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第三話 竜の刻印~人間以上、竜未満~

 入学式も終わり俺たちは自分のクラスに向かった。


クラス分けはというと俺と健と玲がAクラスで工藤と伊集院がCクラスという結果だった。


あ、後、篠宮 優菜さんも同じクラスだ。


「また玲と同じクラスかよ」


「全くくされ縁とは恐ろしいものね」


二人して溜息をついている。なんでも二人は小学校からずっと一緒のクラスらしい。そこまでいくとなにか陰謀があるような気がする。てかあるだろ絶対。


「そういえば蓮君、あなた何クラスなの?」


「はい?」


何クラス?なんのことなのだろうか。同じクラスだから学校のクラスということではなさそうだし。


「クラスってなんのことだ?」


「なにってドラゴンとしてのよ」


なんでそんな当たり前のことをきくのかっていう顔で玲は答える。ドラゴンのクラス。なんだそりゃ。


「どういうこと?」


「ってあなたそんなことも知らないの?」


玲はものすごく驚いている。そんなに常識なことなのだろうか。


「まあ知らないんだったら仕方ないけど、私たちドラゴンはそのもっている魔力の大きさでランク付けされているの。S~Cクラスまであるんだけど一番上のSクラスの竜はそうそういなくて数人しかいないって話よ」


「まあ近くに一人いるけどな」


健が声を上げる。そんな数人しかいない貴重なのが近くにいるのか?


「だれ?」


「伊集院だよ伊集院。あいつはSクラスのホワイトドラゴンだよ。というよりあいつの一族全部SクラスかAクラスしかいないんだけどな。いわゆる名門ってやつだ。全くうらやましいねえ~」


「へえ~そうなんだ」


ちらっと姿をみただけしかまだないからよくわかんなかったけどすごいやつだったんだな。まあどことなく気品は漂っていたし名門ってのはだてじゃないらしい。


「ちなみに俺はBクラスだ。まあ普通だな」


「私もBクラスよ」


クラスねえ。まあ俺はまだ3時間ぐらいしか記憶はないしそんなことはわかるわけがない。


「あ、ちなみに工藤君はAクラスよ」


玲が声をあげる。


「あいつよくわかんねえけど結構実力はあるんだよなあ~」


健がすかさず声をあげる。さすがに息が合っている。会話にもどことなく歴史を感じる、ってなにいってんだ俺は。


 

 俺は一人飲み物を買いに自販機がある購買に向かった。というよりも買いに行かされた。じゃんけんで買ってくるやつを決めるというありふれた勝負でものの見事に負けた。


「え~と購買はっと」


この学園は外見だけでなくもちろん中もでかい。どこになにがあるのかさっぱりわからない。


やっとこさ購買にたどり着き買い物をすませ帰ろうとすると


「おっと・・・」


ふりむきざまに誰かとぶつかった。


「あ、スンマセン」


謝りながら振り向くとそこには腕っぷしがつよそうないかにも不良ってかんじのやつがいた。まわりにはそいつのとりまきみたいなやつが数人いる。みたところ上級生らしい。もしかしてまずいのかこれは?


「おい、お前。俺にぶつかって謝るだけですむと思ってんのか?」


すむと思ってんのかといわれても・・・すまないのか逆に?スンマセンって言葉は人間界でも通じると思ってたんだけど。


「いやだから謝ってるじゃないですか。それ以外なにをしろと?」


自分の考えに素直になって答えてみる。


「てめえ喧嘩売ってんのか!!」


なんかさらに怒らしてしまった。俺はいつ喧嘩を売ってしまったのだろうか?おっと、そんなことを考えている場合じゃないな。


「喧嘩を売るなんてそんな面倒なことはしませんよ」


「なんだとこのやろう!!」


そういうと男は俺に殴りかかってきた。


「おっとっと」


俺はそのこぶしを受けとめる。これはもうしかたないな。なにをいっても聞いてくれなさそうだ。


「突然なにするんですか」


俺はそういって殴ってきた男の手を払いのけ軽く突き飛ばすと


「のわあ!!」


そういって男は後ろにあった窓を突き破って飛んで行った・・・て、あれ。これやばいか?


