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大不況

あれから2年。

最初の一年はうちの会社は南部でどんどん店を増やした。

人気も高く、新しく開いたカフェは結構うちの真似をしている気がする。

一年間で何十と増やして、去年の末に100店舗目を達成した。


しかしそれは一年間の話だ。

ここ1年は人手不足と土地価格の上昇が深刻だ。

給料あげるにも限度があるし、最近すごく景気がいいから誰もカフェの店員とかもしたくない。

しかし苦情は多い。

「社長。最近お客さんからの苦情が多いです!

店員さんのサービスが悪いって!」

「ありがとうサラちゃん。

クーポン券を渡しといて」

「それはもうしました。

でもこのままじゃお客さんが離れちゃいます。

私の大学でも最近行く人が少ない気がします」

うーん。もっと給料…でもそれだと利益が出なくなってしまう。


それに一番大変なのは地価が高すぎる事だ。

これのせいで店を出そうと思ってもめちゃくちゃお金がかかって一年間で出せた店はたった3つ。

これも元々買った土地に建てたものだから今は一切店が立てられない状況だ。

景気が良くてもカフェのうちにはそこまで影響がない。

このままだと店のいくつかを閉じなければいけないレベルだ。


いや、待てよ?

このすごく景気がいいって様子見たことあるな。

あまりにも地価が上がりすぎている。

銀行はお金をなんとか貸そうとしてくるし、その影響で株価はうなぎのぼり。

もしかしてバブルじゃないか?


学校で習った時にみんなはバブルだと気づかなかったと習った。

今も同じだ。

誰も経済が過熱しすぎていると言ってない。

もしそうなら…これはチャンスかもしれない。

それなら今はただただ貯金しておこう。


その不満は大きかった。

社員はしつこいほどに借金をして株を買う事を勧めてきた。

しかし俺はこれはバブルの方に賭ける。

お願いだ。当たってくれ。


それから数ヶ月後。

賭けは大当たりだった。

政府がとうとう動いた。

土地の価格の上がりすぎで家を買うのが難しい人が出てきたからだ。

そこで政府が銀行に対して、不動産を買うときの融資を抑えるように命令を出した。

それからすぐに地価は暴落し、土地を担保にお金を借りていた企業はお金を返すことができなくなった。


次々会社が倒産していき、大企業も採用を絞った。

これは人材不足のうちにとって大チャンスだった。

「人事部門の皆さん。今年はいつもの3倍採用してください」

「社長。しかし…今は大不況で銀行からの融資は期待できませんよ?」

「大丈夫だ。そのためにここ2年くらい貯金をしてきた。安心して採用してくれ」

「わかりました」


うちみたいな中小企業には不況はチャンスだ。

いつもは選べるほど新卒が応募してこないけど、今ならたくさんの優秀な人材が応募してくるはずだ。

これで人材不足は解決。

それどころか余るほどだろう。

本社も大きくする準備をしようかな。


後もう一つはサラちゃんとルナちゃんだ。

この2人は今就職活動中だけれど、今はうまくいってないはずだ。

前々から正社員として入社してほしいなと思っていた。

それに2人は助けてあげたい。

少し贔屓も入ってるかもしれないが、店を開いてもう3年近くの付き合いだ。

よく一緒に遊ぶこともあるし、会社のことをよく知っている。

今なら入社してくれるだろう。


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