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第百七十七話 お披露目会~「メイド」、それは魔法の言葉~

※更新したことにはならないので気付きにくいですが、まだ半分ながら第一話が更新されています。



「よし、んじゃあ後は実行委員に任せるとするか。頼んだぞ、お前ら」


明くる日の午前一発目の授業、もとい1時間目の時間。まだ来たばかりで学校にイマイチなじんでいない浮ついた雰囲気にざわめく教室で、俺達の最初の出番はやってきた。


「なんかようやく本格始動って感じだな」


いつもなら向こう側、黒板に向かっている生徒用の座席ではなく、その生徒達を逆に見つめる側のこの場所。ちらっと見渡せば自然とずらーっと奇麗に並んだよく知る顔の数々からの視線が目に入る。そんな状況が思った以上に新鮮で、思わずごくりと息を呑んでしまう。


「な~に緊張してんだよ蓮。まあ確かに、「アレ」をここで今から発表するってのは、ある意味度胸はいるとは思うがな」


と言いつつも健さん、あなたは緊張とは無縁の感じ、むしろわくわくと心を弾ませているように見えるんですが?

まあそれが健と言えばそれでおしまいなんだけど。それにもしかしたらこういうのを今まで何度も体験したことがあるのかもしれないしな。


ちらりと少し様子を見てみると俺以外のみんなも冷静そのもの。


及川は会議を仕切るべく以前決めた出し物についての原案が書かれた紙をせっせと整理してるし、玲は黒板に会議に必要な項目を書き出しているし、あの恥ずかしがり屋の篠宮さんでさえ落ち着いてその玲の補佐に回っている。こうして見ると、どうやら浮足立っているのは俺だけらしい。


 俺達の最初のお仕事。それは俺達実行委員が決めたこのクラスの出し物のお披露目。

基本的にはみんなから選出された実行委員が決めたものだから、それについてどうこう争いが起きることはない。ただ俺達はこんなことをするんですよ?いいですね?って感じの確認ってことだ。


ただそれだけなんだけど・・・。まあ健の言うとおりどうしても「アレ」を発表するってのは若干の抵抗というか、戸惑いがあるのが正直な思いなわけで・・・。


(でも、あの篠宮さんが自分から言い出したことだもんな)


俺の頭の中によぎるあの時の篠宮さんの姿。

自分自身が潰れてしまいそうになるほどの恥ずかしさを堪えて、自分が言おうとしてることの意味を知りながら、それでも精一杯の勇気を振り絞って。


忘れようにも忘れられない。弱々しくも必死に見せたあの強き意志。それを、無駄になんてできない。ましてやバカにするなんてもってのほかだ。


俺達がやることは、それを正々堂々胸張ってみんなに発表することだ。



「じゃあ今から我々実行委員が決めたこのクラスの出し物を発表したいと思います。では柳原さん、お願いします」


 及川の合図に一つ頷いて、玲が黒板へとその文字を書き込んでいく。やはりこの学園の行事の中でもトップクラスの意味を担っている学園祭だからか、玲が書き込む一つ一つの文字に教室中の視線が集まっていく。


最初にメ・・・そしてイ・・・。

まだ名前としては全然未完成だけど、俺は確かにこの眼で確認した。その二文字だけで、好奇心の表情から驚きと喜びと悲哀にも似た表情へとそれぞれが変わっていく様を。


ほんと、わかりやすすぎておもしろい。


カツッ


「え~ではご覧の通り、僕達のクラスの出し物は「メイド・執事喫茶」に決まりました」


オオオーッ!


