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【コミカライズ連載中】アラフォー男の令和ダンジョン生活  作者: 朝倉一二三


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116話 イザルの使徒


 姫の実家――八重樫グループに異世界からもたらされたアイテムを売ることになった。

 異世界からの使者――テツオの持ち物なので、俺に金が入るわけではないが、彼を助けることで俺たちにも多大な恩恵があるはず。


 彼には、俺たちが持っていない知識と、神の使徒としての強力な力がある。

 それと引き換えってわけだ。


 俺にはさらなる考えがあった。

 彼が神さまから与えられた仕事は、ダンジョンの中にあるらしい。

 それならば、恩を売ることで俺たちと共闘してくれるはず。

 それに期待したい。


 驚いたのは、姫のひいおばあさんが、俺がグループに売ったエリクサーを使って若返っていたこと。

 姫やカオルコも美人なのだが、それを上回る超美人。

 その超美人に、日本の総理もペコペコしていた。


 彼女は、現在の総理を含め、これまでに選出された歴代の総理大臣の誕生にも大きな影響を及ぼしてきたという噂だ。

 グループの発言や支持の有無が、政界の勢力図を左右し、候補者の当選に決定的な役割を果たしてきたのである。

 水面下での調整や政党内での意見集約に関与し、時には影響力のある政治家たちを動かして、総理大臣選出の流れを作り上げてきた。

 その影響力は単なる推薦や支持を超え、政局の方向性を決定づけるほどのものであった。

 昭和の中期に、八重樫グループの政治への関与が始まったと思われる。


 誰が呼んだか――陰の女帝(エンプレス)

