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【異世界転生BL】王太子に毎日求愛されるけど受け入れられません!貴方は聖女と結婚するので  作者: 秋梨ミドリ


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第12話 真実の愛

「サラッと発表してたけど法改正ってどうしたんだよ?」


 ルイからのキスを受けながら、俺は気になっていたことについて尋ねた。するとルイは一度その動きを止めて、ケロッとしながら答える。




「どうって言葉のままだよ?聖女に関する憲法を整えてきたんだ。卒業式までに間に合ってよかった。」




 いくら次期国王とはいえ、学生が一人でできるような仕事とは思えず瞠目してしまう。




 「そもそも本人の意志も関係なしに強制結婚なんて、今どき意味分からないでしょ。立派な人権侵害だ。僕たち王族の立場としても、近年は聖女なしで安定した国を維持してきたわけだし、身元の分からない少女に命運を託す必要はない。お互い自身の望んだ相手と結婚するべきだよ。」




「で、でも法律どころか憲法だろ?改正ってそんな勝手にしていいのか?国会で賛同を得るとか、国民投票で賛成が何割以上、とかしなくちゃいけないんじゃ……」




「確かに多少手続きはあったけど古くて内容が内容だし、そんなに難しいことは無かったよ?なんなら最近制定された法律を改正する方が議会の反発もあって大変かなぁ。」




 ……そんな簡単な話だとは夢にも思っていなかった。どうやら前世の記憶に引っ張られたものの、この国の憲法というのは古くからあるというだけで、最高法規とかそういう難しい概念はないらしい。


 じゃあ小説の聖女もルイと結婚しないで済む方法はあったんじゃん!とか思ってしまうが、日本から転生してきた聖女自身もまさか逆らえるとは思ってなかったのだろう。


 そもそも異世界という右も左も分からない場所では無理もない。ストーリーの都合もあったのだろうが、ルイと真実の恋に落ちて幸せに暮らせたのならそれはそれで良いのか……


 グルグルと頭を抱えていると、「そもそも僕って次期国王だし。動きやすくて良かったよ!」などと呑気な顔で言われたので軽くパンチをお見舞いしたが、相変わらずニコニコである。うちの王子様はMかもしれない。




「それでも、マティスが教えてくれた必須アイテムについては引っかかっていてね。」


「聖女の杖か?」


 ルイは深々と頷いた。


「そう、魔王の邪気を祓うために必要だっていうから僕の方でも調べたんだ。その結果、聖女自身が真実の愛を女神に見せなきゃいけないっていうのは変えられない事実らしくてね。一番対策に困ったよ。一応いろんなタイプの優良物件は国中から見繕って、聖女が選び放題にできるよう準備はしてたけど、恋愛は結局本人の気持ち次第だからね。他者から仕向けることもできないし融通なんて利かない。だから、実際に優愛が現れてどうなるか様子を見るしかなかったんだ。」




 余裕そうな表情だったルイは、やれやれというように首を振り、眉を下げ疲れたような顔をする。そして、呆れたというように苦笑を浮かべた。




「……それで、どうなることかと緊張して待っていたのに、聖女は同じパーティーの騎士にコロッと惚れたんだから拍子抜けしちゃった。僕が優愛と一緒にいることが増えたのはもちろん魔王についての情報提供もあったんだけど、一番は二人の仲を取り持たされてたんだ。王太子を顎で使うなんて、全く良いご身分だよね。


 ……まぁでも、自分の意志で心から愛せる相手を見つけてくれて良かった。」




 呆れ顔の中に含まれる深い安堵。そして、聖女と騎士について語る時の満更ではない様子から、二人とも悪い人ではないのだろうと察することができた。


「マティスが言うように、聖女は僕の運命の相手なのかもしれないからね。でも、生憎僕はもうマティスしか愛せないんだ。


 なんで女神は聖女のことしか見てくれないんだろうね。真実の愛ならいつだってここにあるのに。」


 ルイは俺の髪をなぞるよう耳にかけると、そのまま覗き込むようにキスをした。先ほどまでとは違い唇を堪能するような甘い口づけに腰が痺れる心地がする。




「聖女が選んだのは僕じゃなくて有能で頼りになる男前な騎士だったよ。そして僕が選んだのは、僕の事が大好きなのに不安で素直になれない、可愛すぎる幼馴染の公爵令息だったってわけ。」




唇を名残惜しそうに話すと、ルイは愛しげに目を細めながら俺の頭を撫でた。 


「それでも手続きに3年以上かかっちゃった。進捗だって確定するまで話せなかったし……すごく不安にさせたよね?ごめんね」


「いや、謝ることなんてないだろ。俺のほうが……」 


「ふふ、マティスがツンツンしてるのは本意じゃないって分かっていても、久々に素直な言葉を聞けて凄く嬉しいんだよ。お互い3年間我慢した分、今日はたくさん触ったっていいよね?」


「まぁ」


 バレバレだったことに恥ずかしさを覚えながらも、全く満更でもなかったので頷く。それを見たルイは、顔を歓喜に染めると、俺の手を取りベッドへと向かう。


 触るというのはそういうことになるよな……。緊張と高揚で顔が火照った。

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