11話
3日目。
よく使われる言葉に「2度目はない。」「2度ある事は3度ある。」がある。
1度目はあるのは仕方ないという暗示だ。
よく
委員会を決めたあとに放課後に会議(委員長と副委員長が出席する)があったりする訳だが
俺はこの会議をさぼってしまったのだ。
これは意図的ではない。単純に忘れてしまったのだ。
人はロボットではない。したがって忘れ物をするのは当然する。
いや忘れなければならない。
もし人に告白して振られた記憶があったとしよう。
その記憶を1年後も何一つ忘れていかったら、
俺は生きる事に耐えれなくなる恐れがある。
人は少しずつ記憶が曖昧になっていく。
昨日食べた食事の味が忘れていくように
(何を食べたかさえ忘れる)
会議のイベントを忘れるのは決しておかしくない。
自転車を走りながら、スピードを加速していく。
学校まで時間がないからだ。
そして
脳内で妄想している中に、
桜が入ってきた。
ソメイヨシノである。
一般的によく見かける桜である。
桜を見て、きれいだと
考えている時間の余裕もないし
昨年も見た光景なのだが、
春だなと感じる。
それだけだとよかったのが、
目の前に自転車が走っている。
よく小説では
事故にあうという描写があるのだが
そんな事があってはならない。
答えは「痛い」からです。
俺は注射を打つ事さえ怖い。
事故にあって連続的に続く痛みに耐えれない。
何とかブレーキを踏む。
だが、ぶつかってしまった。
自分にケガはなく相手の方は少しけがをしているようだ。
「大丈夫ですか?」
「はい。大丈夫です。」
小さな交通事故である。
どちらも自転車に傷がなく
相手のケガも擦り傷程度だった。
相手は別の高校の生徒だと思う。
理由は制服が違う事から読み取れるし体格的にそうだろう。
だが、最悪な事に相手は女子であった。
ポケットティッシュを渡した。
「ありがとうございます」
「すみません。よける事が出来ませんでした」
「いえいえ」
そうして事後現場を後にして学校に向かった。
もう一度述べるが
新学期は桜が咲く季節である。
今年の春は始まりが悪いなと思いながら、学校に向かった。