 カオルコもエンプレスと言われているが、ひいおばあさんこそが女帝だろう。


 ひいおばあさんとのホログラム通信が終わった。


「そこのテツオさんの国民カードはすぐにできると思うわ」

 カコとカオルコが機械の片付けをしている。

 まぁ、総理も動かしたんだから、特急ででき上がってくるだろう。


「ありがてぇ」

「名字は、本当にナナシでいいのね」

 カコが、テツオの写真を撮る。

 カードに使う写真を、どこかに送ったようだ。


「ああ、当て字でもなんでもいいよ、ははは」

「テツオ、アオイちゃんとイチローは、サナの所に預けちゃっていいのか?」

「ああ、構わん。俺は冒険者云々には、まったく興味がねぇからな」

 金も入ってくるしな。


「日本円がいらないと言っても、こちらで役に立ちそうなものを買って帰ってもいいんじゃないのか?」

「それもそうだな」

「科学や機械工作の本とか……」

「本当は、ネットの百科事典をそのまま持って行ければいいんだが……」

 電子端末を持ち込んでも、ネットに繋がらないし、ストレージにセーブしてもいつまで使えるか解らない。

 故障したり、バッテリーが死んだらそこで終了だ。


「それじゃ、昔ながらの紙の百科事典を買って持っていくとか」

「それもいいな」

「エメラルドドラゴンの石を大量にもらうんだ。宝石のカットの仕方を解説してある専門書を買うとか……」

「いいな! 新しい宝石の研磨技術を持ち込めば、商売になる!」

 こちらの最新技術を持ち込むより、異世界でも実現できそうな知識や技術を持ち込んだほうがいいだろう。


 テツオと話していると、彼がニヤニヤしている。


「なんだ、キモいな」

「ひい婆さんも、中々の美人だったな」

「異世界のエルフを見慣れているんで、興味がなかったんじゃないのか?」

「ひい婆さんが延命ってやつをしているなら、婆さんも延命しているんじゃないのか?」

「そういえばそうだな――姫、ひいおばあさんじゃなくて、おばあさんも延命しているのかい?」

 姫に質問をしてみた。


「している」

「ヒヒヒ――それなら、皆落とせば、親子4代丼ができるな」

 なにを考えているのかと言えば、呆れた――と、言いたいところだが。

 親子丼、それは男の夢。

 解るが、それを口に出すわけにはいかん。


「本人たちの前で、止めてくれよ」

「ダーリン、親子丼とは?」

 姫が不思議そうな顔をしているのだが、聞いたことがないのだろう。

 カオルコは、こっちを見て白い視線を送ってくる。

 彼女は、小学生のころからのお腐れさまだ、耳年増だろうし、知っているだろう。


「じ~」

 カコも知ってるっぽい。


「ほら、もう……なんでもないよ。鶏と卵で親子丼だよ。豚と卵だと他人丼な――ああ、鮭とイクラの親子丼もある」

「そうなんだ! 食べたことない!」

 姫は親子丼も食べたことがないのか。

 庶民の食事っぽいしなぁ。


「今度、作ってやるよ」

「やった!」

 上手く誤魔化せた。


「わはは」

 テツオはゲラゲラ笑っている。

 困ったな、もう。


「そういえば――エルフといえば、やっぱり長寿で姿形が変わらないのか?」

「そうだな、1000歳ぐらいのやつもいる」

「それでも、美男美女のままなのか?」

「あ、でも――歳を食うと、においがきつくなるな」

「におい? どういうにおいなんだ?」

「そうだな……ナフタリンだっけ? タンスに入っているやつがあるだろ?」

「もしかして、樟脳しょうのうか?」

「それそれ! それっぽいにおいがきつくなる」

「へ~」

 さすがのエルフも1000年も生きていると、やることがなくなって、ぼ~っと座ってるだけのことが多くなるらしい。

 森の精霊からエネルギーを貰えるので、動かないのならほぼ食わなくても大丈夫だという。


「そんな状態で気がつくと、100年ぐらいたっているっていうぞ」

「オッサンになると、あっという間に1年がすぎたりするけど、エルフはあっという間に100年か……」

「近々遊びに行くよって、10年後に来たとかあるからな、ははは」

 長寿種族になると、そういう感じになるのか。


「もしかして、延命できて長生きしても、200年ぐらいで飽きるかもな……」

「多分な」


 夕方には、親子丼と他人丼を作って、姫と半分ずつ食べた。


 ――ひいおばあさんとの取引が終わって数日あと。

 総理から連絡があった。

 紋章隊はサナから手を引くらしい。

 よかった。


 その代わり、俺が彼女の面倒をみるのが条件らしい。

 要は監視させたいんだろう。

 まぁ、サナが悪の道にハマるとは思えんし。

 だいたい、金ならもう持ってるからな。


 それはさておき、テツオの国民カードができ上がったらしく、以前一緒に仕事をした、国交省の小野田さんがやって来た。


「こ、こんにちは」

 あいかわらずの、ぴしっとした真ん中分けだ。


「え~と、小野田さん、国交省なのに……」

「お前が、詳しいから持っていってこいと――預かってきました」

 彼女がカードを差し出した。


「ああ、俺じゃないんだ。ちょっと待っててくれ」

 ドアを開けると、隣の部屋に行き、呼び鈴を鳴らす。


「いるかな?」

「う~い」

 ドアが開くと、彼が顔を出した。


「国民カードができたようだぞ」

