対照実験は最終的に成功の兆し
地の文を入れてみたのでいつもより長めですが読みやすくなっていると思います!
朝礼前の学校。
寝坊気味の暖房器具達のせいで今日も寒いその場所で、俺はやり残していた予習の消化に1人勤しんでいた。
茜の友達A「あ~!茜、前髪切ったでしょ!かわいい!!」
B「ほんとだ、かわいい~!」
茜「そんなことないよ~!」
C「ううん、前と全然雰囲気違うよ!」
正直、クラスの女子達がうるさいから勉強する空間としては不向きなのだけど。
そしてもう1つの俺の勉強阻害因子が近づいてきた。
洋介「おは義人!」
俺「ただでさえ寒いんだからこれ以上気温を下げないでくれよ……おはよ。」
洋介「涼しくていいだろ。」
俺「俺は朝練してるお前と違って身体が冷えてんだよ!」
洋介「朝から元気出さないと1日持たんぞ~?お前も茜ちゃん髪切ったでしょ!かわいい~!って言ってこいよ。」
俺「嫌ですけど!?」
洋介「そっかー、義人は心の中で、茜ちゃん萌え~!!って言ってるからわざわざ声に出す必要ないもんな。」
俺「お前の中の俺は一体どんな萌え豚なんだろうな……」
洋介「まぁそんな落ち込むなよ。茜ちゃんの可愛さで傷を癒しな。」
俺「お前が傷つけたんだけどな!それに前髪切っただけでそんなに可愛くなったか?」
洋介「そんなこと言ってるから義人は義人なんだよなぁ。」
友達の心の中で俺の変なアイデンティティが確立されました。
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俺「ただいまー」
梨奈「おかえりー」
あの後学校では特に際立ったことも無く、いつも通りに授業を受け、いつも通りの道を通って家に帰った。普段ならこのまま何の変哲もない一日で終わるはずだが、俺の脳内には一つだけくそどうでもいい疑問が引っかかっていた。
[本当に前髪を切れば人は可愛くなるのか]
これが本当ならば、前髪というのは可愛さを減衰させている存在ということになり、出家して丸坊主にでもなれば誰でも可愛くなるということになる。
俺は試してみることにした。
<実験>
証明したいこと・・・[前髪を切れば人は可愛くなる]
実験方法
俺が実際に前髪を切って、梨奈に評価してもらう。
仮説
可愛くはならないかもしれないが、雰囲気が変わって明日クラスで話題になる。
手を洗うついでに俺は洗面所で前髪を数センチだけ切った。
そこで俺は重大な過ちに気づいてしまった。
俺「やばい…髪切る前に梨奈に1度評価してもらうんだった……。これじゃあ対照実験失敗じゃねぇか……。」
そう、自分が元からかわいいという可能性を見逃してしまっていたのだ。
俺「まぁ切れた髪は戻らないしな……。前髪も程よく切れたし梨奈に見せに行くか!」
梨奈「なに鏡の前でブツブツ言ってんの…?とうとう頭の方が壊れちゃったのかな?」
俺「お、ちょうどいい所に来たな!俺ちょっと変わったところあるんだけど分かるか?」
梨奈「全然わかんないけど、とりあえずキモさは変わってないよ。」
お兄ちゃん出家しようかな……
実際は出家して丸坊主になるのは男限定です。