一斉に上がる歓声というかどよめき。俺としてはすぐにもっと盛大に歓喜の声でも非難の声でもなんでも上がると思っていたのだが、予想以上にみんな冷静にその文字の意味を捉えていた。


どよめきの多くはその「メイド」の文字にそそられたであろう男子が多く占め、女子の方はというとどちらかというと驚いているというか戸惑っているというか、混乱気味で声が上がっていない状況の模様。


う~む、この反応はどうとるべきなのか。一部を除いて賛成とも反対ともいえないこの状況。なにかじれったいような、そんな雰囲気が教室を包み込んでいた。


「えっと・・・なにか質問はあるかな?」


さすがに及川も少し困惑している様子。他のメンバーもさっきよりかはそわそわと確実に戸惑いの色を見せ始めている。

玲はきょろきょろと相手の出を伺う感じで、健はなにか面白くない感じにポリポリと頭をかき、篠宮さんにいたってはあたふたとあからさまに慌て始めているようだった。


まあ無理もない。簡単に言えば、みんなの反応が無さ過ぎるんだ。良くも悪くも、なにかしらのリアクションがないとこっちにしてもどうしようもないわけで。


辺りを見渡せばなにやらひそひそとそれぞれ話しているようにも見えるが、それ以上のことは誰もしようとはしていない。興味を示しているのは間違いないんだけどな・・・。


ふ~む、なにかきっかけ的なものが足りない、って感じなのかな?


「仕方ねえな。蓮、合わせてこいよ!」


「へ?ってお前なにを」


バンッ!


 そんな気まずい雰囲気を打ち破るがごとく、例によって、健が教壇を平手で叩いて打ち付け音を響かせる。そのおかげでそれまでもう一歩足りない雰囲気、空気にビリリッと亀裂が入って否応なく視線が集められる。


「まずは男子諸君!見てみたいとは思わないのか?普段滅多にお目にかかれない、リアルでの女子のメイド姿を!そしてそれを、諸君はなんの遠慮もなく拝むことができる光景を!!」


(選挙演説かよ!?)


なにをするのかと思えばえらく直球勝負。いやまあ健に変化球なんて求める方が酷ってものだが。

展開が進まないと見るやいなや、健が取った行動は直接みんなに訴えかけて切り開いていくという、なんとも単純かつシンプルな方法だった。


しかしまあ、今まで足りていなかったきっかけを作るには申し分ない。いや、もしかすると案外最高の手段になるのかもしれない!


「おお・・・そうだよ。公式で、生で女子のメイド姿が見れるんだ!」 「あれ、これってもしかしてすげえチャンスじゃね?」 「ああ、もしかすっと一生に一度の機会かもしれないぞ!?」


いや~さすが、俺が言うのもなんだが男ってのは単純バカでありがたいねえ~(笑)

元々一応の興味を示していたし、それになんといっても「メイド」という非現実的な響き。


まあどんな男でもそうだろうが、この御崎山学園のようなかなりの進学校では校風は自由であれどなかなか派手なものとは縁がないもの。そこでこんな輝かしい響きに魅かれない男子はさらに居ないと言うもの。いや、むしろこれこそが健全なる男子高校生というものだ。


健が立てた波紋は瞬く間にクラス中の男子へと広がり、やがては一体となってすぐさま一つの答えが返ってきた。


「男子供!お前らはこの案に賛成か?反対か??」


男子生徒達「賛~成ー!!」


なんとも実に単純である。けれどだからこそ健の取った複雑なことを考えるよりも単純でわかりやすい手段の方が受け入れられやすいということだ。それに男としての興味と本能を全面に押し出した演説、もとい問いかけ・・・。


もしかすると健にはそういう才能があるのかもしれないな。まあ本人はおそらく無意識なんだとは思うが、やっぱりこういうみんなを引っ張っていくのは健というイメージにピッタリだ。


「よ~し・・・後は女子達か」


 

 健の活躍により男子からの指示は得られた。後は女子、さすがにクラスの出し物を男子の賛成だけで決めるわけにはいかない。そもそも女子の方がクラスの割合的に多いわけだしな。


仕切り役の及川はその光景に呆気にとられ、玲はやれやれと言った感じに安堵のため息を一つ。

なによりそれまで委縮していた篠宮さんに少しずつ希望というか、笑みがこぼれ始めていた。


(しかし後は女子か。さてさてどうする健?)


