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11.頼もしい?助っ人は必要ないです

 ユリアが寝室に戻るとロザリーが心配そうな顔をして聞いた。


「ユリア様、皇子殿下と何かございましたか?」


 ユリアは侍女に夜着を着せてもらいながらため息をついた。


「何もないわ。まだ何もないの。だからお風呂も別々でお願い」


 ロザリーは驚いた顔をした。


「えっ、まだ何もないのですか⁈誰が見ても皇子殿下がユリア王女様のことベタ惚れしてるってわかるのに、何もなくてあの皇子殿下が王女様をこんなにも大事にしてらっしゃるのですか?……えー、本当ですか?いやー、信じられない!何の報酬もなくあの皇子殿下がお優しいなんて…もう、びっくりです!」


 ユリアはロザリーがわざと言っているように聞こえた。


「…ロザリー、もういいから…」


 ユリアはベッドに潜り込んで言った。

 ロザリーはベッドの傍に立ちユリアに聞いた。


「第五皇子殿下のことお嫌いですか?」


 ユリアは布団から顔を出した。


「……嫌いじゃないわ……むしろ好意的だと思う。でもそれだけよ。それにまだ正式な婚約者でもないのよ。わたくしの国では婚姻を結んでいないのに男女の関係を持つことはタブーなの。だからといってこの国の常識に逆らうわけじゃないのよ」


 ユリアは大きくため息をついた。


「わたくし自身愛されたことも、大事にされたこともなく育ったの。唯一わたくしに剣を教えてくれた騎士団の方たちだけが仲間の尊さを教えてくれたわ。だから同士として仲良くできても男女としては……わからない…というより必要としていないのよ」


 ロザリーは今にも泣きそうな顔で頷いた。


「わかりました、王女様。これからわたしが男女とは如何なるものか、少しずつ伝授させていただきますね。一緒に頑張りましょうね!」


 ロザリーはベッドの横に跪いてユリアの手を取り言った。


(あー、いや、そういうことじゃないんだけど……)


 ユリアはキラキラ瞳を輝かせているロザリーを見て何も言えなかった。


「お夕食はどうなさいますか?」


 ロザリーが聞いた。


「今日は疲れたからこのまま眠るわ」


「かしこまりました。そのように伝えておきますね」


「ええ、お願い」


 ユリアはそのまま横になって眠った。



 翌朝、ユリアがジョギングするために早く起きて着替えていると、ロザリーが部屋をノックして入ってきた。


「おはよう、ロザリー。どうしたの、早いわね」


「おはようございます。わたしも一緒にジョギングにお供いたします」


 ロザリーは張り切って返事をした。


「フレイム様も一緒よ」


 ユリアが言うとロザリーはニヤリとして言った。


「もちろん存じ上げています。だからです。お二人が上手くいくようにわたしが着かず離れずサポートしようと決めたのです」


 やっぱり昨夜言ったことを理解されていなかったとユリアは困惑した。


「ロザリー、気にしなくていいのよ。わたくしの気持ちの問題だから。こんなに朝早く無理する必要はないわ」


「いいえ、王女様。わたしは決めたのです。王女様が皇子殿下と結ばれるように最大限の努力をしようと。だから王女様こそ、わたしのことは気になさらずに、わたしに任せてください!」


 ロザリーはやる気満々で言った。

 ユリアは今は何も言っても無駄だと思い、ロザリーが何をしても冷静に対処をしようと思った。


 部屋を出るとフレイムもちょうど部屋を出たところだった。


「おはようございます、フレイム様」


 ユリアは少し気まずそうに言った。


「おはよう、ユリア」


 フレイムの方も気まずそうに横を向いて言った。

 二人の様子を見たロザリーは自分の出番だとばかりにしゃしゃり出た。


「皇子殿下、おはようございます。夕べは王女様大変お疲れになっていましてあれからすぐに就寝なさいました。決して殿下を避けているわけではございませんのでご理解ください」


「…ああ」


 フレイムは怪訝そうな顔をしてロザリーを見た後、ユリアを見た。

 ユリアは困ったという顔つきをして首を横に振った。


 ユリアとフレイムはいつものように庭園を一回りして林に向かって走った。

 ロザリーは着かず離れず後を追っていたが、庭園一回りでリタイアした。


「もう、無理……ここで待ってます」


 ロザリーはしゃがみ込んで言った。

 ユリアとフレイムは顔を見合わせて笑った。


「邪魔者はいなくなったな」


 フレイムが言うとユリアはロザリーを援護した。


「でもロザリーがいてくれたおかげで気まずさが減りましたわ」


「…まあ、そうだな」


「夕べはごめんなさい。裸を見られたくなくてキツく言ってしまいました」


「気にしてない……いや、嘘だな。気にした。だがもういい。今こうして一緒にいてくれるから」


 フレイムは微笑んでユリアを見た。ユリアも俯いて微笑んだ。


 林の中は昨日のままだった。


「あのままにしてるからユリアがいつでも使ってくれればいい」


「ありがとうございます」


 ユリアとフレイムは林を一周して庭園に戻った。

 ロザリーがガゼボに朝食を用意してくれていた。


「お二人で仲良く食べてください。わたしは少し離れたところでいますので何かあったら呼んでくださいませ」


 ロザリーはそう言うとユリアに向かってウインクをして下がった。


「今のウインクは何?」


 フレイムが眉をひそめて言った。


「気になさらないでください。さあ、早く食べましょう。フレイム様は皇宮で執務がありますでしょう」


 ユリアは愛想笑いをして誤魔化した。

 フレイムはユリアの顔を見つめながら、今日こそは皇帝に婚約証明書を発行してもらおうと決意した。


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