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第四十話 結果発表!!~勝負の行方はまさかの展開~

 時間は風のように過ぎ去り、あっという間に中間テストが終わった。この学校では、テストのときは一日2~3教科ずつテストを消化していく。つまりテスト期間中は毎日午前中で学校が終わり、後は自由、それはそれでなんかいいもんだなあ~と思った。まあ実際のところ、一般生徒は帰っても勉強、勉強だろうけど。




 そんな生活も昨日で終わり。今日からまた、俺達は日常へと戻っていく。




 しかし、今日は今日で生徒にとっては特別な一日だ。なにがあるかというとそれは




テスト優秀成績者発表




この学校では、テストの総合点数で学年別に上から50人までの名が張り出される。それが今日、生徒玄関まえに堂々と張り出されるのだ。




だからどうしたって感じではあるが、この有名な進学校ではその50人の中に入れただけで相当名誉なことらしい。なにせ生徒のほとんどが普通の高校だったらトップという奴らがここに集まっているわけで、しかも一学年には数百人もそんなライバルがいる。その中でのトップ50。この数字がなにを意味するのか、それは言わなくてもわかるだろう。



 

 まあ正直言って、俺はそんなの興味はないんだが、今回はそうもいかない。なぜなら



Mr.GBこと及川とテストの点数で勝負しているからだ!!



と、そこまで騒ぐようなことでもない。まあでもそのMr.GBこと及川の方はというと、俺に対して相当なライバル心を燃やして、鬼神のごとくめちゃくちゃ猛勉強していたらしい。そんなにがんばっている奴に対してこちらが適当にするのはいささか失礼のような気がする。まあでも、あいつはあいつで相当バカっぽいし、適当にあしらっていても良かったかもしれない。




 まあなんにせよ、終わってしまったものは仕方ない。俺も力の限りをつくしたような気もするし、結果ぐらいみてくるか。



て、まあ俺がトップ50に入れるっていう自信はどこにもないんだけどな。まあでもあの及川は絶対入っているだろうしもしそこに俺の名がなかったらあいつの勝ちということになるだろう。そういう意味でも、その結果を見に行く価値はある。



そう思い俺が立ち上がると




「お、あの成績優秀者の発表を見に行くのか?おもしろそうだし俺も行くぜ」




とか何とか言って健も一緒に行くことになった。おそらく健には縁のない発表だとは思うけど、こいつは俺と及川の勝負に、俺以上の興味を抱いているようだ。まあおもしろ半分だとは思うけど。




<生徒玄関前の告知板>




 俺達が生徒玄関前の告知板に辿りつくと、そこには既にあふれんばかりの人だかりができていた。もちろんこの無数の人だかりの目的はただ一つ、成績優秀者発表についてだ。




ここまでそんな発表を見るのに来ている人をみていると、いかにみんな勉強に情熱を燃やしているのかがわかる。だがしかし、さすがにこれは多すぎじゃないかおい。



告知板に我先にとごった返すその光景は、まるでバーゲンセールに飛びつくおばさん達のように見えた。そこまでしなくても、いずれ成績表はみんなに配られるわけだし、その時に結果をみればいいんじゃないかと思ったが、この発表、俺が思っている以上にみんな重要視しているらしい。みんな試合前の選手のように、いまかいまかと発表されるのをじっと待っている。




ふう、全く、人間ってのは変なことに一途になるんだな。




「やあ、一之瀬君。いよいよだね」




「お?」



 背後から突然声をかけられる。その声のした方向に俺が振り向くと、そこには・・・




「この発表で僕たちの勝負が決まる。いやはや楽しみだねえ」




「お、Mr.GB」




そこにいたのは相変わらず度の強そうなメガネをした及川が立っていた。




「・・・その呼び方はやめてくれないか。正直意味がわからないし・・・」




「お、すまんすまん。ついな」




一応健のネーミングセンスの凄さをわかっているようだ。いくらバカとはいえ健クラスまではどうもいかないみたいだな。しかし及川の表情を見ると、なにやら目の奥はニヤニヤしているようにみえる。ふむ、どうやら今回の発表には相当自信があるようだな。



「で、どうだった?中間テストの出来は??」



俺は及川に一応聞いてみる。まあテスト後の恒例行事みたいなもんだ。




すると、及川はその質問を待ってましたといわんばかりに先程から目の奥に浮かばせていた表情を表にだして言った。



「いや~今回のテストはまあまあだったよ。まあいつもどおりってところかな。そっちはどうだったんだい??」




「ん?まあ俺もまあまあかな・・・」




よく言うぜ。言葉と顔が全く一致してない。まあまあとか言ってるが、この表情を見る限り、相当良い出来だったようだな。それも勝利を確信するかのような自信さえその顔からにじみ出ている。なんかがんばってかっこつけようとしているが、全然隠せてないぞ、及川。




