もしかしてこの店…うちより美味しい?
本社を構えて4ヶ月。
もう春も真っ盛りで暖かくなってきた。
暖かくなるとテラス席にも人が増える。
今はもう間に合わないが、夏には期間限定メニューみたいなのを作ってみるとお客さんも楽しんでくれるかもしれない。
あれから店をまた増やした。
どうやらリョンの周りの地区はみんな商工会が独占していたみたいで、入らない店は規模の差で潰していたから、あまりサービスの良くない店ばっかりだった。
そのおかげでうちとしては潰れた商工会所属の店を買い取って、改装して店にするだけで店を出せたので結構安く抑えることもできた。
それに他の店が出てきちゃう前にうちの店がどんどん開店したので商工会の立場を乗っ取ってうちが独占するような形になった。
そのおかげで良くなった事はやはり知名度のアップだ。
たまに他の店も出来たりするし、残った商工会の店があるにはあるが、今ではこの辺の若者はカフェといえばうちという風になっていて客入りが非常にいい。
まぁそのためのお金はもちろんなかったから借金が膨れ上がってしまった。
今やもう5億円に近づいてきた。
いくら返すのは先だし儲かってるから心配ないといっても怖いなぁ。
まぁ借金は大丈夫だ。
さて、今日はサラちゃんに紹介されたカフェに来たんだけど…ここだな。
この辺に出しても個人カフェの信用を商工会が落としたからあんまり客入り良くないだろうに…
「いらっしゃいませ。一名様ですか?すぐにご案内しますね」
「何になさいますか?」
「じゃあ…このエスプレッソとサンドイッチとクッキーをください。」
「かしこまりました。少々お待ちください」
きたきた。どんな味かな…。
!?!?!?
何だこれ!?結構美味しいぞ!
うちも力を入れてるとはいえマニュアル使ってるし、もしかしたらこっちの方が美味しいかもしれない…値段も同じくらいだ。
このままだとせっかくお店をたくさん出したのにもうライバルが出てきちゃう事になるぞ…
やっぱりお店急ぎすぎたかなぁ。
どうにかしないと…
次の日店に行くとサラちゃんがいた。
「あっ店長。紹介した店どうでしたか?」
「ありがとう。すごいおいしかったよ」
「ですよね!それで…あの店困りますね」
「そうだね。美味しかったけどうちからするとライバルだしね」
「うちも美味しいのを作りたいですが、あまり料理を難しくするとバイトとかの子は作れないと思います。チェーン店の困る所ですね…」
「そうだね。あの店の事教えてくれてありがとう。
ちょっと対策を考えてみるよ」
それから4日、毎日あの店に行った。
なんか弱点を探るためだ。
すると気づいた事がある。
この店よく見るとあまりカフェのようには見えない。
というかあまり目立たない感じなのだ。
それに毎日そこまでお客さんが来ていない。
サラちゃんの話だと二ヶ月前からあるらしいし…
それでこれって事はもしかして宣伝下手、もっと言うと店主が商売が苦手なのかもしれない。
これならあの手が使えるかもしれない。
遅れてしまってすみません!




