バレた!
カメリア視点に戻ります。
まだ、最終避難先が見つからないが、季節は、すっかり秋から冬へと変わっていった。
天気の良いある日、エドワードが離れた領地の視察でしばらく屋敷を空けると言い、屋敷の人間が手薄になったのを良いことに、久しぶりにクリスに会いに、イーサムの小屋へ尋ねた。
窓から入る冬の木漏れ日は、とても暖かいと思いながら、クリスとお茶をしていると、扉が突然開き
「いや~、イーサム、ごめん!ちょっと話があるんだが!」
と言って、ロビンが入ってきた。
「...。」
「...。」
私ったら、この可能性をすっかり忘れていたわ...。
「な、なあ、今、俺の前に失踪中のクリスがいるように見えるんだが、気のせいか...?」
「...。気のせいじゃないかしら?」
「ちょっとカメリア、こっちこいっ!」
「ひいっ」
返事をする前に、腕を取られ引きずられていった。
気持ちは、ドナドナだ。
そして、オロオロしていても、クリスはやっぱりカワイイ!
「うっ、腕ッ、痛いわよ!」
「一体どういう事なんだ?なぜ、クリスがイーサムの家で君とのほほんとお茶しているんだ?俺が王都に戻っている間、クリスが無事に帰ってきたって事なのか?
「クリスは、今現在、絶賛失踪中よ!
私がクリスをここに連れてきて、イーサムにお願いしたの。」
「なんで、また。」
「エドワードがクリスに虐待しているみたいなの...。
私が気がついた時には、両手首に鎖で繋がれていたような跡が残ってたの。
本人に聞いたら、逃げたいって言っていたから手を貸したのよ...。」
「マジか...。
なあ、カメリア、クリスを逃がす時に、何で俺に頼らなかった?」
「知っている人が少ないほうが、計画は上手くいくし、何より、あの時、お屋敷の誰を信じて良いかわからなかったし、信用できたとしても、巻き込みたくなかったのよ。すでにイーサムを巻き込んでいる時点で、説得力ないけど...。」
「これから、どうするんだ?
それこそ、いつまでもイーサムの所にクリスを置いておくわけにもいかないだろう?」
「わかってる。わかっているわよ。
侯爵家に対応できる家ってなると、私じゃなかなか見つからなくて、それなら市井にとも思ったんだけど、それも見つからなくて...。」
「なあ、それ俺に任せてくれないか?」
「え?」
「俺、王都に知り合いいるし。今、ぱっと考えただけでも、いくつか心あたりあるからさ。」
「でも、巻き込むわけには...。」
「お願いだ!頼りないかもしれないけど、君の役に立ちたいんだ!」
「...わかったわ。」
「ありがとう!こうしちゃいられない!俺、早速行くわ!」
「あ、待って!ここに来ている時は、誰かに見つからないようにお願いね!」
「もちろん!」
「そしてね、この家にももちろん、クリスにも、リンゴは持ち込まないで!」
「え?何で、リンゴ?」
ロビンは不思議な顔をしていたけど、これだけは言っておかないと!
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「ねぇ、スリン」
「はーい、何だいカメリア?」
「ロビンって、信用して良いのかしらね?」
「それは、四回目って事で良いのかな?」
「良いわよ。どれでも好きな記憶持っていって頂戴。」
「...ロビンはね。君に言っていない秘密を持っている。が信用しても大丈夫だよ。」
「そう、ありががとう」
「ねぇ、カメリア。なんで君は白雪姫の世界って、わかったの?
今回記憶貰わないからさ、教えてよ。」
「あーあれ、私、前世の記憶があるの...。」