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第四話 あの少年は死神だったに違いない。

宜しくお願いします。

 最後に聴き取れたのは「 rest in peace 」


 レスト・イン・ピース。


 これ『安らかに眠れ』って死者に対する鎮魂の言葉じゃない!!

 こっわ!あの少年、こわっ!

 あの少年、死神の類だったの!?

 部屋に突然居たのも、今考えると凄い怪しいし怖い。


 私が、今住んでいるのは後宮だ。

 防犯面は良く分からないが、一応護衛とか居る筈だ…多分。

 あんな至近距離に居たのに、誰も気付く事なく周りは音も無く静かだった。


 何だったんだ……


 ベッドからムクッと起き上がり、ベッド横のサイドテーブルに置いてある鈴を手にとった。


 鳴らそうとした所で扉がガチャッと開く。


 アンナだった。


 アンナは、手に持っていたリネン類のような物をバサバサッと落とし、駆け寄って来た。


「姫様!!!!!!!」


 取り乱した様な大きな声でアンナが叫んだ。


 えっ!?何なの!?どうしたのアンナ!?

 アンナらしくもない大きな声や駆け寄る姿にただ事ではないと思った。


 アンナが二十年くらい会って無かったのに、奇跡の再会を果たしたとでもいう様に、ガバっと抱き締められてポカーンとする私。


 く、苦しい……アンナどうしたの?

 ギュウギュウ絞められて、骨がミシミシといってる気がする……!


「ア…ンナ、く…くるし…」


 どうにか絞り出した声で、アンナの腕の力がやっと緩み呼吸が出来た。


 少し体を離して、アンナが伺う様に私の顔を見た。


「姫様、まる二日程意識無く眠っておいでだったのですよ。熱も高くて……魘されておりました」


 え?そんな寝てたの私…。ちっとも気付かなかった……


「意識が戻ったならもう大丈夫ですね。あんなに青かった顔色も、少し血色が戻ってきたようです。お体の調子はどうですか?どこか痛くありませんか?」


 眉を寄せ心配げな顔をして気遣う様に顔中を点検される。

 点検が終わったようで、頭を優しく撫でられた。


 アンナはいつも優しい。記憶の中のアンナも今も。

 良く分からないこの場所で、唯一傍に居てくれるアンナ。

 レスト・イン・ピースでささくれだった心が癒やされる様だ。




「それでは、何か厨房で体に優しい物を作って貰う様に伝えてきますね。二日間何も召し上がって無いからお腹が空いたでしょうが、まずは少しずつですよ、姫様」


 にっこり笑ってアンナはいそいそと厨房へ向かっていった。



 …衝撃の一言だわ。二日間も眠ってたのね…私。

 前世でもそんな寝た事ない。記憶が蘇って脳が疲れちゃったとかそんな感じなのかなー。

 それに、魔法とか色々見てびっくりしたし。

 脳が何だコレは!!とかなったのかしらね…?と、のほほんと考えた。


 そこでハッと気付く。


 …………!!


 急激な睡魔が襲う直前に耳に届いたあの言葉。


「 rest in peace 」


 コレってやっぱり、あの少年死神の類だったんじゃないの!?


 だってレスト・イン・ピースって言われて眠ったら、二日後って…

 私、奇跡の生還!みたいな感じなんじゃないのか、今。


 背筋がぞわぞわしながら、謎の少年の事を思い出して怖くなる。


 あの夜、段々とふてぶてしい気持ちになっていたのも忘れ、やっぱり最初っから怖いと思ってたのよ!と内心で息巻いていた。


 死神だとしたら、もう二度と会いたくないわー…

 私はアンナと平和に暮らしたい。



 ――――そんな事思ったからフラグが立ったんだと思う。


ありがとうございました。

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