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第四話 鍛錬初日~武器の精製リファイメント~

「ふう~」


俺は午前の授業の4時間を終えて一息をつく。学校に入学して二日目だがもうすでに授業が始まっている。

 

 私立御崎山学園はかなりの進学校であり、授業もなかなか難しいのだが、なぜか結構理解できる。人間界に来てそんなに経ってないのだがこっちの勉強とやらは意外と簡単なものだ。不思議なもんだな。


「授業けっこうむずかしいね」


篠宮さんが俺に話しかけてくる。まあ席がとなり同士だからなんでもないことなんだが


「え、あ、うんそうだな・・・」


な~んか話しにくいんだよな~。それもこれもただ彼女の下の名前が優菜って名前だけで。なんかよくわからないけど引っかかるんだよな。


「おっともうこんな時間だ」


篠宮さんと話をしていたらいつのまにか10分ぐらい経っていた。


「わるい、ちょっと用があるからちょっとでてくるわ」


「うん、またね」


そういって、篠宮さんと別れる。今はこんな感じで彼女とすごしていけばいいだろう。俺はそう思いながら教室を出た。


 

 今日から屋上で俺の鍛錬が始まる。みんな俺のために集まってくれているので主役の俺が行かないわけにはいかない。


「しかし、この視線はなんなんだ?」


屋上までの道のり。俺はほかの生徒からなぜか視線を集めていた。


「おい、あれが噂の一之瀬だぞ」


「へえ~あいつがあの武田をぶっ倒したやつか」


武田というのは前に俺が購買で飛ばしてしまったやつだ。結局あいつは無事だったようだがその噂が広まり俺は注目される存在となってしまった。まあ飛ばす気はなかったんだけどなあ。彼の無事を知った時はほっとしたがこの視線はあまりいただけないな。


「・・・急ぐか」


俺はその視線を避けるように屋上へ急いだ。





「遅いわよ蓮君!!」


屋上に着いた直後に玲が声をあげる。少し怒っているようだ。


「わるいわるい。篠宮さんとちょっとはなしてたら遅れちまった」


「お、会ったのは昨日だってのに仲良しだねえ」


健が声をあげる。すかさず玲も口を開く。


「優菜のせいにしないの。全く主役が遅れてきてどうすんのよ」


そんな感じで会話をしていると


「まあまあそのぐらいでいいじゃないですか」


工藤が声をあげる。てかいたのかよ。いたのなら最初っからでてこいよ、そんな気味の悪いサプライズなんていらないぜ。


「まあいいわ。時間もないしとっとと始めましょう」


工藤の言葉に従って玲が鍛錬を始めようとする。その前にあることに気付く。


「あれ伊集院さんは?」


玲は学校にいるドラゴン全員でやるといっていたが一人足りてないことに俺は気付いた。


「ああ、伊集院さんは用事があるとかでどこかにいっちゃいました」


工藤はほほ笑みながらそう答えた。というよりもこいつはいつでも笑顔だからほほ笑みというのかどうかはわからないけど。


「お嬢様はこんなことしてる暇はないってか」


健がつぶやく。


「しかたないわよ、私たちとは違って忙しいんだから」


「俺だって忙しいぜ!?」


「あんたの場合はどうせ遊びのことでしょ!」


「まあそうだけど・・・」


健はそう言って黙り込む。どうやら図星だったようだ。さすが何百年も一緒にいるだけある。相手のことはもう知り尽くしているのだろう。そういう関係がちょっと俺はうらやましいと思った。


「さてと、なにからいきましょうか」


そう玲が話し出してすぐに工藤がしゃべりだした。


「まずは武器の精製からやってはどうでしょうか」


武器の精製ってなんだそりゃ。自分で武器をつくるってことか?そんなことまで魔力でできるのか。


「て、ちょっとそれは急すぎない?まずは日常生活で使うものの方が・・・」


そういえば、この鍛錬の目的は俺が日常生活で支障をきたさない程度に魔力を制御することだったっけ。武器の精製なんて戦闘の時しかつかわないだろうしな。


「いえそれが、最近魔族達に動きがあるという情報が入りまして。近いうちにこの学校を襲撃しにくるということらしいです。今の状態で襲撃されたら一之瀬君は戦うどころか一瞬で瞬殺されるでしょう」


情報ってどこからの情報だよ、というツッコミを入れている暇はなさそうだ。しかも笑顔で襲撃されたら俺が瞬殺されるってサラッといいやがった。そんなにも力の差があるのだろうか。


「そこで少なくとも自分の身を守れるぐらいにはなってもらった方がこちらとしても楽だと思いまして。どうでしょうか柳原さん」


工藤は玲にといかける。


「それもそうね・・・戦闘になったら人を心配する余裕なんてないものね・・・」


あれ、意外と工藤の意見にながされてる。この工藤というやつは想像以上に実力をもっているようだ。まあいろんな意味でだけど。


「じゃあ最初は武器の精製をやりましょう」


結局最初の鍛錬は武器の精製になった。どうやるのかは全く想像できないけど。


「じゃあまずはお手本をみせるわね」


そういうと玲は目をとじた。なんだなんだ、なにが始まるんだ?


