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第七話 First target~魔槍使いウィスパー~

 今、俺の目の前にいるのは今回の戦闘のターゲット。すなわち魔族の大将格である。そんな奴を俺は発見してしまった。俺には竜の刻印がない。そんな俺がこんなやつと戦えるのだろうか。剣をにぎる手の力がより一層強くなる。額には汗、そして体は震えている。目の前にいる大きな槍をもっているやつにたいして俺は、恐怖を感じていた。


「我が名はウィスパー。しかしこうも簡単にみつかってしまうとは。まあ仕方がない、お前の命、我がいただくぞ!」


ウィスパー、そう目の前にいる魔族は名乗った。ん?そういえばさっきの幻影達は魂をウィスパー様にささげるとかいっていたな。やはりこいつが親玉か。しかしどうする、どうすれば俺は戦えるのか・・・


相手をみるかぎり相当の魔力の持ち主だ。あんな大きい槍をくらえばひとたまりもない。俺は刻印がないから結界もはれてないし。やられれば確実に俺は死ぬ。


俺があれこれ考えているとウィスパーという魔族が話し出す。


「ん~?お前、竜族のくせに結界をはっていないのか??それじゃあ俺に殺してくれといっているようなものじゃないか。全くなめられたものだ。そんなお前にはきついお仕置きが必要だな」


そう言うとウィスパーが槍を構える。


「貫け、閃光の我が魔槍よ、ここにいるおろかなドラゴンに制裁をくわえよ!!」


そう言うともっている槍が光りだす。なんだ?いったい何をしてくるんだ??俺は剣を構えた。なにをしてくるのかは全くわからないが、攻撃をしてくることは間違いない。集中しないとやられる!


「ライトウルフランス!!」


ウィスパーの持っている槍が輝き、そしてそれからウルフの形をした無数の槍が飛び出し、俺めがけて飛んでくる。やばい、よけきれない!このままじゃやられる!!


俺は目をつむった。


もうだめだ、殺される。くそっこんなところで俺は死ぬのか?いやだ、死にたくない。誰かっ!!


俺は心の中で叫んだ。すると



「ホーリーランス」



一人の女の子の声が部屋に響く。



すると無数の光の槍が上から俺の盾となるように地面に突き刺さる。そしてさっきのウルフの形をした無数の槍はその光の槍にはじかれた。



「!?、だれだ!!」



「ターゲット、発見」



すると俺の前に伊集院さんが現れた。背中には純白の大きな羽が生えている。それはまるで天使のようだった。



「ちっ、ホワイトドラゴンか。だがお前一人で俺に勝てるとおもってるのか?」



「勝てるのかじゃなくて、勝つのよ」


そう言うと伊集院さんが詠唱を始める。


「我の前にいるこの罪人に神の制裁を与えよ・・・」



「ホーリージャッジメンツ」



そういうとあたりが光に包まれる。眩しい、一体なにが今起きているんだ。



「これは・・・まさかこれほどの魔術を使いこなすとは・・・仕方がない、ここは一度退かさせてもらうよ」


ウィスパーはそう言うと、この部屋から黒い煙と共に消え去った。また逃げられてしまった。


そして伊集院さんは詠唱を中断した。




「あ、ありがとう伊集院」




 俺は伊集院さんに礼を言う。俺は伊集院さんに助けられた。いわば命の恩人だ。あの時伊集院さんが来てくれなかったら俺は間違いなく死んでいただろう。


「礼なんていらないわ。私はあなたを助けに来たんじゃなくてターゲットの魔力を感じてここに来たんだもの」



伊集院さんはただそれだけ言い放つとまたどこかに行こうとする。



「待ってくれ、俺も一緒に・・・」



「あなたはここに隠れていて。刻印のないあなたが来ても戦闘の邪魔になるだけよ」



そう言うと伊集院さんは消え去った。一体なんだったんだ?今確かにわかるのは俺を助けに来たんじゃなくてターゲットを倒しにきたってことか。


「ふう~」


俺は一息つく。伊集院さんがどう思っていたとしても結果的には俺の命は伊集院さんに助けられたことには違いない。しかしさっきのウィスパーというやつはさっきまで戦っていた幻影とは桁違いの強さだった。あれがターゲット、たしかに今の俺が戦える敵ではなかった。