 そんな感じで及川と喋っていると、突然後方で歓声があがる。




「とうとう出たぞ!!」 「きゃー私入ってる!!!」 「私はだめ。まあ仕方ないか・・・」




一般生徒の歓喜の声と悲痛な叫びが飛び交う。どうやら発表されたらしい。




「お、とうとう発表されたな。さてさて俺は載っているかな」




及川がもうスキップしそうなぐらいにルンルンでその発表されている紙を見に行く。やれやれ、見てて疲れてくる光景だな。しかしまあ、それだけこの勝負に賭けているということか。あれ?そういえばなんで俺につっかかってきたんだっけ??



俺は自分の記憶を辿ってみる。




そもそも及川とは今までなんら面識はなかった。同じクラスだったということも知らなかった。なんにせよ、俺は今のところあんまり人間たちと交友をはかっていなかったからな。というよりどちらかというと避けられている感じがしたし。まあ無理もないか。入学早々三年の不良達をぶっ飛ばし、そして今度は次期生徒会長とかいう千堂につっかかったりとここまでトラブル続きだったしな。やっぱり近づきにくいのかな、俺って・・・




「なにやってんだ蓮?俺達も見に行こうぜ!!」




一人考え込んでいると健が声をかけてくる。



「ん、ああ悪い悪い。よし、俺達も見に行くか」



健と話していると、そんなことで悩んでいる自分がバカバカしくなった。



そして俺達は、発表の紙を見るために人ごみのなかに飛び込んだ。





「・・・え~と」




 俺は下の方から順に名前を辿っていく。




「ふ~む。ないな~」




 とりあえず20位ぐらいまでの名前を見てみたが、そこに俺の名は書かれていなかった。やっぱりさすがに学力トップクラスの奴らが集まるこの学校では、成績上位に食い込むのは難しいか・・・




そうやって考えていると、健がなにかを見つけて叫ぶ。




「おお!?Mr.GB三位じゃねえか。さすがガリ勉だなあ。お、その上は・・・」




(三位!?)




このほかの学校ならトップも狙える奴らが数百人もいるこのハイレベルの争いで三位だと!?俺はさすがに唖然とした。




トップ50にはもちろん入っているとは思ってたけど、まさかここまでとはな・・・




さすがにガリ勉と言われるだけのことはある。さすがに俺に勝ち目は無さそうだ。




 俺は隣で及川もその発表の紙を見ているのを見つけると、及川に声をかけた。




「いや~さすがだな及川。やっぱりMr.GBというだけあるな。完敗だ。俺の負けだよ」




そう言ってふうとため息をついていると、及川の様子がおかしいことに気付く。



「?及川どうした??」



なぜか及川の体はプルプルと小刻みに揺れている。表情もさきほどの二ヤケ顔とはうって変わってなにやらけわしい顔をしている。



「バ、バカな・・・こんなことがあるのか・・・」



及川は小声でなにかを言った。




「ん?なんだって??」




俺が聞き返すと、及川は突然こちらを振り向き、強い口調でこちらに叫んだ。




「なんだ!?同情のつもりか??そんなの今はいらないよ。ほっといてくれよ!!」




「え・・・?」




突然の及川の変貌ぶり。一体なにがあったっていうんだ??




「いや~蓮やったな!!さすが俺の友。さすがだぜ~」



あ~だこ~だ考えていると、健が喋りかけてくる。



「なにがさすがなんだ??」




「て、おい。発表の紙見てないのかよ」



そう言って健は指をさす。俺はその指をさしたその先を辿っていくと・・・




二位 一年A組 一之瀬 蓮




「あ・・・」




そこに俺の名は刻まれていた。横には二位という文字が燦然と輝いていた。あれ?これってもしかして・・・



「いや~やっぱり蓮の頭脳はMr.GBなんて目じゃなかったな!!」




あ、これはまずいな・・・まさか俺が及川の上をいってるだなんて思ってもみなかった。このハイレベルな争いで三位ともくれば、普通は負けたと思うだろ~。だからてっきり負けたとばかり思っていたのに・・・



俺は恐る恐る及川のほうに視線を向けると



「・・・くっ!!」



及川はそう言って俺に背を向けると突然走り出し、この場をまるで陸上のスプリンターかと思うほどの凄まじいスピードで後にした。




「あちゃ~、こりゃまずいことになったな・・・」





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