「我に宿りし竜の血よ、我に敵すものを切り裂く剣を我に与えよ」


そういうと玲の周りに魔方陣がうかびあがる。


「リファイメント!!」


すると玲の手に武器が現れた。本当に武器を自分でつくれるとは。その武器は、長い鎖に光り輝く鎌が先についている・・・ってくさり鎌かよ。なんか趣味悪くねえか?


「あいかわらず変なものつかうよな玲は」


健がそれをみてちゃかす。


「うるさいわね。これが私には合ってるのよ!そんなこといってないであんたもだしなさいよ」


「へいへい」


そういうと健も玲と同じように詠唱しだした。


「・・・リファイメント!!」


すると今度は銀色に輝く二丁銃があらわれた。


「あいかわらずキザなものつかうわね」


それをみて玲がつぶやく。


「ほっとけ!」


健が叫ぶ。たしかにこれはキザかもなあ。


「では次は私ですね」


そういうと工藤も詠唱し始めた。


「・・・リファイメント!!」


今度は大きな緑色の弓が現れた。ああなんかほっとするな。こいつが一番なんかしっくりくる。俺はそう思った。


「さあ、蓮君もやってみて」


玲が俺に指示する。


「こんなこと本当に俺にできるのか?」


「大丈夫よ。ちゃんと教えるから。それに一回でできるとはおもってないわよ誰も」


教えるたってなんかできる感じがしないんですけど。何回やっても無理じゃねえか?


「じゃあ始めるわよ」


そんなこともおかまいなく玲は始める。


「まずは意識を集中して、頭の中に魔法書をイメージするの」


「魔法書をイメージ?」


魔法書をイメージってどうやるんだ?まったくわからない。


「まあとりあえずなんでもいいから本をイメージして」


「わ、わかった」


とりあえず本をイメージしよう。・・・どんなのをイメージすりゃいいんだ?


「そして次にそのイメージした本に今から私が言うことを書き込んで」


「書き込む?」


「だから書き込むのをイメージするってことよ」


なんかだんだんわけわかんなくなってきた。そう思っているうちにも玲がしゃべりだす。


「我に宿りし竜の血よ、我に敵すものを切り裂く剣を我に与えよ」


我に宿りし竜の血よ、我に敵すものを切り裂く剣を我に与えよ・・・う~難しい。


「リファイメント」


リファイメント・・・・ん?


俺はそうイメージすると頭の中でなにかがつながった感じがした。


「これは・・・」


「なにか感じた?」


「ああ」


今のはなんだったのだろうか。頭の中でピキーンという音がしたような気がした。


「意外と飲み込むのがはやいわね。じゃあ今度はその魔法書をイメージしながらさっきの言葉を声にだしてよんでみて」


「わかった」


なにがなんだがわからないけどとにかくやってみよう。


「・・・リファイメント!!」


すると俺の前に大きな漆黒の剣が現れた。


「これは・・・」


「やったじゃない!一発で成功するなんてあなたなかなかやるわね」


「これでいいのか?」


「ええ、これで武器の精製の呪文、リファイメントはあなたの魔法書に登録されたわ。これでいつでもその剣を呼び出すことができるようになったわ」


「へえ~」


俺は自分の出したその剣に見とれていた。大きさは普通の両手剣ぐらいだが剣には赤い色で竜の模様が彫ってあった。それをみているとなにか吸い込まれそうな気がしてくる。


「黒い剣、そして赤色の竜の紋章・・・やはりあなたは・・・」


工藤がなにかをつぶやいた。


「なんかいったか工藤?」


「いえ、なんでもありませんよ。それにしても一回で習得するとは、すごいですね」


「そ、そうか?」


ほめられるのはうれしいがお前にほめられるとなんか気色悪い、絶対なんか裏がありそうな気がする、俺はそう思った。




こうして俺は最初の魔法、リファイメントを覚えた。これがあれば俺は一応は戦闘の時に身を守ることはできるらしい。なんにせよよかったよかった、ほかのやつにずっと守られてるなんてかっこ悪すぎだもんな。俺はそんなことを思っていた。



だがこのとき俺はまだ、魔族との戦闘、そして自分の本当の力の恐ろしさをまだ知らなかった・・・




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