だが問題なのは実際ここからだ。

篠宮さんが考えた案を玲が見た時、あからさまに動揺を示していた。だけどあれが本来の女子から見た反応なのだ。


「メイド」 篠宮さんのあんな可愛い服を着たいという憧れは女の子なら持っているかもしれないが、いざ自分が着るとなるとやはり若干の抵抗を感じるようだ。まあ嫌っていうより恥ずかしいって感じなのかな?まあ俺女子じゃないからよくわからんけど。


今うちの男子生徒達が見せたような反応を受けるのはおそらく必至なのだろうし。だからこそ今の曖昧な反応しかできない感じに戸惑っているんだろう。興味はあるけど世間体ってやつだな。


さあ~てどうするんだ健。・・・ってあれ?そういえばさっきの「合わせろ」ってのは一体・・・


「さあさあ女子のみなさん!想像してごらんなさい。メイドなんていう衣装、人生でもなかなか着られるものでもないよ?喫茶店だし売り上げも・・・」


(・・・よっぽどメイド喫茶を通したいんだな、健)


なにかいつもに増して熱くメイド喫茶について語る健。

こういうお祭り関係が好きっていうのもあるんだろうけど、妙にメイド喫茶というものに執着しているような気もした。


実際俺達の中じゃ一人温度差が違うし、今もこうして珍しく真剣にみんなを説得しようとしているし。なんだろうな。俺は篠宮さんの想いを~なんて言ってたけど、健の場合何か別の要因が働いているような気がしてならない。


・・・そういう俺はどうなんだ?


人のことばっか気にしてるけど、実際俺はこのメイド・執事喫茶に対してどう思ってるんだろう。篠宮さんのために、なんて。それこそ他人を言い訳にしているだけ。

俺はそっと額に手を当てて、自分の意識に問いかけてみる。



・・・なにか忘れてる。なにか間違っているような。

すごく大事なことが欠けているような気分。ぽっかりと穴があいているような感触。

教室の隅から聞こえるざわめきと声に意識が溶け合う内に、その想いは次第に大きく、はっきりとわかるようになってきた。


確かに男として女子のメイド姿が見たいってのは本望だろう。正直に言えば玲や篠宮さんのメイド姿なんて物凄く見たい。絶対に似合うだろうし可愛いだろうし、それに健の言うとおり滅多に見られるものじゃない。興味なんてあるに決まってる。


あれ・・・、でも違うな。ここまで赤裸々に語っておいて、俺の中に芽生えた更なる違和感。

でも違和感を覚えたってことは、今の間になにか引っかかるものがあったってことか。


学園祭、メイド、女子、玲、篠宮さん・・・。うん、思考だけ見たらどこかの変態にしか見えないな(笑)


わっかんねえ。でも、メイド喫茶自体は絶対に嫌じゃないはず。

ただ、そこに健と同じように他の誰かとは違う別のなにかを望み、欲しているのは確かだ・・・


「さあさあどうです女子のみなさん。まずは見てみてください一之瀬君の執事というものを!」


ポンッ


「へ?」


 いつのまにか肩に置かれていた健の手。ハッと気付いた時にはクラス中の視線、特に女子からの強い視線がこれでもかと集められていた。


・・・なにがどうなってこうなった。周りの音は確かに耳に入っていたが、あくまでも音でしかなかったから内容なんて知るわけがない。

いきなりすぎて頭が真っ白、訳が分からず呆然と立ち尽くそうとしていたその時、耳元に悪魔の囁きのような健の声が届いた。


「ほいっ、目の前にお嬢様がいらっしゃったぞ執事さん!」


「えっ・・・」


途端に無意識に体が反応した。


「い、いらっしゃいませお嬢様・・・」


いつのまにか俺は深々と手を胸に添えてお辞儀をしていた。突然だったとはいえ、自分の反射速度に素直にびっくりだ。健が言ったことを本当に理解したのは、お辞儀をして教室の床をまじまじと見つめてからだったからな。


・・・てかなんで俺、こんな格好してるんだ?


