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第五話 襲撃~高なる鼓動と現実~

 鍛錬を始めてはや一週間。俺は自分で精製したこの剣をすこしでも扱えるように鍛錬をしていた。


「ふう~これで少しは戦力になるかな?」


俺は自分の剣の扱い方の上達さに手応えを感じていた。これなら魔族との戦闘で指くわえてみてるってことにもならなくてすむだろう、俺はそう思っていた。


「そうね、さすがに一週間も鍛錬すれば結構様にはなってきたわね」


玲がそうこたえる。玲にそういわれると素直にうれしい。そして、すごく自分に対して自信が持てるような気がした。


「そうですね。とりまきの雑魚とは充分に戦えるでしょう。ですが残念ながら現状ではターゲットには歯が立ちませんね」


すかさず工藤が釘をさす。全く、少しは自分の努力の成果を素直にかみしめさせてくれよ。俺は切にそう願った。


「そんなにもターゲットってやつは強いのか?」


俺は工藤に問いかけてみる。自分的には剣術はかなり上達したと思ってるんだけど。一体ターゲットとやらはどんだけ強いんだ?


「強いもなにも雑魚供とは比べ物にならないほどの魔力の保持者ばかりですからねえ」


いまいちどの程度の魔力の差があるのかは俺には見当もつかない。


「俺がそいつと戦ったらどうなる?」


俺は工藤にきいてみた。


「もちろん瞬殺です。あなたはターゲットに傷ひとつ付けられないでしょう」

「傷一つ・・・」


「はい、傷一つ」


俺の自分に対しての自信は一瞬にして崩された。ここまで相当努力してきたつもりだったがそれでもターゲットには歯が立たないのか。


「あなたが竜の真の力を解放できればあるいは・・・」


工藤がぼそっとつぶやいた。


「無茶言わないの工藤君。蓮君はそもそも刻印自体ないんだから解放しようがないじゃない」


玲が工藤に叫ぶ。


「刻印がない、ねえ・・・」


また工藤がつぶやく。


「ま、ターゲットは俺達四人があたるとして、蓮には雑魚をたおしてもらえばいいじゃないの。無理してターゲットと戦う必要はないでしょ」


健が声をあげる。しかしそれをきいた工藤が目の色を変えて口を開く。


「おや、あなたもたしかターゲットとは戦ったことはないはずですが?」


「え、まあ確かにないけど・・・」


健が言葉をにごらせる。健もターゲットと戦ったことがないのか、さすがにそれには驚いた。てっきりあるものとばかり思っていた。


「本来、ターゲットと戦うのはAクラス以上のドラゴンと決められています。この学校にいる間は特例であなたたちは戦闘に参加できるということをお忘れなく」


工藤が笑顔でサラッとそんなことを言った。Aクラス以上のドラゴン、たしか玲と健はBクラスだったっけ。


「てめえ喧嘩売ってんのか?」


健が怒りがまじった声でさけぶ。工藤の言葉がカンにさわったようだ。そこに玲が止めに入る。


「こら!あなたたち今は喧嘩をしている場合じゃないでしょ?こっちもちゃんとした作戦をたてないと」


「わかってるよ・・・」


玲のおかげでなんとか健の怒りは収まった。しかし工藤がまた声をあげる。


「いくら刻印があったとしても、あななたちではどうにもならないでしょう。そこで提案ですが、あなたたち二人にはこちらのサポートをしてもらい、私と伊集院さんがターゲットを叩く、という作戦がベストだと思いますがどうでしょう?」


「なっ!?」


それをきいて健が再び怒りをあらわにする。


「それが現実です」


工藤はいつもどうりの笑顔でそう言い放った。さすがの健もこれには頭がきたようだ。


しかしここでもまた玲が止めに入る。


「だから喧嘩してる時間はないのよ?健、工藤君の言葉にしたがって。私たちにはどうしようならないことなのは事実よ。そして工藤君も健を挑発するような言葉は差し控えて」


「おや、私の発言は相川さんを挑発してしまいましたか。それはすみませんでした」


「健もいいわね?」


「ふん、わかったよ」


なんとかこの場はしのぎきったようだ。しかし魔族との戦闘の話をするだけでこうもみんなが精神が高ぶるとは。一体魔族との戦闘はどれほど恐ろしいものなんだろう・・・俺はすこし身震いをした。すると突然


玲・健・工藤「!」


三人が突然反応した。いったいなにが起きたんだ?そう思っていると突然伊集院さんが目の前にあらわれた。


「・・・敵の襲撃」


「えっ・・・」


伊集院さんはそれだけいうとこの場から消え去った。敵の襲撃?それってまさか・・・


「おや、意外とはやかったですね。では先ほど言った作戦でお願いしますよ二人とも」


そういって工藤も立ち去ろうとしたが立ち去る前に俺にささやいた。


「あなたには期待していますよ。いろいろな意味で・・・」


それだけいうと工藤もどこかに消えた。


「しかたねえいくか」


「そうね、わたしたちも動きましょう。蓮君、私たちについてきて」


「え、あ、うん」


俺は玲にうながされるままに校舎に戻った。一体なにがどうなってんだ?今の状況を理解するには時間が必要だった。しかしそれはゆるされなかった。魔族との戦い。俺はいよいよ初めてその戦いに参加する。




俺の手を引っ張る玲の手。その手は暖かくそして優しく、俺の不安を少しやわらいでくれるようだった。


(大丈夫だ、あれだけ鍛錬したんだ、大丈夫、落ち着け俺・・・)



俺は高なる鼓動と少しずつ忍びよる恐怖感に必死に耐えながら校舎を目指した。





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