入として、簡単に締めさせていただきました。
次話から、物語は動き出します。