ざわざわざわ・・・


なにやら辺りからざわめきが。気にはなるのだがなにせ取った行動が行動だ。正直まだみんなに自分の顔を見せられない状況です。

仕方なくお辞儀した状態のまま、耳だけを傾けてみると・・・


「た、確かにこういうのって女の子ならぐっとくるかもね」 「実際私も憧れちゃうかも~」 「メイド姿ってのも、意外と貴重な体験なのかも」


なにやら反応ありの様子。耳に届く言葉は今までよりもずっと良い反応のようで、確実に今までのじれったい空気から脱出しているような感じだ。


一体どんな展開になってこうなったのかは知らないが、なにかしら効果はあったのか?


「はいっ」


 そんなざわついた雰囲気の中で、それを象徴するかのように一筋の声がこだましこちらへと届いた。


「しっつも~ん!その案って、一体誰が考えたの??やっぱり相川君?それとも一之瀬君?もしかして及川君とか~??」


(なっ、そこでその質問がくるのか!?)


思わず飛びはねるように体を起こす。そして真っ先に目に入ったのは悪戯っぽくはにかみながら手を垂直に挙げるクラスの一人の女子生徒だった。


(なんでここまで来て最後の最後にそんな試練を与えるんだよ!)


実際にはちょっとした悪戯、興味本意なのだろう。そこに矛先を求めるのは筋違いってもんだ。

けれど状況が悪い。確かに本当に俺や健やもしそうだったら超意外だけど及川だったとしたら、良い感じに笑えただろうが・・・


すぐさま視線を玲の隣に居る篠宮さんへと移す。

そこには案の定体をびくつかせながらリスみたいに縮こまろうとする篠宮さんの姿があった。


そう、この案を考えたのは他の誰でもない。篠宮さんだ。誰がそう言えとも言わずに、自分から「メイド喫茶」という意見を堂々と俺達の前で発表したんだ。そしてそれを俺達はしっかりと受けとめた。


(だけどさっきの反応みちゃどうにもなあ~)


反応が無い実行委員である俺達に容赦なく視線が集まる。さっきまでざわついていたのに今じゃ時計の針の音さえ聞こえそうなぐらい静まり返っている。


そう・・・問題なのはみんながみんな俺達と同じように受け止めてくれるか、なのだ。

なにせ「メイド」って言葉には悔しいが若干の偏見が生まれる時がある。現に目の前の女子生徒は候補の中に俺を含む男の名しかなかった。それが少なからずそういう目で見られているなによりの証拠。


もしもここで実は篠宮さんでした~なんて言ったら、そりゃおそらくほとんど受け入れられるはずだがもしかするとそういう偏見な目で見ようとする奴が居るかもしれない。そうなったらちょっとの衝撃で潰れそうなぐらい動揺する篠宮さんは・・・


(やはりここは・・・)


顔をみるみる真っ赤に染めようとする篠宮さんを見て、俺はすぐさま息を吸い込んだ。

そうだ、俺がここで名乗りでればなんの問題もない。そんな想いを盾に、俺は溜めこんだ空気を吐き出すと同時に声を挙げようとした・・・が。


「ううん、これはそこの男三人衆が考えたんじゃないの。「メイド喫茶」は、優菜ちゃんのアイディア!」


それを遮るように、先に教室に響いたのはなんの迷いもない玲の声だった。


「れ、玲・・・?」


「まあ黙って見てろって、蓮」


思わず身を乗り出しそうになった俺を健はぐいっと肩を押して食い止める。


「ね、優菜ちゃん!」


そして玲の垢抜けた明るい口調の言葉と共に、教室中の視線が一斉に篠宮さんへと集まった。


「う・・・うん!」


けれどそんな無数の視線の中でもそこに居たのは、俺の予想していた姿とは全く別の姿の篠宮さんだった。


「私・・・前から憧れてたの。メイドさんみたいな可愛い服を、一度でいいから着てみたかったし、自分の手で作ってみたかった。確かにちょっと恥ずかしいけど、こんな機会じゃなきゃ・・・その・・・」


