表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら血濡れ皇帝の妹のモブでした。  作者: iBuKi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/110

第95話 ディアと呼ばせて貰っても? アレス side

 兄シュヴァリエとは異なるが、それでも強者の持つオーラというのだろうか。

 そのオーラに怯んだせいか、クラウディアのアホの子の部分が表に出てしまいパニックになってやらかしてしまった。


 大きな声で「叔父様と呼んでいいですか!」などと。


「あ、やっちゃった……。」と内心の声をそのまま口に出してしまっていることにすら気付かない。




 ♦♢♦♢♦♢




 ――――アレスside



 強国ヴァイデンライヒ帝国の智を担い、縁の下の力持ちとして皇帝と帝国を守護し続けている大公殿下。幼い第一皇子である時から後見を務めており、皇帝は血の繋がりも持つ大公を一番に信頼しているという。


 強大な船である帝国は皇帝を頂点に繊細な舵取りが必要である。

 先代が愚帝であったこともあって、やらねばならない事は際限なく出てくる。

 愚帝の弟ではあったが、当時の大公に今のような裁量は認められておらず、力がなかった。

 愚帝である兄を皇帝の座から引きずり降ろす準備が整うまでは、おとなしく扱いやすい弟としての仮面を被り時を待っていた。


 悲願が叶いシュヴァリエを皇帝の座へと就かせると、己は大公の地位を戴きシュヴァリエの治世が盤石となるまで後見になるとした。

 本来であれば成人をしていないシュヴァリエではなく中継ぎとしてアレスがその一時座ることも可能であったかもしれないが、アレスはその瞳を所持しておらず、シュヴァリエが皇帝の瞳を持っていた為、中継ぎがされることなくシュヴァリエが即位した。