「おお、そいつはかっちけねぇ」

 テツオと一緒に部屋に戻ると、小野田さんを紹介した。


「カードを持ってきてくれた、小野田さんだ」

「ナナシテツオさんですね。カードをお渡しいたします」

「おお、ありがてぇ」

 彼と一緒にカードを覗き込むと、「七子テツオ」になっていた。


「ナナシってこういう字になったのか」

「本当にこういう名字があるのか?」

 ちょっとググってみたが――ない。

 存在しないようだ。


「まぁ、俺にピッタリだな、ははは!」

「小野田さん、ありがとうございます」

「いいえ、またギルドのメンバーが増えたんですねぇ」

「ああ、彼はちょっと違うんだが……」

「小野田さんとやら、神さまに興味はないかい?」

「え?! ええ~あの~……」

 テツオの言葉に、彼女がかなり困った顔をしている。


「わはは! なけりゃいいよ」

 彼は、こうやってちゃんと使徒としての仕事をしていて、毎日外に行くと、黒いシャザームの手の上に乗って、説法を行っている。


「小野田さん、コーヒーでもどうだい?」

「いいえ、あの――仕事で行く現場がありますので」

「ありゃ、本当にお使いさせちゃったのか。悪いねぇ」

「いいんですよ。丹羽さんには、本当にお世話になったので――あの、五条寺さんのこともありましたし……」

「あれは、あいつが悪いんだから、小野田さんはまったく関係ないじゃない」

「あはは」

 まぁ、そういうわけにはいかんのかもしれない。


「なにか、トラブルでもあったのか?」

「カクカクシカジカ……ってやつ」

「ああ、それは悪い神に魅入られたな」

「悪い神? それって、テツオの神さまの敵対神ってやつか?」

「多分な。それがダンジョンの奥にいる――」

 彼がここに送り込まれたのは、それが原因っぽい。


「あ~、面倒な仕事は勘弁してもらいてぇんだが――これも使徒の仕事だし、しゃーない」

 なにせ、相手は神さまだ。

 逃げるわけにもいかないし、どこからでも見ている。


「大変だな」

「マジで、それ」


 彼の苦労も一理あるが、カードはできたので早速――役所に向かう。

 テツオはステータスオープンができなかったので、正式な冒険者になれないが、仮免は取得できる。

 それがあれば、ダンジョンには入れるからな。


 小野田さんと一緒にホテルから出た。


「使徒さま!」

 いきなり、1人の女性がテツオの所に走ってきて、跪いた。


「なんだ?!」

 いきなりやって来たので、俺への襲撃かと小野田さんを庇ってしまった。


「大丈夫、俺の信徒だ」

「私の祈りが、イザルの神に届きました」

 彼女が胸を開くと、確かに黒い模様――聖刻があった。


「よかったな。だが、俺がいつも言ってるように、イザルは力を与えてくれるが、救ってはくれない」

「はい! 力は与えるから、あとは自分でなんとかしろ――ということですね」

「わはは! 解っているじゃねぇか。そのとおりだ、信仰が深まれば、よりデカい力が使えるようになる」

 彼がしゃがんで、彼女の聖刻に指を触れる。


「ひゃぁぁぁっ!」

 女性がのけぞって痙攣を始めた。

 見ていた小野田さんも、顔を赤くしている。


「おい、大丈夫なのか?」

「大丈夫だ。これが男だと、のたうち回るけどな」

「ええ? それじゃ、男に厳しいじゃないか」

「それも、神の試練ってやつよ」

 テツオの前から黒いもの――シャザームが伸びる。

 痙攣する女性と彼を乗せると、高く持ち上げた。


「力が欲しくないか?! あんなダンジョンに頼らない力を! ならば神に祈れ! 我が神の名は、イザル!」

 彼のいつもの説法だ。

 これが彼の仕事なので、しゃーない。

 テツオの話では、シャザームは聖獣ということになるらしい。


 黒く高く伸びた聖獣の上で、神の教えを説く男に、街の人間が集まってきた。

 まぁ、ほとんどが野次馬だろうが。


「小野田さん、あれってちょっと時間がかかりますよ」

「そうなんですね。それでは、私はこれで」

「ありがとうございました」

「いえいえ、こちらこそ」

 彼女と別れた。


 5分ほどの説法が終わり、テツオと女性が地面に降りてきた。


「使徒さま、ありがとうございました」

 女性がペコリとお辞儀をする。


「俺の言ったとおり、ちょっと聖刻が育っただろ?」

「はい」

 彼女が、自分の胸を見ている。

 身体の中心にあった模様が、明らかに下に伸びている。


「本当に大きくなるんだな」

「わはは、あたりきしゃりきのあたぼうよ! だから、あの紋章隊のやつらも、強化してやると言ったのにな」

 彼の今日のルーティンが終わったので、役所に向かう。


「そうだ、役所の前に端末を買わないか?」

「そうか――国民カードがあれば、スマホが買えるのか。やっぱり、ないと不便だぜ。なにも情報が取れないし」

「スマホがあれば、自分で検索できるしな」

「ああ」

 市場の露店で、スマホが並んでいる所を探す。

 露店でスマホ? ――と、思うかもしれないが、ここじゃ普通だ。

 八重樫グループの店も、露店で出している。

 理由は、店を構えると経費がかかるからだ。


 国民カードがあれば、すぐに端末が買える。

 カードが身分証明書になるからな。

 ゲットすると、すぐにスマホと国民カードとリンクさせる。


