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第2話 チュートリアルダンジョン

東条湊はチュートリアルダンジョンへのゲートへ歩きだした。


ゲートをくぐると、縦横100メートルの無機質な空間が広がっていた。


ーーここが、チュートリアルダンジョンか。


身体の動きを確認する湊。


通常、ジョブを選ぶとジョブごとの基本武器・スキルが与えられる。

湊が選んだ修練者というジョブは例外でどちらも与えられない。

そのため、修練者を過去に選んだ7割のものはチュートリアルダンジョンの攻略に失敗している。


ストレッチをする少年の前に、ゴブリンが現れたとき会場にどよめきが広がる。


「チュートリアルダンジョンで現れるゴブリンは3体までのはずでは!?」


少年の目の前には10体ものゴブリンが並んでいた。


会場同様に少年も驚きを隠せない。


ーー修練者……こういうことね。

ーー大丈夫だ。僕ならやれる。


ゴブリンの知能は高くない。

群れで襲われれば脅威になるが1体ずつであれば脅威にはならない。


湊はゴブリンの横に並ぶように駆け出した。


湊の動きにつられてゴブリンたちも動き出すが統率は取れていないため、一列になって湊を追いかけ始めた。


少年の思惑通りに進んでいるが、少年の顔は険しいままだ。

修練者には基礎武器・スキルがないため、ゴブリンを倒す手段が乏しいためだ。


少年は先頭のゴブリンに狙いを定めた。

10メートルほど離れたところで少年は足を止めて構えをとった。


重心を後ろにずらし脚に力を溜めていることを気にせずゴブリンは少年に近づいていく。


ーーあと5歩、3歩、1歩


少年の間合いに先頭のゴブリンが入った瞬間、ゴブリンの頭めがけて少年の脚が向かっていく。

衝突した瞬間、ゴブリンの頭が180度後方に回り膝から崩れ落ちた。


ーーよし!!これならいける。


ゴブリンたちは仲間が倒れたことに驚き動きを固めている。


その隙を少年は見逃さずゴブリンたちに近づいていく。

3度少年の脚が衝突する音が空間に広がった。


ーーあと6体


倒れたゴブリンが落とした棍棒を拾い上げると同時に一番近いゴブリンの頭めがけて投げた。


ーーあと5体


半分に減ったゴブリンたちからは脅威を感じることがなくなったため、少年は勝負に出た。


流れるような動きで1体、また1体とゴブリンたちを倒していく。

最後の一体も難なく倒した少年は一息ついた。


ーー修練者とはいえ、チュートリアルダンジョンならこの程度か。


この日に向けて万全の準備をしていた少年からすれば拍子抜けの結果だったが、会場は盛大に盛り上がっていた。


「10体のゴブリンを武器もスキルもなく倒したぞ!!」

「実は何らかのスキルを手にしてたんじゃないか?」


会場からは歓声と疑問が混じった空気に包まれていた。


ーーゴブリンとはいえ10体をここまで鮮やかに倒すとはね。たいしたもんだ。


ゼノ・レオンハートは期待以上の動きをした少年を弟子にとることを決めた。

どのように育てていこうと考えているときに、ふと少年の目線が気になった。


ーー隠しクエスト?


ゴブリンたちを倒して一息ついていた少年の目の前に見たこともない画面が現れていた。


「隠しクエスト

 クエスト:ホブゴブリン3体の討伐

 報酬  :基礎スキルの取得    」


ーー修練者は基礎スキルが得られないはずじゃなかったか?

ーーこれはチャンスか?


ダンジョンにゼノの声が響く。


「なにかあったのかい?少年。」


「どうやら、隠しクエストというものをクリアすれば基礎スキルがもらえるみたいなんですが……ホブゴブリン3体を討伐する必要があるみたいです。」


「ホブゴブリン!!基礎スキルは魅力的だけどやめときな。

 ホブゴブリンはゴブリン10体を合わせたぐらいの強さだよ。

 武器もスキルもない状態で勝てる敵じゃないよ。」


少年から返事は帰ってこない。


「聞いているのかい?いいからあきらめて帰ってきな。」


少年からの返答にゼノは驚きと苛立ちを感じた。


「いや、せっかくなんで受けようと思います。」


「やめろ!!」

ゼノ・レオンハートは取り乱していた。

せっかく見つけた原石をこんなところで失いたくないためである。


「まあ見ておいてください。こんなところで諦めていたらゼノ・レオンハートを超えることなんてできないですよ。」


少年は世界最強の男ゼノ・レオンハートの言葉を無視して、隠しクエストの受注ボタンに指をかけた。


ご愛読いただきありがとうございます。


引き続き、次の話についてもお楽しみいただけると幸いです。

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