伝説を追い求める男
教室は俺と洋介の二人きりの空間だった。
これがかわいい女の子との二人きりならどれほど……と思ったが、女の子と二人きりの空間になった所で俺にどうこうできるコミュ力はないから意味ねーや。
あいつなら場を和ませられるんだろうなぁ…と思ってチラリと見ると、そこにはイケメンがいた。
彼は窓際に寄りかかっていた。
差し込む朝日はまるで彼のためにあるかのようだ。
彼の目はどこを見つめるでもなく、それなのに何故か眩しい程の輝きを持っていた。
そんなイケメンが、ふと天を見上げ、下を向いて息を吐き、そしてもう一度上を向いて呟いた。
青砥「……巨乳」
俺「死ね。」
洋介「なんだよ、口悪いなぁ。この美しい朝日を見て心洗えよ。」
俺「それお前が言うの?ねぇ、お前が言うの!?」
洋介「ん?俺は思ったことを言ったまでだ。」
俺「美しい朝日に何を見出してんだ!」
洋介「巨乳はいいよな。そこにあるだけで幸せをもたらしてくれるんだぜ。」
俺「その話深堀りすんのかよ……。俺は胸はでかけりゃいいってもんじゃないと思うぞ?」
洋介「はぁ……。だからお前はロリコンでシスコンで貧乳好きなのか。」
俺「俺はロリコンでもシスコンでも貧乳好きでもねぇよ!てかロリコンなのはお前だろ?」
梨奈の胸はぶどうで例えると「デラウェア」レベルなのでシスコン=貧乳好き、という方程式自体は否定しないけども。
洋介「は?俺は巨乳好きだって言ってんだろ?」
俺「ロリ巨乳という路線が残されてる。」
洋介「あのなぁ、義人。本物のロリ巨乳なんてものは存在しないんだ。それは伝説上の生き物なんだ。」
俺「でも、合法ロリ巨乳ってのは世の中にいるだろ?」
洋介「お前それマジで言ってんの?ロリってのは俗世間で汚れてない清純な心と綺麗な肌が大事だって自分で言ってたじゃねぇか!化粧で誤魔化して合法ロリなんて肩書きで世に出てきたヤツのどこに清純さがあるってんだ!!」
俺「な、なぁ、洋介?お前本当にロリコンじゃないだろうな?なんでいつにも増して熱弁なんだよ?」
洋介「……俺は巨乳好きだ。」
俺「はっきり否定してくれよ……。」
美しい朝日は、それでもなお彼を照らし続けていた。