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第四十七話 仮面の下~驚きの素顔と新たな災難~

「あれ?メガネメガネ・・・」



 差し出したその先にあった姿、それは先程までいた人物ではなかった。先程までの会話までいた及川。だけどそこにいた及川は俺の知っている及川じゃなかった。



メガネという仮面の下にあったその顔は、まるで別人。もう一人の及川がそこにいた。



「ま、まじか・・・」



「おおおお!!!こ、これは!?」



今まで気付かなかったけど、及川はそのメガネで隠された目以外のパーツというか部分は、かなり理想的なものだった。だけどそれも、その圧倒的に印象深いメガネのせいで隠れていたが



今こうしてメガネを取った及川の姿は・・・



「こ、これは・・・めちゃめちゃイケメンじゃないか・・・」



「ああ、さすがの俺も驚いたぜ・・・」



スラッと伸びる鼻、キリリッとした二重の眉、そして



鋭く、見るものすべてを突き刺すような眼光を放つ目



今の及川の顔は、半端なくイケメンだった。先程までの及川の顔とは雲泥の差だった。



まさかまさか、あのメガネの下に、こんな隠し兵器を隠し持っていたとは・・・



 ん?その前にツッコミを入れなきゃいけないところがあるな。先程からずっと気になっていたが、さっきから地味に一人会話に参加してるよな。



握手をして絆を深めていたところに現れた一人の影。その影は及川の頭を小突き、そしてメガネが落ちて・・・



「て、健!!お前いつのまにそこにいたんだよ!!」



「へ??」



さっきからずっと黙っていたが、突然飛び込んできたのは紛れもなく健だ。突然現れては、小突いてこんな展開を招いちゃうし、その後はなぜか俺と一緒にその及川の顔みて驚いちゃってるし。あまりに自然に溶け込みすぎてツッコミを入れるのを忘れていた。



「いや~二人が突然いなくなって探しに行ったらいつのまにか二人で青春してたもんでな。これはその中に入らないわけにはいかないだろ~ということで飛び込んでみた」



「はあ~・・・」



全く、お前のせいでせっかくの雰囲気がぶち壊しだ。たしかに健のいうとおり、さっきまではたしかに青春、というかこれぞ学生生活といった感じの雰囲気だったのに。普通なら怒るところではあるが、だがしかし、今回ばかりは健に礼を言わなければ。



まさかあれからこんな展開が待っていたとは。さすがだな健。お前はやっぱりすごいよ(笑)



「ふう~ようやく見つけた」



俺と健が話していると、及川が俺が落としてしまったメガネを見つけて拾い、また元のようにその度の強そうなメガネをかけようとしていた。



「ちょ、ちょっと待て及川!!」



俺の叫び声と共に及川のメガネをかけようとする手が止まる。



「なんだい?一之瀬君」



いやなんだいじゃないでしょ。まさかそんな爆弾級のインパクトのある顔をその度の強そうなメガネでまた隠すというのか。そんな秘密兵器をわざわざ手放すわけにはいかないだろ。てかもったいなさすぎる。



間違いなくその顔は女性に絶対にモテル。それは間違いがない。まあ伊集院さんはそういうのでは振り向かないとは思うが。だがしかし、せっかくの武器をみすみす自ら手放すのはめちゃくちゃもったいない。それだけは断固阻止しないと・・・



「いやさあ、お前ってメガネかけない方がいいと思うんだが・・・」



とりあえず意見を述べてみる。



「え?でもこれがないと僕は目が悪いからみえないんだけど」



ふむ、そうきたか。まあ確かにそんだけ度の強そうなメガネをしていれば目が悪いということぐらいはわかる。だがここで引き下がるわけにはいかない。



「じゃ、じゃあコンタクトにすれば??」



目が悪いんならコンタクト。なにか当たり前のようなコンボで俺は及川を攻める。だがしかし、その攻めがいきすぎてかえって疑いを持たせてしまった。


「・・・なんでそこまでして僕にメガネを外させるんだい?」



「えっと、それは・・・」


俺は言葉に詰まった。まさかここでメガネを取った時の顔の方がカッコいいしイケメンだし、女の子にモテルよ!!な~んて言ったら及川のことだ、「そ、そんなことのために外すわけにはいかないよ」てな感じで断るだろう。基本的にそういうのが嫌いだからな、及川は。さてどうやってこの場を乗り切るか・・・