「ひい!?」


「なんだこいつ!?」


さっき飛んで行った男のとりまきがさわいでいる。え~と・・・この状況をどうするか。

そう考えていると


「あちゃ~遅かったか」


健と玲がはしってきた。


「また派手にしちゃったわね・・・」


あきれたような顔で溜息をつく玲とこの状況をみて笑っている健。


「とりあえず退散しよう(笑)」


健がそう叫ぶと玲が俺の手を引っ張って走り出した。それにしてもあの男は大丈夫だろうか?すごい勢いでとんでいったけど。


 俺たちは屋上に向かった。


「ふう、ここならだれもいないでしょう」


「それにしてもおもしろかったなあれは」


この学園の屋上には基本的にだれもこないらしい。その割には花とか植えてあるけど。


そう思っていると玲が口をひらく。


「蓮君、魔力が制御できてないじゃない・・・」


あきれたように玲が話す。


「あなた刻印は?」


刻印?また新しいワードがでてきた。なんなんだそれは?


「なにそれ」


俺がそういうと玲と健が顔を見合わせる。ものすごく驚いているようだ。


「あなた刻印もしらないの??」


「残念ながら・・・」


俺は渋々答える。そんなに知っていないとやばいことなのだろうか。


「刻印も知らないってどういうことなのかしら。まあとりあえず説明するけど・・・」


そういうと玲は腕をまくる。すると肩の近くに青い竜の模様があった。


「これが竜の刻印。これがないと自分で魔力を制御できないのよ。私たちはこれで魔力を制御して今はなるべく魔力を抑制して人とかわらないようにしているの。でも戦闘の時はこれを解放して力をつかうの」


「はあ・・・」


竜の刻印、そんなもの俺にはない。俺が知っている限りはだけど。


「俺にもあるぜ」


そういうと健が脚をまくる。すると今度は太股のあたりに赤い竜の模様があった。



「さっき蓮君がちょっと突き飛ばしただけで人が飛んでいったのは魔力が制御できてないからよ。人と竜とでは力の違いがものすごくあるのよ。さっきは普通に竜の力で人を突き飛ばしたからあんなことになっちゃったのよ?」


「まあおもしろかったからよかったけどな」


健がまた思い出したように笑う。竜と人間、こんなにも力が違うものなのか。


「まあ、鍛錬すれば魔力を制御することに関しては少しはましにできるけど、解放することはできないから戦闘のときに自分の竜としての真の力を発揮できないわね」


「そうなんだ」


俺は説明にうなずくことしかできない。


「全くなんであなたには竜の刻印がないのかしら。人間界にいる以上、必要不可欠なんだけど」


「面目ない」


すると玲はまた口を開く。


「まあないものはしかたないわね。今のあなたの状態は人間でも竜でもない、そう、人間以上、竜未満といったところね」


人間以上、竜未満。人間に比べると力がありすぎて竜と比べると力が小さい。俺は今そんな中途半端な存在なのか。


「とりあえずこれから昼休みはここで鍛錬をしましょう。とりあえずは魔力を少しでも制御できるようにならないと普通に生活もできないわよ?」


「鍛錬・・・」


鍛錬、あきらかにめんどくさそうなことだ。できれば遠慮したいところなんだけど。


そう思っていると


「なんか嫌そうにしてるけど今のあなたに拒否権はないんだからね。絶対よ!!」


と釘を刺された。どうやら回避することは不可能のようだ。


「はっはっは!蓮かわいそ~。まあがんばれよ!」


健が笑う。すると玲は


「なにいってんのよ。あんたも参加するのよ?こうなったらこの学校にいるドラゴン全員でやりましょう」


「え~まじかよ。俺関係ないじゃん~」


「あんたも同じドラゴンでしょ。仲間なんだから協力しなさい!!」


「めんどくさいな~」


健がそういうと


「参加しないと、あんたまた意識失うわよ?」


「そ、それはご勘弁を!!」


結局玲に丸め込まれた。しかしその時の玲の顔は想像を絶する怖さだった。普段の顔からは全く想像できなかった。


「じゃ、そういうことで明日からよろしく!!」


そういうと玲は走って行った。


「しゃあねえな。こうなったらやるしかないな。たてつくと今度はまじで殺されそうだし・・・」


健は悲しげな声でそう言うとこの場を去って行った。



こうして、明日からの昼休みは屋上で鍛錬をすることになった。鍛錬が一体どういうものなのかは全く想像もできないけど人間界で暮らす以上、避けては通れない道だろう。


「しかたない。がんばるか」


そう自分に言い聞かせるようにつぶやくと俺もこの場を後にした。




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