異世界転生ご相談ラジオ
雲海と朝日に薄く消え行く星の瞬きの絶景、だがそこは不思議なマイクが有り二人の男性が座って、今回もご相談に答えるのだった。
ケルト風の清々しい曲が流れ、ラジオはスタートする。
「さて今日もやって来ました、異世界転生ご相談ラジオの時間です、パーソナリティーは俺グランゼウスとゲストに・・・」
清々しイケメン顔で、青髪の青年は答える。
「初めまして、僕はゼウスさんより上の次元の更に上の高次元体ですよ」
「………ステルラ様、少し嫌みないですかな?」
猫耳型のイヤホンを調整しながら、ステルラは言う。
「気のせいなじゃあないかな?」
(ぜってー気のせな訳ねぇーよ)
(早く終わらせて、ハジメと一緒に猫と戯れたいんだけど?)
ピリピリした空気の中、コーナーは進む。
「さて仕切り直して始めますよ」
「早く進めてくれないかな?」
「………………」
(面倒臭そうに言うんじゃあねぇーよ!)
(全くラリアンが、新しい猫を見せる代わりに出てと泣き付かれたから、来てやったのに…………早まったかな)
何か冷たい空気が流れる。
「……………それでは始めます」
軽やかなBGMが流れる。
「先ずは最初のお便りです、我等より下の次元のアムロさんからのです……………」
「質問です、全うした人生でも面倒な上司が居ない世界に、転生はかのうだろうか? だそうですよ」
話を振るが…………
「僕に言われても知らないよ」
(もう少し言葉を選んで言えよ)
「まあ、アムロて君はその内他の世界に行けるよ」
「…………ステルラ様、何か知ってる口調ですよね?」
「そんな事より次」
「…………………」
(ぜってー何か隠してるな…………)
(まさか未来で来る者が、此処に相談するとはね………)
探っても無意味だろうと、次の相談を読む。
「さて次は…………またお前か、今回のペンネームはあ! いうえお………て、少しは何かひねろよ………」
常連だよなコイツはと思うが、また何のネタだと言いたい相談だった。
「質問です、レベル999の公爵悪役次男て、異世界で無双出来そうですか? だそうですよ?」
対面の席でつまんなそうな顔で、ステルラは答える。
「何処の世界の何処のレベル上限か分からないし、状況やその環境も分からないのに答えられる訳がない」
「まあネタだろうから…………それに、レベル上限の無い世界は以外に多いぜ、無双出来るか以前にそんなレベルに成れるかは知らないぜ」
退屈そうにしてるステルラに、ややストレスを感じる。
「次はラジオネーム、紐パン穿いてますよさんからです………どんなラジオネームセンスだよ」
何か頭痛がしてきた…………
「グランゼウスさん今晩ミィー、独特過ぎる奴だな………さて質問です、異世界で美少女ハーレム無双したいので、是非俺を………」
「地球の輪廻人生にしてやったら」
「そうだな…………」
(初めて意見が合った気がする)
(そんなに簡単に、美少女ハーレム無双なんて無いよ………美少女ゲーム以外)
へくしゅん…………
「誰か噂したかな?」
とある世界では同時に、とある元中年達がクシャミをしたのだった。
エンディング曲が流れ始める。
「さてお別れの時間です、どうでしたか? ゲストのステルラ様」
「そうだね、最後のは相談より自力で何とかしろと思ったよ」
「まあ、俺の知り合いの息子が三人だったり五人だったり、重婚してるがハーレム無双ではなかったな、変なモテ方だったが………」
溜め息をしながら俺は言う。
「それではお時間です、パーソナリティーは俺グランゼウスと」
「何故かゲストに呼ばれた、ステルラがお送りしたよ」
「では、また次回にお逢い致しましょう」
「猫好き、転生したいなら僕の次元まで来てね」
「…………」
(ラリアン後で説教だな)
「……………」
(ラリアン、猫に会わせなかったら………後でどうなるか、わかるよね?)