顔はまた見事に林檎色に染まってる。もじもじと触れあう手も、小刻みに震えている。

けど、それでも彼女は必死に絞り出し、自分の気持ちをみんなにしっかりと喋っている。

たぶんめちゃくちゃなプレッシャーを感じているとは思うけど、今の篠宮さんの体は決して小さくはなっていない。むしろいつもよりも、大きく華やかに見える。


「ふ~ん、そっか~・・・」


そんな篠宮さんを見て、手を挙げていた女子生徒は大きくうんうんと何度も頷く。そして優しい目で篠宮さんを見つめ直すと


「ねえみんな。「メイド・執事喫茶」、いいんじゃない?」


辺りを見渡しながら、クラスのみんなへと問いかけてくれた。


「うん、確かに私も一度ぐらい着てみたいかも」 「うん、こんな機会でないと着れないだろうしね」「それに他のクラスより断然目立つし!」 「なによりすっごく可愛くなりそうだよねっ!」


その声を発端に続々と沸き起こる賛同の声。さっきまでの遠慮ばかりのリアクションの薄さはどこへやら、いつのまにかクラスの女子の間では一斉にメイドの話で楽しげな会話が弾んでいた。


「おい及川!最後バシッと決めちゃってくれ!!」


「む、「おい及川」って変なダジャレみたいでやめてくれよ。まあいい、わかった」


健の激に及川は頷くといつものように得意げに眼鏡をくいっと上げて、みんなの方へと向き直った。


「では、僕達のクラスの出し物「メイド・執事喫茶」に、賛成の方は拍手を!」


ワーーーーッ、パチパチパチパチ!!


 一斉に沸き起こる拍手喝采。それに歓声のオマケ付き。クラス全体から沸き起こる拍手の雨あられは実に爽快で気持ちいい。


篠宮さんの意見にみんなが賛成してくれている、なによりもの証拠だ!


「やったね優菜ちゃん!」


「うん、緊張したけど本当に良かった。ありがとう柳原さん!」


拍手喝采を前に玲と篠宮さんは手を取り合って精一杯に喜びを表しながらジャンプしちゃってる。受け入れてもらえた篠宮さんはもちろんだが、それと同じくらいに玲も満面の笑みを浮かべて一緒に喜びあっていた。


「蓮は知らなかったと思うけど、あれで篠宮さんを励ましたり勇気付けたり。今日のこれも「お披露目の時に聞かれたら正々堂々と自分の意見を言うのよ」って、ずっと言い聞かせてたからな」


俺の肩に手を置いたままそんな二人を見つめる健。健もそれなりの心配はしていたのか、俺を食い止めた時からずっとこもっていた力も今はホッと一息。ゆっくりと肩を下ろして手からも力を抜いていた。


「いや~止めてくれてサンキューな。もう少しで余計なお世話というか、篠宮さんの想いを妨げるところだったよ」


実行委員が集まって会議した時にも感じた二人の絆。

友達というよりもはや姉妹のような親近感、いやもう姉妹と思っていいだろう。


けれどそれ以前に、俺は大きな間違いを犯していた。


「確かに恥ずかしがり屋だし引っ込み思案だけどさ。お前が思ってるほど、篠宮さんは弱くねえぞ?」


「・・・だな」


なんか一人勝手にカッコつけて庇おうなんて考えをしていたけど、それがそもそもの間違い。勝手に篠宮さんを弱い人だと決めつけて自己満足に助けようとするなんて、なんて愚かでおこがましいことだろう。


篠宮さんは弱くなんかない。むしろ、強い人間だ。俺なんかよりもずっと、な。


むしろ思ってる以上に、他の誰よりも自分は弱い存在なんじゃないのかなと、密かに心の中で俺は呟いていた。



1年A組、学園祭出し物・・・「メイド・執事喫茶」に決定!!






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