「お?! 俺の口座にもう金が入ってた」

 国民カードには、国からの還付金や給付金などが振り込まれる口座が最初から備わっている。

 そこに振り込まれたのだろう。


「日本円は、異世界に持って帰れないからな、全部使い切らないと駄目だろ?」

「ははは、そうだな。余ったら、ダイスケにやるよ。世話になったしな」

「それは贈与税がかかりそうだな……」

 裏技はある。

 彼が日本円を使って、高価なダンジョンアイテムを買う。

 それを俺が譲り受けて、ダンジョンでドロップしたといえばいい。

 それなら売却しても、源泉の20%で済む。


「わはは! 日本ってのは面倒だな!」

「異世界に贈与税はないのか?」

「ないな――街に住むと、市民税みたいなのを取られるが」

「それだけか……」

「あと、貴族は持っている領地に見合った税金を取られる」

「貴族も大変だな」

「見栄ばっかり張って、貧乏なやつも多いぞ」

 中々に、異世界も世知辛いらしい。


 彼の国民カードには、5億円ほどの日本円が入ってたようだ。

 金の地金や、ドラゴンのエメラルドの準備には、少々時間がかかるはず。

 それまでの生活資金だろう。

 これから八重樫グループがゲットできるかもしれない資産からすれば、微々たるものだ。


 あの魔法のアイテムが解析できれば――の話だが、完全じゃなくても新しいテクノロジーのきっかけを得ることができるかもしれない。

 それだけでも、かなりデカい。


「さて、どうする? この前、テツオにはステータスが出なかったし……試しに、もう1回行ってみるか?」

「まぁ、暇だしいいぜ」


 役所でテツオの仮免を作ると、早速ダンジョンに向かった。

 今日はカードがあるので、自動改札を通る。


「なんかたまに、テツオの姿が消えるけど、どうやってるんだ?」

「ああ、薄くなったシャザームの中に隠れているだけだぞ?」

 種を聞けば、なるほど――なのだが、そんなのテツオにしかできない。


「薄くなれるってことは、どんな隙間でも入れたりする?」

「そのとおり! シャザームを隙間から入れて、鍵を外したりもできる」

「そういう使いかたも……マジで無敵じゃん」

「まぁ、実は俺は神の使徒だしな、わはは!」

 彼がシャザームを出して、スマホを持たせるとなにかやっている。

 そのまま黒いものが消えた。


 気になるが――エントランスホールに入る前に、テツオがスマホを差し出してきた。


「なんだ?」

「よく撮れているぞ? わはは!」

「あ」

 彼のスマホに映っていたのは、真下のローアングルから撮ったパンチラ。

 いや、パンモロか。

 おそらく魔導師の女の子だろう。

 さっき、シャザームに渡したのは、これか。


「やっぱり異世界にもカメラを持ち込みてぇなぁ~」

「おいおい、盗撮なんてバレたら大変だぞ」

 シャッター音が鳴るはずだが……。


「レンズの部分だけ出して、本体がシャザームの中なら、音は漏れないみたいだったからな」

「やれやれ」

「エルフやら、珍しい種族とアレコレやっても、映像に残らねぇからな~。男ならやっぱり、コレクションしたいよな?」

「き、気持ちは解るが……」

「わはは! そうだよなぁ」


 少々呆れながらもダンジョンの中に入る

 早速、彼が四方にシャザームを走らせて、探索を始めた。


「そういうこともできるのか? どのぐらいの範囲をカバーできるんだ?」

「最高で50mぐらいなら」

「それじゃ、どこかに隠れている敵を見つけて、背後から――とか?」

「わはは! 俺は殺しにくるやつは、絶対に殺すマンだからな!」

 そんな会話をしているうちに、シャザームが魔物を見つけたようだ。

 その場所に案内してもらう。


「キュ!」

 暗闇の中に白い毛皮のもふもふがいた。


「うさぎだ」

「るォォォォ!」

 彼の掛け声とともに黒い拳が伸びて、離れた場所にいた魔物を叩き潰した。


 メメタァ!


 俺にはそう聞こえた。


「テツオ、どうだ?」

「ん~? やっぱり変化ないぞ?」

 どうやら、出ないらしい。


「やっぱり適性なしか?」

「まぁ、適性というか――この前に話したとおり、ダンジョンの主に俺が他の神の使徒だってことがバレたんだろうな。わはは!」

「あんたとシャザームなら、レベルの補正がなくても、十分に強いが」

「今までも、そんなものに頼らなくても、他の使徒やら敵の聖女たちと、やり合ってきたから大丈夫だろ」

 彼はまったく心配はしていないようだ。


「レベルは出ないが、その仮免でダンジョンへの出入りはできるようになったしな」

「いちいちシャザームに隠れなくても済むな」

「正式な冒険者じゃないから、魔物は買い叩かれるかもしれないが……」

「金はゲットしたし、売るつもりもないから大丈夫だ」

「そりゃ、そうか」

 念のために、もう1匹スライムを倒してみたが、やっぱりステータスは出ないようだ。

 これ以上ダンジョンにいても仕方ないので、外に出た。


「OH~! ペラペラペラペラ」

 自動改札の所に、外国人――多分アメリカ人がいて、はしゃいでいた。

 Tシャツにデニム姿――自撮り棒にスマホを載せて撮影をしている。

 青い目に、短い金髪だが、地毛の色なのかは不明。

 このご時世に、観光旅行だろうか?


