天秤の魔女の物語
天秤を持った魔女がいる。
価値をはかる事に、比べる事に興味を持った魔女が。
その魔女は、人に試練を与えては、選択をさせる。
魔女に翻弄される哀れな人間は、魔女につきつけられた選択肢から一つを選ぶが、それは魔女にとって興味深い選択しか存在していない。
本来未来は自由に、自分の手で選び取る事ができるものだ。
だというのに、魔女によってその選択を狭められている事に気が付かない。
魔女は笑いながら、人を試す。
魔女は笑いながら、興味で試す。
魔女は笑いながら、人間をただのゲームのキャラクターのように操る。
その魔女と出会ってはならない。
出会ってしまえば、人間の思考は知らない間に掌握されてしまうだろう。
その魔女と出会ってなお、あがこうとするのなら。
あがいて、第三の選択肢をつかみ取ろうとするのならば。
心を強く持たなければならない。
本当の願いを、忘れてはならない。
それを忘れてしまえば、あなたは即座に大勢いる犠牲者の一つになってしまうだろう。