「だけど・・・」



俺は立ちあがる。俺はあの時たしかになにかを感じた。そしてその先にターゲットがいた。よくわからないけど俺にはなにかを感知する能力があるのかもしれない。さっきのはたまたまという可能性も捨てきれないが、俺はその力に賭けてみることにした。どうせそれ以外にターゲットを探す術は俺にはないんだ、それなら賭けて損はない。


「よしいこう!!」


そういって俺はこの部屋を後にした。




 俺はまた校舎内を走った。さっきの寒気というか気配を感じる場所を探して。


「くそっなかなかみつからない」


あの部屋からまだあいつは消えたばかりだったからそう遠くにはいってないはずだ。まあ遠くにワープしたっていう可能性もあるのだが、なぜだか知らないけど俺はきっと近くにいる、そう感じていた。


そして俺は図書室に続く廊下にたどり着く。すると・・・



「うっ!!」



またさっきの反応だ。間違いない、この近くにさっきのターゲットがいる。そうすると一番怪しいのは図書室か・・・


俺は図書室に足を運んだ。




 図書室の中には、襲撃を受けたのが昼休みということもあってか、何人かの人間がいた。もちろん皆固まっている。


「あ・・・」



その中に篠宮さんを見つけた。くそっよりによってこんなところに。ここでもしターゲットとの戦闘になればここにいる人達に被害がでることは間違いない。魔力がない人間はこの結界によって動くことができない。俺が守らなければ、ここにいる人たちが犠牲になってしまう。


「くそっ!」


俺はさっきと同じように魔方陣を探した。きっとここのどこかにウィスパーは隠れているはずだ。倒さなければここにいる人は皆殺されてしまうだろう。


俺は必死に魔方陣を探した。そして



図書室の一番奥の棚の裏に魔方陣を発見した。おそらくここにウィスパーが隠れているのだろう。くそ、ここで戦闘をするわけにはいかない。俺はその棚を動かそうとするが重すぎてびくともしない。


「仕方ない・・・」


俺は固まっている人間たちを移動させることにした。



一人ずつできるだけ安全なところに運んで行く。だが、結界が切れるときにはこの人たちを元の場所にもどさなければならない。そうしないと人間たちがなにかがあったことに勘付いてしまう。それにまだここら一体にはあいつの幻影もいるだろうし・・・


「ん?ここは倉庫か・・・」


俺は図書室の本の倉庫を見つけた。ここは廃棄する本、新刊の本、そして生徒が返した本を一時的に保管しておく場所だ。ここなら戦闘になっても被害がでることはないだろう。それに図書室のとなりだし戻すのも簡単だ。


「よし!」



俺は図書室にいる人を移動させ始めた。もちろん倉庫に幻影がいないことも確認ずみだ。なんとか人間に害をださないためにも俺は急いで作業を進めた。いくらウィスパーが隠れていたからっていつ出てくるかわからない。それにこちらの様子を見ているかもしれない。こんな状況で出てこられたらひとたまりもない。急がないと・・・




 そして、俺はほとんどの人間を倉庫に移動させた。後、残っているのは奥にいた篠宮さんだけ・・・


俺は篠宮さんを移動させるため、図書室の奥に向かおうとすると・・・




「そんなに人間が大切か?」



「え?」



突然声が聞こえた。



俺は声のする方を振り向いた。そこには先ほどまで魔方陣で隠れいたはずのターゲットのウィスパーが立ちはだかっていた。



「ウィスパー・・・」



やばい、この先には篠宮さんがいる。どうする、篠宮さんが危ない。彼女だけは守らないと、そう頭に浮かんだ。だがそのためにはこいつを倒さなければならない。でも俺にこいつが倒せるのか?




「やっとお前一人の場面になったな。さあ、死んでもらおうかあ!!」




俺のターゲットとの孤独な戦いが今始まる。



(篠宮さんを助けないと)



なぜだかはわからないけど、篠宮さん、優菜さんは助けなければならない。そんな気がした。圧倒的な力の差があることもわかっていた。だけど今は・・・



(・・・やるしかねえ!)



俺は剣を強く握りしめ、ウィスパーにむけて構えた。











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