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第87話 伯爵夫人と伯爵令嬢たちとのお茶会。

遅刻……


「本日のこのお茶は二種類用意してますのよ。ひとつは帝国の南にあるナッシュ領の茶葉ですの。この時期のナッシュの茶葉は人気で手に入り辛いのですけれど、懇意にしている商会が運良く入手出来たとかで、持って来てくださったの。陛下が視察に来られるタイミングで入手出来て良かったわ。」


 伯爵夫人が嬉しそうに語るのを聞きながら、口をつける。

 アールグレイに似ていて香りが凄くいい。

 苦味が少なくて飲みやすい。

 後味には柑橘を口にした時に感じる爽やかさが少しある。


(これは大人気よね。凄い美味しいもの!)


 美味しさにお菓子を口にするのも忘れてコクコクと夢中で飲んでしまった。

 皇都に戻っても飲めたりしないかなぁ。なんて考えつつ。



「こちらは我が領のです。お口に合うと宜しいのですけれど……」

 あっという間に一杯を飲み干したクラウディアに、二杯目のお茶が注がれる。


 ホーデンハイム伯爵領で限定生産したお茶らしい。


 一口飲むと、これは、何ていうんだろう……アッサムっぽい?

 濃くてしっかりと茶葉の味がするから、ストレートよりミルクティーの方がよりおいしく感じると思うけど。


 隣国の乙女ゲーム舞台には日本で食べてた物や飲んでた物がありそうだけど、そうい

(改行ミスです)うのって流れてこないものなのかな?

 ミルクティーって結構王道中の王道だと思ってたけど、そういえば一度も出されて飲んだ事がない。


「クラウディア様、どうでしょうか?」

 伯爵夫人に尋ねられる。

 評価を聞いているのだろう……けど、私みたいな小娘の評価でいいのかなぁ。

 美食家って程でもないし……。


(ミルクティーを提案してもいいのかなー……言っちゃう?)


 言っちゃうか。


「一杯目のお茶との違いは、茶葉の味がしっかりと濃いといった感じでしょうか。

 それぞれに違った良さがあって、私は二杯目のお茶も好きです。

 ただ二杯目のお茶は茶葉の味がしっかりしてるので、新しい飲み方を試してみるのもいいかもしれません。」


「牛乳? ミルク? と混ぜて飲むという飲み方です。」


「ミルクを使った紅茶の飲み物ですか? 不思議な味になりそうですね……」


 想像も出来ないだろうから、伯爵夫人の表情に?マークが並んでいる。


(何て説明しようかなぁ……。基本的にペットボトルや缶のミルクティー飲んでたし、外出はしたくないけどミルクティーが飲みたいって時にネットで調べて飲んだくらいだし……。)



 クラウディアは頭を悩ませた。

 人に上手く伝えようとするには語彙力が必要である。


「まずは、ティーポットとカップにお湯を入れて、あらかじめ温めておきます。

 ティーポットもカップも温まったらお湯を捨てて、ティーポットに茶葉と準備したいお茶の量の熱湯と茶葉を入れて蓋をし、少し長めに蒸らします。

 この時、いつもの量のお湯ではなく、少し少な目の方が飲んだ時にミルクの味が際立って美味しいです。

 牛乳の量は使用するお湯の五分の一が丁度いいでしょう。

 後は、紅茶と常温の牛乳をカップに入れ、好みで砂糖を加えて完成になります。

 ミルクティーは、常温の牛乳を入れる事で飲み物の熱さが下がってしまう事から、はじめにティーポットとカップにお湯を入れてしっかりと温めておくことが重要です。

 その事をしっかり守ることで、飲んだ時に冷めることなくミルクティーが飲めますので。」


「まぁ、クラウディア様は博識ですのね。早速その方法でミルクティーなるものを飲んでみましょう!」

 私のながーい説明を訊いた伯爵夫人が喜び、待機していたメイドを呼んでいる。


「美味しく淹れるポイントとして、牛乳は温める事なく常温が大切ですので。

 先程話した工程は美味しく淹れる為には大切です。」


 何故という理由はうろ覚えだけど、確か温めたミルクを入れるとミルク感が際立ってしまって紅茶の香りを損なってしまったり、冷たいミルクだと温度が下がってしまって美味しくないとか……多分、そんな理由だった気がする。



 メイドにミルクティーの説明をする伯爵夫人。

 メイドは真剣な顔でメモを取っている。

 説明が終わり、伯爵夫人がメイドからメモを受け取りしっかりと確認している。

 問題が無かったのか伯爵夫人は頷いてメイドにメモを渡した。


「さぁ、お茶会の醍醐味のお喋りをしましょう。その間にミルクティーが出来上がりますわ。」


 ミルクティーが出来上がるまでの間、ヴァイデンライヒ騎士団の推し騎士様のお話に終始し、大変盛り上がったという。



「出来上がったようよ! 飲むのが楽しみですわね」

 次女のミナリアさんが嬉しそうに手を胸の前で組んでキャーっという雰囲気で声をあげた。


「どんな味なのかしら!」

 三女のソフィアさんも頬を染めている。

 長女のリリニアさんはニッコリ微笑んで様子を伺っているみたいだ。


 メイドがミルクティーを入れたティーポットを持ち、新しいカップにミルクティーを注いでいく。



「いい香り……」

 ソフィアさんがうっとりした顔になっている。


「さぁ、皆のカップに注がれたわね。頂きましょう。」


 夫人の一声で一斉に皆でカップに口をつけた。


(ああ、懐かしい……この味。何で紅茶はストレートだけ飲んでたのかしら。もっと早くこの飲み方を提案するべきだった!)


 クラウディアがしみじみと思ってしまう。


「まぁ、美味しい! クラウディア様が仰っていたように我が領の紅茶の味が濃いから成せる味ですわね!」

 夫人のテンション高めの声がぼおっと浸っていた思考を払う。

 しみじみしていたクラウディアは、皆の感想を聞く為に意識を向ける。


「夫人が気に入られたようで良かったです。美味しいですよね。」

 クラウディアも同意する。気に入ってくれたようでホッとした。


「本当に美味しいわ! 他の方達にも広めたいくらいですわね。」

「ミルクティーはお菓子が無くてもこれだけで飽きずに飲めそうですわね。」

「こんな飲み物があったなんて、クラウディア様有難うございます。」


 三人が美味しい美味しいと飲む姿を見て、クラウディアもますますミルクティーを美味しく感じる。


「良かったです。是非他の方にもお勧めして下さい。その際は、ホーデンハイム領の限定茶葉をお勧めする事もお忘れなく。きっとこの茶葉だからこの味だと思います。濃い茶葉の味がポイントですから。」


「まぁ、有難うございます。限定生産して我々だけで楽しむより領の特産として出せそうですわね。」

 夫人が商売の種を見つけたとばかりにホクホク顔になった。


(うんうん、是非広めて欲しい。美味しいは正義よね。)



 その日の晩餐後に男性陣がいつものようにテラスへ向かうのを夫人が引き留め、全員でミルクティーを飲む事になった。


 男性陣には好みかどうか不安だったけれど、大変大好評でした。

 シュヴァリエも二杯おかわりしていたくらい。

 砂糖は入れてなかったけど、美味しそうに飲んでいた。


 これはきっと皇宮でも飲めるようになる……と確信したクラウディアであった。


おはようございます!


慌ただしくて余裕がない時ってやらなきゃいけないことをやった気になるのって何ででしょう……

遅刻常習犯になりそう……


イイネ、ブックマーク、評価、誤字脱字報告いつも有難うございます。


今日も一日頑張りましょう(>_<)


よい一日をお過ごしください。

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