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第十六話 Night school~月夜の徘徊~

 今、俺達は工藤からの情報を聞くところだ。なんでもまた情報部から情報が入ったらしい。一体情報部はどうやって調査しているのか気になるところではあるけど、まずは話を聞こう。



「で、情報っていうのは?」




「はい、今それをお話いたします」



そう言って工藤は一旦間を置いてからまた話しだす。



「今回入った情報というのは、なんでも夜のこの学校で魔力の反応を感知したとのことです」



「夜・・・」



夜、この学校で魔力が感知された。でもそのころには生徒はいない。この御崎山学園は、夜8時以降生徒は校舎に残ってはならないという校則がある。ちなみにこの学校には幾つも校則があるのだが、いずれも破れば厳しい罰が与えられるらしい。それがどんなものなのかはわからないが、なんでも相当怖いという噂がある。それをみんな知っているため、校則を破る者は誰もいない。



ということは・・・




「つまり先生の内のだれかの仕業ってことか・・・」




「そのとうりです。さすが一之瀬さんですね」




つまりはそういうことだ。夜、この学校に残れるのは先生方しかいない。そうなるとやっぱり・・・




「これでなおさら荒木先生の疑いが濃くなりましたね」




「そういうことになるのか・・・」



荒木先生は良い先生だ。それは今日一日観察してよくわかった。あの人が魔族だなんて全然考えられないが、こうなった以上、調べるしかないのだろう。



「そこでなんですが」



工藤がみんなに声をかける。



「今日、さっそく夜の学校を調査したいと思うのですが」




「え~!?」



すかさず健が悲鳴を上げる。



「俺今日はやりたいこといっぱいあるってのに~」




「何言ってんのよ。そんなのいつでもできるでしょ。今やるべきことはターゲットを探すこと。それぐらいあなたもわかってるでしょ」



「ちぇっわかったよ、やりゃあいいんだろ」




そしていつものように玲が健をなだめる。どれだけ健がごねても、結局は玲に押し負けるんだよな。まあそうでもなけりゃ、健がどこにいくかわかったもんじゃないしな。相変わらずとてもバランスの良いコンビだ。




しかし夜の学校をどうやって調査するのか。普通ならみつかればすぐに帰らされて、翌日にきつい処分が待っている。



「どうやってこの学校に残るんだ?」



工藤に聞いてみる。




「ああ、その辺は大丈夫です。こちらでもう手は打ってありますから。そこは心配なさらずに」




・・・不安だ。そもそももう既に手を打ってあるというところが引っかかる。どんな手を打ったのかも気になるところだが、工藤は新しい情報といっていた。そのわりには動きが速すぎる気がする。



まあ今はそんなことを考えている暇はないか。



「ではそういうことでお願いします。伊集院さんもいいですね?」



「・・・問題ない」



「では、夜になるまでしばしここで待機していてください」



そういって工藤が部屋を出て行こうとする。



「おい、お前はどこに行くんだよ」



健が声を上げる。



「ちょっとヤボ用がありまして。丁度良い時刻になりましたらまた戻ってくるのでそれまでくつろいでいてください」



そういって工藤は部屋を出て行った。



「ちぇっ勝手だな全く」



健が愚痴をこぼす。たしかにそのとうりだ。待機してくれといった本人がどこかにいくんだもんな。



そして俺達は、夜になるのを待つために部屋で暇をつぶした。





 


 あれからもう数時間が経った。



あたりはもう既に真っ暗だ。それもそのはず、時計の針はもう九時をまわっていた。本当なら生徒は校舎に残っててはいけない時間だ。



「しっかし工藤おせえなあ~」



健がなげく。確かに遅すぎる。もう数時間もたっているのに一向に帰ってくる気配がない。その間俺達は、部屋にあったトランプで時間を潰したり、本を読んだりしていた。



しかしそれもそろそろ限界だ。健じゃなくてもさすがに滅入ってくる。それでも伊集院さんは淡々と本を読んでいる。この程度の時間潰しはお手の物という感じだ。



しかし遅い。一体工藤はいつ帰ってくるのだろうか?




そう思っていた矢先




ガチャ




ドアの開く音がする。



「どうもみなさんお待たせしました。では今から見回りに行きましょう」



そう言ってまた工藤は外に出る。



「全くあのやろう、俺達をなんだとおもってるんだ」



健が怒りをあらわにする。



「まあいいじゃない。やっと部屋から出れるんだし。とっとと終わらしちゃいましょ」




そして俺達も部屋を出た。





 

 夜の学校というのはやっぱり不気味なものだ。普段いつも歩いている廊下も、あたりが暗いと雰囲気もガラッと変わる。



廊下の電灯はもちろんもう点いていない。今ある光は外から差し込む月の光だけ。それ以外はなにもない。だがその光に映し出される廊下は、なんだか幻想的なものでもあった。



「玲は確か暗いところだめだったよな?」



健が歩きながら玲に話す。



「うるさいわね!これぐらい平気よ。もう高校生なんだから・・・」



玲はそう強く反論するが、どうにもこうにも声が震えている。どうやら本当に暗いところが苦手のようだ。なんか意外だ。普通の女の子って感じだ。まあそんなことを本人に言ったら間違いなく殺されそうだけど。



「大丈夫?」



俺は玲に声をかけた。



「へ、平気よ・・・といいたいけどやっぱり少し怖い。暗いのはちょっとしたトラウマなのよ」




「トラウマ?」



俺は玲に聞き返す。




「ううん、なんでもない。さあ、行きましょう。早く終わらせるためにも急がないと」




「え、あ、うん・・・」




そしてまた再び俺達は歩き出した。







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