14、大事なことだから・・・
そう!陛下の口から溢れ出たその音階は英語だったのです!
陛下!それ英語!
ええ、なにこの中途半端な設定。
どうして全部日本語じゃないの。不親切だ!しかも常用語のほうじゃないか!
「エーゴ?」
と呟いたのは陛下。
わあ、陛下。英語のほうが違和感がなかったです。
やっぱり日本語は無理があった。
「さっきのが大陸共通語ですか?」
「そうだ。エーゴとは?」
「わたしの世界の言語の一つです。いくつかの国で使われていて、国際補助語、えっと。地球では国によって言語が違ったりしますから、そういうときに用いられる頻度がたぶん一番多いポピュラー、認知度の高い言語です。」
こんな説明でいいのかな。
「それで?おまえはわかるのか」
来た。
来たよこの質問。
聞きたまえ。
佐藤家のご近所さんにはなんと金髪の美女が住んでいるのだ。
「ジャパーンのアニメステキだね」なイギリス出身だ。ありがとうございます!
わたしはなにかと幼い頃から足繁く通い、幸いなことに細々と英語を耳にしている。
そしてわたしが進学した高校!
英語に力を入れているという特徴があるのだ。
公立なのに!
何代か前の校長先生からだそうだ。ありがとうございます!
来た!
来たよ、わたしの時代が!
「聞き取りだけなら!」
そう!
聞くだけならなんとか、ならないこともないこともない。
うん。
うおっ
「陛下!痛い!」
「弾いたからな」
なんで!このタイミングでわたしの額を指で弾くのか。
なんででこぴん!
「胸を張って言うことではないだろう。不便なのは否めん」
「・・・それは、そうですけど」
確かに片言だと変に思われるかも。
あ、でもよその国から来ましたーで、だめだ。ここ、大陸公用語使用中だった。
・・・でもなんででこぴん。
額に片手を当てていると、いや、そんな痛くなかったけど気分的にね、陛下が立ち上がった。
なに?
「時間だな」
時間?
額から手を退ければ、窓に西日が射すのが見えた。
あ、結構時間経ってたんだ
「私は戻る。カミュ」
「はい」
即座に直立するサンファルさん。
おおっと、サンファルさん。
ごめんなさいすっかり忘れてた。
だってさっきからひとっこともしゃべらないからつい!
「これのことはアメリアに伝えてある。時間になったら私の部屋に連れて来い」
「・・・陛下」
「言いたいことがあるならあとで聞く。引き続き頼んだ」
「・・・御意に」
不承不承の体で腰を折るサンファルさん。
すみませんね、通常のお仕事を押しのけちゃって。申し訳ない。
ところでアメリアってどちらさま。
かわいい名前だね!もちろん女の子だよね!
ああ、やっと心に潤いが。
わたしがまだ見ぬアメリアちゃんにうふうふしているとパタンと扉が閉まる音がした。
って陛下がいない!
いつの間に出て行った!扉までのあの距離をそんな短時間で歩くとか、コンパスの自慢か。
ちくしょうズボンでなく足を裾上げしたろか!
口を閉じてしまった扉の繊細な模様を目で追っていると、視線を感じたので顔をあげればサンファルさんがわたしを見ていた。
わお。不審気!
「・・・異世界人」
サンファルさん!それ二回目!
閲覧、お気に入り登録、ほんとうにありがとうございます!
皆さんの貴重な時間を割いて読んでいただけることに恥じない程度の物語になるようそれを目指して精進しますので、これからも生温かく見守ってやってください。