表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

無謀な秘策

東条湊が最後のホブゴブリン目掛けて駆け出した。


一度ホブゴブリンの攻撃を受けた少年のスピードは、ホブゴブリンたちを翻弄していたときからは見るも無残な状態だ。


ーー覚悟をきめろ!!


これから行う無謀な策を考え揺らぐ決意を今一度引き締める。


激昂したホブゴブリンの二の腕に再度血管が浮き出ている。

近づく少年目掛けて再びホブゴブリンの鋭利な爪が伸びてくる。


少年は今の身体では近づく鋭利な爪を避けることが難しいことを理解していた。

理解したうえで勝つための策を練り実行に移した。


ホブゴブリンの鋭利な爪が少年の腹部を貫いた。


一瞬の静寂と共に会場に悲鳴がこだました。


勝利を確信したホブゴブリンが笑みを浮かべていた、少年の表情を見るまでは。


滝のような冷や汗を流しながらも少年は笑っていた。


ーー今だ!!


少年は短剣を握る右手に最後の力を込めて、相対する怪物の首に3度突き刺した。


怪物は息をしようと何度か口を開くが、流れる血のせいで息もできずその場に倒れた。


ーーここまでは計画通り。あとは任せましたよ。


少年の目の前に現れたウィンドウをみることもできず、ホブゴブリンに重なるように倒れこんだ。


チュートリアルダンジョンをクリアすると、本人の意思に関係なく入ったゲートから出てくる仕組みになっている。


意識を失った少年も例外ではなく真っ赤に染まった衣服と真っ青な顔の少年がゲートから姿を現した。


ゲートの目の前にはゼノ・レオンハートと医療班が待機していた。

「急いで治癒魔法をかけてくれ!!絶対に死なせるな!!」


冷静沈着な男が焦っていた。


ーー頼む。やっと見つけた希望なんだ。死なないでくれ。


医療班が治療しているそばで世界最強の男が祈っていた。


会場は医療班の声以外聞こえないほど静まり返っている。


……


「ふぅ……なんとか一命は取り留めました…」


「ありがとう。」

世界最強の男が感謝を述べたことに驚いている医療班をよそにすでに落ち着きを取り戻していた。


「これにて今回の選定の儀を終了とする」


代表者の掛け声とともに選定の儀は終わった。

修練者という禁止職の誕生という衝撃を残して。



「……痛っ」


東条湊は強烈な痛みとともに病室のベッドの上で目覚めると同時に怪物の爪で貫かれた腹部を確認した。


ーーふさがっている。なんとかなったか。


安堵した少年は病室の窓からの景色が暗くなっていることで自分がどれほど気を失っていたのかに気づいた。


「やっとお目覚めかい?随分と無茶な作戦に出たものだね?」

「そこは師匠を信じてましたから。」

「まったく…変な約束をしちゃったね。」

「もう取り消せませんからね!!」

「わかったよ。」

「病み上がりのところ悪いけど聞かせてくれ。どうして修練者を選んだ?」


「世界最強になるためです!!」

「もう少し詳しく教えてくれるかな?」


「世界最強になる方法を探しているときにジョブカタログをみて見つけちゃったんですよ。

 全魔法・全スキルへの適正、成長率補正を持つジョブを。

 理論上では誰よりも早く成長して、どんなこともできるようになるのでこれしかないなって決めました。」


「理論上はそうなんだけど…初心者ダンジョンを超えた人がいないってこともその時知ったんだろう?

 怖くはなかったのかい?」


「…怖いですけど、もう決めちゃったので。世界最強を目指すと!!」


「そうかい。わかったよ。」


「そういえばチュートリアルダンジョンをクリアした時に何か表示されていたような。」

「ウィンドウオープン!」


ウィンドウに表示された文字を追っていた少年の動きが止まった。


「ん?なんてかいてあるんだい?」

「これ見てください。」


ーー基礎スキルの獲得 【成長率倍加(2倍)】

ーー本当にジョブカタログに書いてある通りだったんだ。


驚いている少年をよそにウィンドウをみたゼノ・レオンハートは驚きと共に笑みを浮かべていた。




ご愛読いただきありがとうございます。


引き続き、次の話についてもお楽しみいただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