失態を起こしてしまうなんて
そして、結婚式当日...。
「カメリア様、とってもきれいですぅ~。」
「マリー、ありがとう。」
「これは旦那様もカメリア様に見惚れてしまいますね!」
「そうかしら?そうだと良いわね。
それにしても、マリー少し顔色悪いけど大丈夫?」
「こら、マリー。カメリア様以上に緊張してどうするの?」
「すみません。」
「カメリア様、いえ、奥様。マリーのことは気にせず、どうぞいってらっしゃいませ。」
モリスと相変わらずのマリーに送り出され、純白のウエディングドレスをまとった私は、エドワードのいるところへ向かったのだった。
久しぶりに顔を合わせたエドワードは、相変わらずの美大夫で、正装もきちんと着こなしており、より一層カッコよく見惚れてしまった。神の前で誓った式は滞りなく進み、お互いの名前をサインし宣誓をすると終了してしまった。これで私もジェファー家の一員になったのだと思うと、なんだかあっけなく物足りない感じもした。
式の後の宴では、エドワードの二度目の結婚式なので、あまり大げさにしないと聞いてはいたが、それでも来賓の数は多く、挨拶だけでもぐったりしてしまう。式があっけないと思った自分を殴ってやりたい。
どうしよう...。顔と名前が一致しないし、覚えきれない...。
「顔色が少し優れないようだか、大丈夫かい?」
「は、はい。あのちょっと来賓の方々の顔と名前が覚えきれなくて、どうしようかと。」
「なに、気にしなくて良い。どうせみんなそんなにこちらには、来ないんだし、少しずつ覚えていけばいい。私は、あなたが私の隣にいてくれるだけで、満足だよ。」
「/////。ありがとうございます。」
かっこいい人は、何をいってもかっこいいのだなと再確認した。
宴途中で、私は中座し、初夜の準備をするために、自分の部屋へと戻っていった。
そう、初夜なのだ。とうとう初夜なのだ。母や家庭教師には、一通りきいてはいるが、聞いてはいるが、いや聞いているからこそ緊張してしまう...。だっ大丈夫よね。「困ったら最後旦那様が何とかしてくれるから、旦那様の言う通りにしてれば大丈夫よ。」と二人とも言っていたが、本当に大丈夫なのだろうか。とあれこれぐるぐる考えている私をきにせず、マリーや他の侍女達に体を洗われ、香油を塗りたぐられ」、念入りにマッサージを施術させられ、気が付けば全ての準備が整っていた。
「カメリア様、大丈夫ですか?」
「ああマリー、大丈夫よ。ありがとう。そうね、何か口を潤す物を貰えるかしら?」
「承知いたしました!少々お待ちくださいね。」
マリー以外の侍女はすでに退出しており、マリーも今飲み物を取りにいったので、部屋には私一人。
し、静かだ。
私の部屋には、廊下につながる扉以外にもう一つ扉がある。そう、旦那様の部屋とつながっている扉だ。きっと旦那様は、あの扉からいらっしゃるに違いない。とそわそわしていると、マリーが戻ってきた。
「カメリア様、お待たせいたしました。こちらをどうぞ。」
「ありがとう、マリー。」
これから行われることが分かっているのか、分かっていないのか、
マリーはいつものように笑顔で部屋を出ていった。
マリーが用意をしてくれたワインをちびちび飲みながら、今か今かと旦那様を待っていたが、私の落ち着かない気持ちも知らないのか、彼はなかなか来なかった。いや、時間が長く感じられただけかもしれないが。気がつけば朝になっていた。
はっ、朝?
なんてこった。やっちまった...。
初夜にすやすや寝てるって、どういうことだ...。
ソファーに座ってマリーが準備してくれたワインを飲んで彼を待っていた。
という所までは覚えている...。
しかし、今私はベッドで寝ているという事は...。
自分でベッドに入ったという事か、
それとも、旦那様が来て寝ている私をベッドに移動してくれたということだろうか...。
しかも、私の恰好といえば、初夜仕様の為、非常にセクシーな夜着を着ているのだ。
部屋に入ったらあられもない恰好した女(私)が、酔っ払って寝ている。
あまつさえ、起きない私をベッドに移動するとか...。
はっ恥ずかしすぎる!
なんてこった!待て待て待て。とりあえず落ち着こう私!
よ、夜着は...乱れてない...。
シ、シーツも...乱れてない...。
ということは、本当に何も起こっていない...。
...。
これって妻として初日(いや初夜か)から失格じゃない?!