 そこでめでたしめでたしとはならないのが大国の面倒なところ。

 愚帝であった兄を粛清したのちに待っていたのは、有象無象の魑魅魍魎が権力を求めて欲望を剥き出しにした者たちに対する排除と牽制。

 帝国はいくつもの国を属国として抱えており、魑魅魍魎は帝国だけに留まらない。

 幾百幾千を排除しようとも、おそらく無限に沸いてくるのが権力への執着というものだろう。

 欲望とは終わりがないものだ。


 女だって例外ではない。

 いや女だからこそ余計に目的がわかりづらいのか。

 美しい姿で距離を縮め、耳に心地よい綺麗な言葉を艶やかな唇から零す。

 愛を告げて瞳を潤ませてみせ、その瞳の奥を興味で覗いてみれば、そこに灯るのは愛ではなく欲。

 少し突けば腹は真っ黒で淑女に擬態した淑女もどき。


 尊い身分への憧れ等では無く貴方様だから慕っているのだと、穢れなど知らない天使の微笑みを浮かべるご令嬢も、その裏では使用人と秘密の遊戯に夢中な阿婆擦れとかな。

 皇弟の時からこういう女を相手にするのは馴れたものだが。

 自分ですらこうなのだから、甥はもっとだろうと皇帝へと即位した甥の身辺も綺麗にすることにした。



 忠誠を誓うと胸に手を当て声高に宣言する二心持ちの騎士。

 大帝国をさらなる栄華へと導くお手伝いをさせて欲しい。

 友として力になりたいから頼って欲しい。

 皇帝陛下と帝国を必死に支えておられる貴方様を支えさせて下さい。と、親の傀儡で私の側近候補とされる甘ちゃんたち。

 力の無い幼い頃から父親を粛清して皇帝に即位した時も、シュヴァリエの周囲には愚かなものたちが排除しても排除しても群がっている。


 アレスはそれら狡猾な害悪を排除しきれないと早々に理解すると、管理へと方向転換した。

 叩けば埃の出ない貴族など帝国では稀である。

 皇城に出仕するような地位も能力もある貴族で清廉潔白な者などいない。

 大なり小なり隠しておきたい弱みを持ち、後ろ暗い事をしているものだ。

 それを全て掌握し管理する。

 シュヴァリエは直情過ぎて奸計向きではなく、なまじ能力が有りすぎるぶん力でごり押しするような暴君である。

 不得手なソレらをアレスが一手に担い、カテゴライズして管理下に置く。

 時には物騒な間引きすらもして、アレスは愛する甥シュヴァリエを影に日向に庇護している。

 愚兄が愛さなかったのなら叔父の自分が大切に守護し愛していくつもりである。

 その思いの中には、兄を諫められなかった贖罪の気持ちもあった。


 側室が産んだ娘クラウディア。

 あの姪も冷遇されていたと知ったのは、彼女が五歳の頃。

 その時は既に姪の傍にはアンナがべったりと張り付いて守っていた。

 女だてらに武芸に秀で、非凡でありながらも女だからと後継にはなれなかった。

 しかし、当主も愚かではなく、これ程の才能を外に出す事を惜しみ、侯爵家の裏の片翼を担う事は任されているようだ。

 そのアンナが居たのだから、冷遇されていたとはいえシュヴァリエ程に身の危険もなく、何某かの手段を講じて魑魅魍魎も近寄らせる事もなかったのだろう。


 姪ではあるが、シュヴァリエ程には距離は近くない相手。

 そして最近になって血縁者でも無い事が分かってしまった。

 稀少過ぎる血を持つ少女――――

 シュヴァリエが酷く執着して手放すまいと必死になる少女……。

 二人の仲睦まじい姿を見て、羨ましくなる。

 その家族の輪の中に、私も入れて貰えるだろうか。

 体調を崩したと訊き、甥が一時間に一度の頻度で姿を消す。

 執務室には皇帝でなければ決裁出来ない書類がある。

 玉璽を預かったからといって、全てアレスがする訳にはいかないものもある。

 それを側近のマルセルが半泣きで訴えていたようだが、訊き入れるつもりはないようで。取り敢えずやれる所だけはやってやるかと、急務のものは目を通してやってやったりしていたら数日が過ぎていた。


 そして本日、快癒したとの報告を受け、先触れを初めて姪に出した。

 諾の返事を受け年甲斐も無く喜んでしまう自分が居た。


 姪が住まう月の宮へと足を向け、扉の前に立つ。


 開かれた扉の奥で、美しい少女が寝台の上に座り見つめていた。

 頬を薔薇色に染め、私の挨拶に返答する姿。

 宰相閣下と私を呼び、姪との間の距離感に内心憂いを感じていると、

 堅苦しい会話は嫌だと伝えてくれた。


 ああ、勿論、喜んで。

 そう真っすぐ言葉にするつもりが「そうですね。姪との会話にしては堅苦し過ぎますか。」と、結局丁寧な返しをしてしまい、そんな自分がおかしくて笑ってしまった。


 快癒したとはいえ、頬が真っ赤だな……と気になりながら姪の傍へと歩み寄ると、


「叔父様って呼んでもいいですか!」


 突然、姪が大きな声で。


 すぐその後に、


「あ、やっちゃった……。」


 と呟いた。


 呆気に取られたのは一瞬で、胸にこみ上げてきたのは歓喜と笑い。


 思わず吹き出して笑い出してしまった私を、クラウディアが驚いたように固まって凝視しているのが見えた。


 すまない。その表情もなんだかおかしくて笑いが止まらない。


 目線が落ち着かずにくるくると移動し、その所作全てが小動物がパニックに陥ったソレで。

 可愛くて面白くて、愛らしい。

 そうか。甥が夢中になり執着するのも分かる。

 思わずその柔らかい髪に手を乗せて、頭を撫でてしまいたくなる。


「はははっ、すまない、笑うつもりはない、のだが」

 笑いを抑えながら何とか姪に話しかけた。


「はい……。」

 姪は目元と頬を薄っすらと赤らめて俯いてしまった。


「叔父様って呼んでくれると、嬉しい。」

「えっ」

 パっと顔を上げた姪は嬉しそうで。


「私はクラウディアではなく“ディア”と呼ばせて貰っても?」

 ああ、瞳が輝いた。感情が素直に顔に出るのだな。

 皇女としては宜しくないが、姪としては愛おしさが増すな。


 背後に静かに佇み、この場を見守っていたアンナが幾度となく溜息を漏らしているのを、聞いてないようでいて、実は耳に拾ってはいた。


 後でディアに説教するんだろうが、お手柔らかに頼むよ。

 後ろの方へ振り返りアンナを見遣り微笑んでみる。


 “ソレは私には効きませんよ”とばかりに睨まれた。


 私はキミの家が守護すべき皇家の者なんだけどね?


 やっぱりキミは苦手だなぁ……と、静かに苦笑いする。



 寝台に近づき、ベッドサイドに置かれていた椅子へ断りを入れて座る。

 ディアへお見舞いの品を渡し、初めて叔父と姪として会話をした。


 少しだけ家族の輪に入れた気がする。

 これからは、姪と過ごす時間を取るようにしよう。

 自分のスケジュールの空き時間を作るために、頭の中で幾通りか浮かべる。

 思ったより取れそうだと判断すると、目の前で嬉しそうに話しかける姪の話にご機嫌に相槌を打つのだった。

アレスもアンナと同じくらい書くのが好きです。

ちょっとだけ改稿するつもりが色々足しちゃって遅刻……すみません orz


本日もご覧下さいまして有難うございました!

また明日も7時に投稿予定ですので、

スキマ時間の暇潰しにでもご利用頂けましたら嬉しいです!


それではいい夜を!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