「なんて言ってるんだ?」

「ここが、東京ダンジョンかって言ってるな」

 彼は全言語が解る神さまの加護ってのを持っているらしいからな。


「観光客か、配信者か」

「なんか場所の説明やらしているから、配信者かもしれん」

「へ~日本までやって来たのか。酔狂だな」

 ――と、思っていたら、テツオが金髪に話しかけにいった。


「ハロー! ペラペラペラペラ」

「OH! ペラペラペラペラ」

 ちゃんと会話している。

 まるで、ネイティブだ。

 すごいっちゃ、すごい。


「ダイスケ、やっぱりアメリカの配信者みたいだぞ」

「へ~そうなんだ。それじゃ、俺のことを知らないか、聞いてみてくれ。ダンジョンの中の映像を配信しているってさ」

「This guy is streaming videos from inside the dungeon, do you know about it?」(こいつはダンジョンの中から動画を配信しているんだけど、知ってるか?)

「Seriously?!  I know that guy!  He's the adventurer who defeated the dragon, right?!」(マジかよ!? 知ってるぞ!? ドラゴンを倒した冒険者だろ!?)

 彼が自分のスマホで、動画を見せてくれた。

 間違いなく、俺のサイトだ。


「俺だよ、俺!」

 なんかオレオレ詐欺みたいな会話だが。


「OH!」

 彼が一緒に動画を撮ってくれと頼んできたので、OKする。

 アイテムBOXも見せてやった。


「ほら」

 中からものを取り出して見せる。


「OMG! What the hell!」

 アイテムBOXを見せたことで、彼は俺が本物だと確信したようだ。

 テツオに通訳してもらうと、彼も有名な配信者らしい。

 外国の配信者なんてまったく知らん。

 ――というか、国内の配信者も知らんし。


「俺だけじゃなくて、そっちの男もすごいぞ?」

「わはは!」

 地面に黒い影ができたと思うと、3人がそのまま上空に押し上げられた。

 高さ10mぐらいだろうか。

 足元にあるのは、テツオの相棒――シャザームである。


『OMG! なんだこいつは?! 魔法なのか?!』

『こいつは、俺の相棒――俺は冒険者じゃなくて、神の使徒をやっている。あんたらの信じてる神さまじゃないけどな』

 テツオと男がなにか話している。

 さっぱりと解らんが。


「ペラペラ!」

「わはは! こいつも、イザルの信徒になるって言ってるぞ?」

「え?! いいのか? 元々の宗教があるんだろ?」

「さほど興味はなかったみたいだな」

「外国でも、そういう人がいるのか」

 テツオと男性が、ツーショットを撮ったりしている。


「こいつの動画で俺を紹介してもらえれば、神さまの信徒が増えるかもしれん」

「仕事熱心だな」

「この世界の神さまって、いるかどうかも解らねぇじゃん」

「まぁな」

「だが、イザルの神さまは本当にいるし、俺も世話になっているから、信徒の仕事を全うしているわけだ」

 日本人は、神さまを信じてないやつが多そうだが、実際に力がもらえたり、その証が身体に浮き出たり、あまつさえ、眼の前に降臨――みたいなことになれば、信じる人も増えるかもな。


 彼の話では、信徒が増えれば、神さまの力が増大するらしい。


 金髪の動画配信者の話だと、彼も俺たちのホテルに泊まっているという。

 金を持ってるなら、特区ではあのホテル一択だし。


 青い目の客人を連れてホテルに戻る。

 ホテルの従業員が駆けてきた。


「あ、あの――テツオさまに、お客さまなのですが……」

「俺に客?」

 ロビーに目をやると、1人の女性が立ち上がった。

 高身長で、黒いスーツの上からでも解る巨乳。

 ミニスカから出た太ももが眩しく、黒いロングヘアで片目が隠れていた。


「ヒュ~♪」

 金髪の男が口笛を吹いた。


 誰だろう。

 ――と思ったのだが、黒いスーツは、ここにやって来た紋章隊の連中に似てるような……。



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