プロローグⅠ~始まりの日~
※注意 この小説の前半部分の回は、物書きを初めて間もない頃のため非常に拙い文章が(今も駄文ばかりですが)多いです。完結までほとんど修正の予定はないので、もし厳しかったら流し読みや飛ばし飛ばしでもOKです。申し訳ありません・・・m(_ _)m
かつて人間界と魔界はつながっていた。いや、同じ世界に存在していたという方が正しいか。人間と魔族、二つの種族は初めは共存しようとしたが二つの異なる種族、年月が経つにつれて争うようになった。やがてその争いは大きくなっていき戦争にまで発展した。
戦争は魔力が使える魔族達が人間たちを圧倒した。次々に人間たちを虐殺し、土地を奪っていった。
この状況をみて人間界の王メリルは、魔族を凌ぐ力をもつ竜族と契約を交わすことを決意する。
メリルは竜族のすみかであるほこらにむかった。人が踏み入れたことのない森。そこを抜け、ようやくたどりついたほこらの中に入ろうとした時、突然心に謎の声が響いた。
「汝、我の力を欲するか」
(!)メリルは周囲を見渡した。周りにはなにもなくただ上から落ちてくる水滴が跳ねる音が響いてるだけだった。誰の姿もない。
(気のせいか)
そう思い足を動かそうとするとまた声が響いてきた
「汝、我の力を欲するか」
(!)
(気のせいじゃない)
「誰だ!!姿をみせよ!」
メリルは叫んだ。すると
「いいだろう」
そういうと地響きと共に目の前に黄金の輝きを放つ黄金の巨竜があらわれた。
「お前は・・・」
「我はシリウス、竜族の長である」
どうやらさきほどから聞こえていた声の主のようだ。
(にしてもでかい・・・)
あまりの大きさと美しさにみとれてしまった。金色の翼、胴体、鱗、そしてこちらを威嚇するようにみつめる深い深い赤色の目。
それに気付いたのかシリウスが声をあげた。
「汝の望みはなんだ。」
その声ではっと我に返る。
「望み・・・」
望み、それは自分と同じ人間たちを、民を魔族から救うこと、そして戦争を終わらせることだ。
「私の民を魔族から救ってほしい。そして二度とこんな戦争がおきないような平和な世界をつくりたい。お前たちの力をかしてくれ!!」
「それが望みか」
シリウスが聞き返す。
「そうだ」
こちらも強く言い返す。
いつのまにか手はこぶしを握り、視線も巨竜に負けじと鋭くなっていた。正直そうでもしないと巨竜の威圧で吹き飛ばされそうだった。
「そうか、お前の望みはわかった。だがこちらもただでやるわけにはいかぬ。」
まあただでってわけにはいかないことはわかっていたことだ。ただでさえ竜族からみれば人間なんて存在は小さいものだろう。契約してもあっちにはなんの得もないことだ。
「俺はなにをすればいい」
恐る恐る聞いてみた。金がほしいならいくらでもやる、土地がほしければどこでももっていけ。覚悟の上でシリウスの答えを待っていたがシリウスの答えは意外なものだった。
「では、お前の命をもらおう。」
(命!?)
予想していなかった答えだった。
シリウスはまた言った。
「お前の死を持って誓いとする。」
(俺が死ねば民は助かる・・・)
「本当に俺が死ねば民は助かるのか!!」
シリウスは答えた。
「たやすいことだ。お前たち人間たちと魔族を切り離せばよいのだろう?」
(切り離す?)
いまいちよくわからなかった。俺達人間と魔族とを切り離すとはいったいどういうことなんだろう。考えてみたが全くピンとこなかった。
「どういうことだ」
シリウスはまた答えた。
「お前たち人間と魔族が住む世界を別にすればいい。つまり異空間上で二つの世界をつくりそこに二つの種族をそれぞれ住まわせればお前たちは戦争をおこすどころか、二度と魔族ともあわなくて済むのだ」
「・・・」
正直な話、説明をきいてもわからなかった。とにかく戦争さえおこらなければなんでもいいと思った。
「それで永遠に魔族との争いは起きないんだな」
「ああ、約束しよう」
シリウスは自信気に答えた。
いままで民が幸せに暮らせるよう努力してきた。そうして築いてきたものが戦争によって一瞬で崩れていく。それをみるのが耐えられなかった。だからこうしてここにいる。俺が死ねば戦争は終わる。こんなばかげたことでだれも傷つかなくてすむんだ。それを俺の死で実現できるんだ。迷うことはない。
「いいだろう。俺の命をくれてやる。俺の民を救ってくれ!!」
澄んだ声で、シリウスに叫んだ。なにも思い残すことはない。
「承知した」
シリウスは重い声でそう言った。まるで俺の答えがわかっていたような感じだ。
「しかし人間とはおもしろい。こうまでして他人を救おうとするとは。いや、単にお前がばかなだけか。それに我が宿命をお前たちに託すのも悪くないだろう。いいだろう、我ら竜族、お前たち人間に永年仕えるとしよう。ではここに・・・」
「契約を結ぶ!エンゲージ!!」
そういうと俺の体は光に包まれた。そして、巨竜に吸い込まれていった。
「これは・・・」
「お前は我の中で輝き続けるのだ。永遠にな」
やがて空に一筋の光が伸びた。戦場にいた魔族たちは
「なんだこれは」 「どうなってんだ、うわぁぁぁぁぁ」
魔族たちはたちまち光となって消えていった。空は光に包まれた。空全体が黄金色に染まりやがて今まで濁っていた空に青い空と太陽の日差しがふりそぞいた。
人間たちはおどろいた。さきほどまでいた魔族がすべて消え去ったからだ。
やがて、それが王であるメリルのおかげであることがわかった。人々はこの日をメリルの日とし語り継がれていくこととなった。そして魔族もシリウスのいったとうり人間界にあらわれることはなくなった。人々は平和な日々を取り戻した。
ある事件までは・・・