プロローグ
ラーシエル大陸。
そこには様々な種族が暮らしていた。
それはおとぎ話になるほどの昔、神々が人の子とその他の生き物を祝福し作られたと言われており、大きな町を作って暮らすもの、森林の中で自然と共に生きるもの、海の中に都市を築き暮らすものと、多様な文化を形成していた。
その中に、エルフという種族がいる。
彼らは美しい見た目としなやかな肉体、そして明晰な頭脳を持った、とても優れた種族であった。
他の種族からも一目置かれる存在であった彼らは、しかし驕ることなく慎ましい生活を営んでいた。
だが、過ぎた能力は他者から疎まれもする。
あるとき、人族の王が多種族の王たちへ話を振った。
「エルフたちは、きっといずれこの世界を我が物顔で支配しようとするに違いない」
初めの頃、エルフの謙虚さをよく知る種族の者たちは、その話を聞こうとはしなかった。
だが何度も、何度も繰り返されるうちに少しずつその言葉は皆の中に染み込んでいく。
その後は、誰が最初だったかはもうわからない。
唐突に、エルフ狩りは始まった。
突然の事に驚いたエルフたちも、最初は持てる力と知識を合わせ、懸命に抵抗していた。
だが、数の力には勝てず、エルフはその数を徐々に減らしていく。
ひとつ、ふたつとエルフたちの集落は無くなっていき、次第に住むところを追われていった。
エルフ達は流浪の民となり、その住処は上空へと移っていった。
天空の砦、アルデバラン。
大きな飛空船であり、上空へと逃げることで、ようやくエルフ達は平穏を得ることができた。
もう襲われることはない。
夜に怯えることもない。
ようやく訪れた平穏な生活に、エルフ達は安堵していた。
その平穏も、永くは続かなかった。
昨日見た夢を基に書いているので、終わりがどうなるのか作者もぜんぜんわかりません。