俺がそうこう考えていると



「そりゃあ取った時の方が圧倒的にイケメンだからだろ。そんな良い武器、使わないわけにはいかないだろ~。なあ蓮」



「え、あ~そうだな・・・」



ぬあ~!!せっかく今作戦を考えていたというのに、その全てを健が葬り去ってしまった。フォローしてくれるのはありがたいが、そんな真っ向勝負してどうすんだよ!ああ、もうおしまいだ・・・


俺の及川のメガネ奪取作戦失敗・・・



「イ、イケメン!?なにをわけのわからないことをいってるんだ!そんなことのために外すわけにはいかないだろ」



そう言って及川はぐりぐりっとメガネを自分の顔に押し込む。はあ~だめだこりゃ。まあこうなることはわかっていたが、実際にそうなってしまうと、わかっていても落ち込むな・・・


「い、一之瀬君までバカなことを言わないでくれよ!」



「え、いやでもな・・・」



あれ、もしかして俺の立ち位置まで危ぶまれてる?せっかくさっき友情を深めたところだというのに、早くも崩れるのか?この友情は。



そんな薄っぺらい友情ではなかったはずなんだがな・・・



確かに俺はあの時、及川との間に絆が生まれたような気がした。よく知らない相手と会話だけするそんな上っ面だけの友情ではなかった。確かにその時俺は手応えを感じていた。



その時



キーンコーンカーンコーン



昼休み終了5分前のチャイムが鳴った。なんかこの学校のチャイム、なんだか地味に空気をよんでいるような感じがするんだが。



意外と健よりも空気を読むのがうまかったりして。



「おっともうこんな時間か。それじゃあ僕はお先に失礼するよ。次の授業の準備もあるしね」



そう言って及川はこの場を立ち去ろうとする。



あれ?次の時間は数学の授業だから始まる前に用意するものなんてなにもないんだけど・・・



そう思っていた時、及川が俺の横を通り過ぎる。



その時の及川の顔は、ほんのりと赤くなっていたような気がした。



「あ~あ、いっちまったな。でもなんか意外なことを発見できたな。まさかあいつにこんな秘密があるなんてな」



及川が過ぎ去るのをみて健が一人はしゃぐ。ん?まさかこいつ、俺と及川が話していた時のことも知っているのか??



及川が伊集院のことを好きということ。もしそれを健が知ってしまったら余計にややこしくなることは間違いない。神に誓ってもいい。絶対に物事はマイナスな方向に傾く。



そう思って健をみていると。



「まさかあんなにイケメンだったとはな。さすがの俺もビックリだぜ」



「ほ~・・・」



良かった。やっぱりあのことは知らないようだ。



「ん?なにが「ほ~・・・」なんだ?」



「いや大したことじゃねえよ。それよりお前も学校のチャイムに負けないようにな」



そう言って俺はなんのことかよくわからず立ちつくしている健をよそめにこの場を後にした。



「おい、チャイムってなんのことだよ??おい蓮!!」



中庭には、人がいなくなった静けさと寂しさと、それと健の声が響いていった。



<放課後 渡り廊下>



「ふわ~・・・」


 やっと今日の授業が全部終わった。今日はなんだか色んな事がありすぎて時間が進むのがえらく長く感じた。試験の結果発表、及川の爆走、そして昼休みの中庭での出来事。こんなにも短時間で色んな意味で濃い出来事があると、いつもよりもずっと時間が進むのが遅く感じる。



しかしまあ、それも後は部活に行って適当にだべって終わり。やっと今日という時間が終わる。



そして俺が眠くて重くなっているまぶたを手でこすっていると



ドンッ



なにかにぶつかった。



「キャッ!!」



途端に上がる女の人の悲鳴。



「あ、すみません。大丈夫ですか??」



そして俺がその人に向けて手を差し出そうとするとそこには



「ちょっと、どこを見て歩いているの!!」



「あ・・・」



そこにいたのは



「て、またあなたですか。全く私になんの恨みがあるっていうの??」



そこにいたのはあの次期生徒会長候補、千堂グループのご令嬢。千堂由佳里先輩だった。



(あっちゃ~・・・)



この展開、間違いなくめんどくさいことになる。この人と関わって無事に済んだことが今まで一度だってない。決まってなにか変な方向にいっちゃうんだよなあ。



 授業も終わりようやく休息を手に入れたと思ったら、まだまだ俺には面倒なことが待っていた。




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