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【完結】とあるポンコツ女神サマの恋愛術!  作者: コル
7章 とある女神サマ、運命の文化祭へ
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とある少年と少女の昔話(1)

 もう夕方の5時半か……なんだかんだで、あっという間の1日だったな。


「もう蓮華祭も終わりか~」


「そうだねぇ~」


 グラウンドでは、キャンプファイヤーをする為に木が組まれ始めている。

 あの組み立てられた木に火がつけば、蓮華祭は終わり後夜祭となる。

 昼間はイベント等に使われたグラウンドにある野外ステージも撤去せずに残っている。

 後夜祭になれば、そのステージも自由に使っていいものだから生徒がたくさんうえに上がり大はしゃぎだ。

 この時ばかりは、先生たちもあちこちで好き勝手に楽しんでいる。

 生徒に囲まれていたり、生徒たちを優しい目で眺めていたり、中には生徒と一緒にステージに上がってはしゃいでいる先生までいる。

 無論、先生たちはお酒を飲めないし、生徒たちも決められたラインがあるから危険な行為はしてはいけないけどな。


「なんか、あっという間に終わっちゃった感じだわ」


「そうだねぇ~」


 そんな様子を窓から眺めながら、神野さんと星木さんが黄昏ている。

 今俺は、義秋、神野さん、星木さんの4人で校舎の2階にある義秋のクラスの教室にお邪魔をしている。

 この教室は校舎の真ん中あたりに位置しているし、高さも丁度いいからグラウンド全体を良い感じで見わたせる。

 しかも、みんなグラウンドに出ているらしく俺たち以外にこの教室はいない。

 まさに特等席だな、教室に案内をしてくれた義秋には感謝しないと。

 ちなみに香夏子は実行員だから、後夜祭の準備の為にこの場にはいない。

 多分、あの騒ぎの中でもみくちゃにされているんだろうな……色んな意味でちょっとかわいそうだけど、こればかりはどうしようもない。

 頑張れ香夏子、ここで応援をしているからな。


「あれぇ? ねぇねぇあの箱ってぇ、もしかしてクジボックスぅ?」


 星木さんが指をさした棚の上に、箱が置いてある。

 箱の上には手を入れる様に穴が空いている事から、間違いなクジボックスだろうな。


「義秋のクラスもクジで決めたのか」


 クジで決めるのが先生達の間で流行っているのだろうか。

 ……もしかして、メイティーの洗脳が他の先生にも感染してしまったのか?


「そうだけど……もって事はお前たちのクラスは」


「うん、私達のクラスもクジで決めたんだよ」


 まぁ仮にそうだとしても、蓮華高校内の流行りだけなら問題は無いか。

 世界中でってなったら大問題だけど。


「おっまだ中にクジが入ったままだぁ」


 いつの間にか、星木さんがクジボックスの中を覗いている。

 興味津々って感じだな。


「ねぇねぇ、中身を見てもいいかなぁ?」


「いいぜ、特に面白い物はないけどな」


 義秋のクラスは何を書いて入れたんだろう。

 そこは俺も興味を惹かれるな。


「やったぁ~。え~と……コスプレカフェ、カレー屋、お化け屋敷、クイズ大会、プラネタリウム、バザー……」


 星木さんがクジボックスの中からクジを取り出し読み上げていく。

 俺達のクラスでも出た奴もあるし、やっぱみんな考える事は一緒なんだな。


「やっぱり、他のクラスもよく似たものばかりだね。けど、お化け屋敷は被らなくてよかった~」


 もし被ったら、各クラスの実行委員がジャンケンで決めることになっていたはず。

 香夏子はジャンケンに弱いからな……本当に今年は被らなくて良かった。


「ん? ……校舎の屋上から告白するぅ? これぇ出し物じゃなくて企画じゃないのぉ」


 ここにメイティーのほしがっていた物があったし!

 誰だよ! メイティーと同じ思考の持ち主は!?


「言っておくが、俺じゃないからな。俺はコスプレカフェって書いたし」


 義秋はメイティー思考じゃなかったようだ。

 が、星木さんが何故お化け屋敷であんな格好になっていたのかはわかった。

 星木さんは義秋を喜ばせるためにコスプレをしていたんだな……けど、お化け役でやる事はないでしょうに。

 相変わらずその辺りはマイペースな人だ。


「そんな事はわかってるよぉ。え~と、他はぁ……街の歴史かぁ。これはこれで面白そうだねぇ」


「あ~街の歴史か~。確かに変化ってすごいよね、この街に戻って街の変わりようにびっくりしたもの」


「戻ってって、神野ちゃんは他に住んでいたんだ」


 義秋は、その事を知らなかったのか。

 星木さんは驚いていないから、その話は聞いていたっぽいな。

 なら、当然香夏子も知っているだろう。


「うん、私が小学生の時にお父さんの転勤で引っ越したのよ。1年前ほど前にこっちへ戻ったの」


「へぇーそうだったんだ」


「そういえばぁ小学生までって言っても、みんなはメイっちの事を知らないよねぇ。隣町の小学校に行っていたのぉ?」


「そうだよ。両親が隣町の小学校に通っていたから、私もそこに行きなさいって言われて通っていたの」


 なるほど、それは初耳だ。

 まぁ特にここでは小学校の指定はないし、距離もそう変わらないしな。


「メイっちがどんな小学生だったのか聞きたいなぁ!」


 ――っ!

 それは俺も聞きたいです!


「え~別に話してもいいけど、私の小学生時代の話を聞いても面白くないと思うよ?」


 それでも俺は聞きたいです!


「わたしはぁ聞きたい~」


「俺も、神野ちゃんの小学生の時の話を聞いてみたいな」


「おっ俺も聞いてみたい……なんて……ははは……」


 タコ公園で遊んでいた事は聞いたけど、それ以外は知らないから興味がある。

 ……後、もしかしたらずっと気になっている神野さんの大切な人の話が聞けるかもしれない。


「そこまで言うのなら……実は昔の私って、活発で男勝りだったんだよ」


 えっ!?

 今と違い過ぎて全然想像が出来ない。


「スカートも嫌いだったからいつも短パンやロングパンツを履いていたし、髪の毛も短くて、よく男の子に間違えられたんだ。あははは」


 今と完全に真逆じゃないか。

 ……あーでも、それなら神野さんと香夏子が仲良くなったのもわかる気がする。


「で、両親の帰りが遅いから遅くまでタコ公園で過ごしていたんだ……何もせず、ただブランコに揺られたり、ベンチに座って本を読んだり、暗くなっていく空を見ていたりしてたな~……」


 そして、急に重い話をぶっこまれた。

 当時の俺は、何故神野さんを見つける事が出来なかったんだ。


「メイっちぃいいい! もう寂しくないよぉ! 今はわたし達がいるからねぇ!」


 星木さんが涙目で神野さんに抱き付いた。

 同性だから簡単にできる行為が羨ましい。


「美冬ちゃん、ありがとうね。でも、そんな寂しい想いをしている時に男の子が話しかけてくれてね。それから引っ越すまで、毎日一緒に遊んでくれたからそこまで辛い思い出じゃないんだよ」


「おお! そんな事があったのかぁ……メイっちったら、おませさんだったんだねぇ」


 今の話を聞く限り、その男の子が神野さんの言った大切な人だ。

 感じ的には恋人ではなさそうだけど……神野さんにとって特別な子には間違いないな。

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