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第1話 選定の儀

ーーやっとこの日が来た。

ーー何としてもあのジョブを選ばなければいけない。


東条湊は選定の儀の会場にて、静かに集中していた。


20年前、日本の東京に突如として後にゲートと呼ばれる丸い空間が出現した。

ゲートは人類の武力では太刀打ちできないモンスターたちが住むダンジョンとつながっており、出現後一定期間攻略が滞るとモンスター達がダンジョンの外に現れるゲートブレイクを起こすことが分かっている。


東条湊は10歳の誕生日にゲートブレイクに巻き込まれた。

東条湊と妹の東条茜以外の家族、知り合いは亡くなってしまった。


ゲートブレイクに巻き込まれた日、湊と茜を助けたのは世界最強の男ーゼノ・レオンハートーだった。


湊は自分と同じような境遇の人を出さないため、世界最強の男を超えるためにこの日まで準備をしてきた。


「これより、選定の儀を始める!!」


選定の儀を受けるために国立救済学園に集まった1万人の生徒たちからの歓声が会場を埋め尽くした。


人々は16歳を迎える年にモンスターと対応するためのジョブを得るため選定の儀を受ける。

選定の儀では適性に合わせてジョブ候補が提示され、その中からジョブを選ぶ。

ジョブの中にはランクが存在し、ここで上級職を選べるかによって今後の人生が大きく変わってくる。


低級職しか提示されない生徒からは悲鳴が聞こえ、上級職が提示された生徒からは歓声が聞こえていた。


上級職の生徒をスカウトするために各教育機関からスカウトマンも集結している。


そんな中、特別な男が参加していた。


「ゼノ様。今回はご足労いただきありがとうございます!!

 今年はどのような用でご参加されたのでしょうか?」


世界最強の男の突然の来訪に国立救済学園の校長は焦りを隠しきれていない。


「用というほどのことではないんだけど、なんとなく気になってきてみたんだ。」


ゼノは自分1人での活動に限界を感じていた。

ーーどんなに自分が強くても救える人の数には限界がある。


ーー何か光るものがある生徒はいないものかね。


期待はしていないが、一縷の望みをかける気持ちで足を運んでいた。


その時、今日一番の歓声が会場で沸き上がった。


「なんと!!騎士職の上級職にあたるパラディンが提示されたーー!!」


代々騎士職を輩出するオーウェン家のオーウェン・ジークフリートにパラディンが提示されていた。


「もちろんパラディンだ!!」


選定の儀でジョブを選ぶとジョブの基本武器・スキルが与えられる。

パラディンには基本武器として鉄の剣・盾、

基本スキルとして「ディバインチャージ(強力な突撃攻撃)」、「浄化の光(状態異常、体力回復)」が与えられる。


基本武器・スキルが与えられるとチュートリアルダンジョンに挑むことになる。

パラディンは攻守に優れたスキルが与えられるためチュートリアルダンジョンに登場するゴブリン程度には苦戦することもなかった。


「いかがでしょうか?オーウェンは?」


「まあいいんじゃない?これからの活躍に期待したいね。」


言葉とは裏腹にゼノは期待などしていなかった。

オーウェンは優秀ではあるが、優秀どまりに感じていた。


ーーこんなものか。そろそろ帰ろうかな。


「お!次は中等部で全教科1位をとった東条湊ですよ。」


ーー全教科1位か。多少は期待できるかな。


東条湊はこの日のために死に物狂いで努力してきていた。

中等部3年の時に全教科1位を取った際の副賞で閲覧できたジョブカタログの中から、選ぶジョブは決めていた。

問題はそのジョブが提示されるかどうかだ。


少年は祈りながら一歩踏み出した。


「なんと!!騎士職の上級職パラディンだけではなく、魔法職の上級職精霊術師、ネクロマンサー、剣士職の上級職侍……最上級職の超越者まで提示されています!!!」


超越者は世界最強の男ゼノ・レオンハートと同じジョブである。


割れんばかりの歓声が会場を包んでいく。


「ゼノ様!どうでしょうか東条湊は?」

興奮冷めやらぬ校長がゼノに問いかけた。


「この子には期待してもいいかもね。」

自分が興奮していることに驚きを隠せないゼノ。


「あのー、提示されたジョブはこれですべてでしょうか?

 僕が選びたかったジョブだけ見つからないんですが……」


「超越者以外のジョブが選びたかったのですか?どういったジョブですか?」


「修練者というジョブです。」


「!!!!」

会場の一部がザワザワし始めた。


ーーなぜそのジョブのことを知っている!!

驚きと興味によって、気づけばゼノは湊の前に立っていた。


「なぜその禁止職のことを知っているの?」


「ジョブカタログで見たからです。」


「そのジョブがなんで禁止職とされているのか理由も知っているの?」


「修練者を選んだ人は初心者ダンジョンまでに必ず亡くなっているからです。」


ーーへー、そこまで知っているのに選びたいのね。


「じゃあ、俺の権限で修練者を選ばせてあげられるけど、超越者を捨ててまで修練者を選ぶのかい?」


「はい!!!」


「なんでそこまで修練者にこだわるんだい?」


「どんな時でも、どんな人でも守ることができる世界最強になるためです!!」


「へー、大胆だね。」


「ちなみに、守る人にはあなたも含まれてますよ。」


「ハハッ、ハハハハハッ。俺を守るのかい?」

ーーこれは期待してもいいかもね。


「わかった。修練者を選ばせてあげよう!!」

「期待を裏切るなよ!!チュートリアルダンジョンを超えられたら、俺の弟子にしてあげよう。」


ーーよし!!世界最強への切符はつかんだ。あとは結果を出すだけだ。


会場中の観客が見守る中、湊はチュートリアルダンジョンのゲートへ進んでいった。





ご愛読いただきありがとうございます。


引き続き、次の話についてもお楽しみいただけると幸いです。

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