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柊義人の日常  作者: たもたも
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冴えない男とショッピングモールは排反事象②

俺「人多すぎじゃね?」


梨奈「まぁ最近リニューアルしたばっかだし、それに土曜のお昼だから仕方ないよ。」


俺「リニューアルしたからってみんな暇人だなぁ。」


梨奈「いや、お兄ちゃん程じゃないでしょ……。」


俺「一理あるな。」


梨奈「ううん、百理は下らないね。」



あの後何とか意識などを取り戻した俺は半ば無意識に妹の言いなりになって支度をはじめ、ショッピングモールに来ていた。


俺「そんで、俺らは今どこに向かって歩いてんだ?」


梨奈「スカラウィッチ」


俺「なるほど、分からん。」


梨奈「今のご時世スカラウィッチ知らないで生きる方が難しいような……っと、着いた着いた、ここだよ。」



そこは洋服屋だった。


今どきの音楽をかけ、今どきの髪型と服を来た今どきな店員が働く、今どきの服屋だ。つまり俺とは全く関わりが無いはずの場所。


俺「良かった。名前聞いた時にゃ、今日俺は魔女の供物用として連れてこられたのかと思ったぜ。」


梨奈「確かにお兄ちゃん陰の力凄いもんね。」


俺「そうですね!」



そんな仲睦まじい?会話をしながら店内に入ると、いらっしゃいませの掛け声と共に1人の店員が近づいてきた。俺の嫌いなオシャレなお店あるあるの一つだ。


店員「いらっしゃいませ!本日はどういった服をお探しで?」


梨奈「はい、外行き用のオシャレな服を欲しいと思って。」


店員「かしこまりました……あなたは彼氏さんで?」


俺「あぁ、はい。俺はこの子の彼氏でゴフッ!!」


横腹に会心の一撃!


梨奈「私達は兄妹です!」


店員「かしこまりました……お兄さん、あちらのソファで寝かせますか?」


梨奈「いえ、迷惑かかるんで自分で歩かせます!あ、あと服は自分達で探すので大丈夫です。お騒がせしました!」


店員「いえいえ…かしこまりました。ごゆっくりどうぞ!」



そう言い残すと店員は近づいてきた時の1.5倍程のスピードで店奥に消えていった。



俺「あの、梨奈さん?今日はやたらと攻撃性高くないですかね?」


梨奈「あ!この洋服いいじゃん!」


俺「清々しいまでに聞いてないな!」



梨奈が洋服選びに夢中になってそこから40分、柊梨奈のファッションショー(観客1人)が繰り広げられた。


梨奈「どう?」


白のシャツに緑色の薄手の上着をはおり、下はスキニーパンツで登場。全体的にスタイリッシュにまとまったコーデだ。


俺「お色気が足りないな。」


梨奈「お色気求めてないんだけど……。」


俺「俺はめちゃくちゃ求めてる。」


梨奈「分かりましたよーだ!お色気出しゃいいんでしょお色気を!」


5分後、梨奈は薄い黄色のシャツにピンクの毛糸のカーディガン、オマケに丈短めの白黒スカートをはいて登場。


俺「いや、お色気が足りないのは梨奈自身だからな?服装変えてもしょうがないぞ?」


梨奈「死にたいのかな♡」


俺「俺はまだこの世に未練が……ってハンガーは凶器じゃないから!バットの素振りみたいな音出てるから!」


梨奈「最期に1度だけ話を聞いてあげる。」


俺「最期……?い、いや、とっても似合う、似合ってる!さっきの言葉はあまりにも妹が可愛くてその照れ隠しのためです!」


梨奈「そうなの?……それならいいわ。他にも気になる服あるから適切な評価お願い。」


俺「かしこまりました!」



その後からは機嫌を損ねないように言葉を選び、何とか最悪の事態は避けることが出来た。

結局梨奈は計4着の服を購入したのだが、その中に俺が高評価を出した服は1着も入ってなかった。俺の存在意義、知ってる人がいたら誰か教えて欲しい。



俺「今日なんで俺呼ばれたんだ?服なら俺より梨奈の友達の方が詳しいだろ。」


梨奈「友達もいいけどみんな、かわいい!とか似合ってる!しか言わないから参考にならないんだよね……。その点お兄ちゃんはズバズバ言ってくれそうだったからね。」


俺「たしかに、女子が女子を批判するのって冷戦の宣戦布告みたいなもんだしなぁ。」


ズバズバ本音を言ったら、ハンガーでズバズバ行かれそうになった件については触れないことにした。だって怖いもん。


梨奈「でもほんとに来てくれるとは思わなかったよ。ありがとう、お兄ちゃん。」


俺「よせって。可愛い妹のためならたとえ火の中海の中人混みの中ってな。」


梨奈「それにしてはなかなか起きなかったよーな……。何か裏があるでしょ。」


俺「バレたか。実はここがリニューアルした際にアニメショップが出来たのさ!1度行ってみたかったんだよ。」


梨奈「さっきのありがとう撤回しようかな……。」


俺「もちろんアニメショップ寄ってもいいよな?」


梨奈「5秒間だけね。」


俺「入店3歩目が折り返し地点じゃねぇか!」





その後、俺は何とか梨奈を説得して15分間に延ばしてもらい、押しアニメのグッズを何個か手に入れることが出来た。


たまには動き回る土曜日も悪くないかな、なんて思ったりもしたけど、体は朝とは別の意味で休養を訴えているので帰ったらすぐに寝よう。うん、そうしよう。

ご覧頂きありがとうございました!

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