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星のカケラに祝福を  作者: 四条月妃
白紙の世界
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白髪の少女

第一章 「白紙の世界」

第一章1「白髪の少女」


 ――美少女だ‥


 そこに立っていた少女は全身が白く透き通ったような肌、腰近くまであるであろう白い髪、大きくはっきりとした全てを見通しているかのようなその目、何もかもが美しかった。


 ――見惚れてしまったがそれより‥



 「君は誰?さっき言ってたことは」


 そう先程の少女の発言が問題だ。

 こんな状況でふざけているのかと思ったが少女の目を見るとそんな様子には見えなかった。

 大きくはっきりとしたその目からは涙が零れ落ちていたのだから。

 そして少女が口を開く。


 「私は星の意思というこの星の思念体のようなもの。ごめんなさい、私は地球を守ることが出来なかった。見ての通り町中がいえ、世界中が白紙化されつつあるの。滅びは少しづつだけど進んでいるわ」



 頭が混乱した。

 目の前にいる少女が地球の意思?とかなんとかだと言うし、この街が白くなった少女が言う白紙化が世界規模で起きていた。

 なによりも進行形で滅びへと向かっているらしい。

 本当に映画の世界のようだ。

 だが混乱はしたがパニックには不思議とならなかった。

 落ち着いてまずは話を聞こう。

 少女に問いかける。



 「本当に俺しかいないのか?守れなかったって言ってたけど何からなんだ?宇宙人とか?さっき救って欲しいとか言ってたけど」

 

 

 質問責めのようになってしまったが仕方がない。

 わからないことだらけだし、彼女しか聞ける相手もいないのだ。

 地球に対してということは惑星規模で攻撃を受けたということ、なので宇宙人の侵略かもと考えた。

 しかし真実とは予想を大きく上回る。


 「まずあなたしかいないのかという質問はその通り。地球の人類はあなただけよ。そして何から攻撃を受けたかという質問、簡単に言うと異世界からの攻撃よ」

 

 本当に俺しかいないうえに、異世界からの攻撃だって?!

 なんだそれは!!

 想像の遥かに上を言っているじゃないか!!!

 心の中で驚きまくる俺を置いていくようにして少女が続ける。



 「異世界の攻撃の目的は地球から魔力を奪うのが目的だったの。異世界には魔法があってそれを使うのに魔力、向こうではマナって呼ぶんだけどそれを取られてしまったから地球は真っ白になってしまったの」

 

 魔法だって?

 いよいよ本格的に映画の世界になってしまったようだ。

 話が壮大すぎて少女の話に口を挟めない。


 「驚くのも無理ないわ。こんな現実離れした話すぐ飲み込めって言う方が無理だもの。でも事実なの。さっき地球は滅びに向かっているって言ったでしょ?この白紙化まだ不完全で建物や生き物の中身までは起きていないの」


 確かに建物の中までは白くなっていなかったし、外を歩いているときに見つけた畑のトマトも割ってみると中から汁が飛び出してきた。


 「つまりこの白紙化が中まで起きた時がタイムリミットなの。お願い、地球を救ってほしいの!」


 少女が悲しげな表情で訴える。

 こんな時物語の主人公なら「任せろ!」と言って引き受けそうだ。

 だが現実的に考えてどうしろというんだ?

 人類は俺だけで、世界中に攻撃できる手段を持っていて、魔法まであるとかいう、ましてや異世界で。

 

 ――無理だろ‥


 そうだ無理だ。

 俺には地球を救う、そんな英雄みたいなことは出来っこない。

 なんで俺だけ生き残っているのかはわからないがまぐれに決まってる。


 「無理じゃないし、まぐれでもないわ。あなたが生き残ったことには何か理由があるはずよ。あなたならできるわ」

 

 少女が真剣な表情で言う。

 

 心でも見透かされているのかと思った。

 まぁ星の意思とか言うくらいなのだからできるのかもしれない。

 美少女にここまで言われると少しやってやる気持ちもなくはない。

 いややるしかないのだ。

 何もしなければ結局地球は滅びてしまうのだから。

 

 ――やってみるか…


 「わかった、やるよ。何ができるのかわからないけど俺しか残っていないんだしな。君も一緒に‥」


 覚悟を決め、君も一緒に来てくれるのかと聞こうとした時だった。

 少女の足の色がなんだか薄い。

 いやまるで消え始めているようだった。


 「一体なにが‥」


 少女が言う。

 消え入りそうな悲しい声で。


 「もう時間切れか。ごめんなさい、押し付けるみたいになっちゃって。私は星の意思、つまりこの地球そのものなんだから。これだけ星が消耗してたら消えちゃうわ」


 俺を不安にさせまいと少女は笑顔でそう言った。

 そして続ける。


 「あなたをこれから異世界へ飛ばします。向こうには地球を攻撃してきた奴らがいるはずよ。奴らから星のカケラを取り戻してほしいの」


 そう言って少女は光るカケラを取り出した。


 「これは星のカケラ。地球のマナの源なの。本来は八つあるのだけど今は一つしかない。これが全部集まれば地球を元に戻せるはずなの」


 そして少女は俺にカケラを渡す。

 強い輝きだがどこか暖かさを感じるそんな輝き。

 

 「綺麗だ」


 思わず口に出してしまった。

 その瞬間カケラが俺の胸に光となって吸い込まれていった。


 ――今のは一体‥


 「カケラがあなたの力になると決めたのよ。そのカケラがあれば向こうの世界で戦うことができると思うわ」

 

 少女が安心したように言った。

 自分の消えゆく体を気にすることもなく。

 俺に優しく告げた。



 「任せておきな!俺がカケラを全部集めて地球を元に戻してみせる!君はこっちでゆっくりしてな!!」

 


 自分の中で精一杯の強がりとカッコつけをして見せた。

 不安もある、恐れもある。

 だがやらなくてはならないのだ。

 それに美少女からの頼みを断る男など漢じゃない。

 

 俺の言葉を聞き少女はくすりと笑い、いつでも見守っていますと言い残し消えていく。


 そして俺の目の前には扉が現れた。

 これが入り口のようだ。

 

 ――よし、やってやるか!


 気持ちを引き締め、扉を開ける。

 ここから雨宮洸のカケラ集めの旅が始まる。

 

 

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