第4話 闇の祭壇
(アイゼン、こんな状況なんだけど、何かいい方法はない?)
(闇の祭壇の魔法か能力が良いでしょう)
「闇の祭壇?」
「え?闇の祭壇?って何?」
思わず声に出してしまったようだ。
アイに聞き返されてしまった。
「えっと、ちょっと待ってね」
(アイゼン、闇の祭壇の魔法か能力って何?)
(闇の祭壇の魔法や能力は結界の一種です。
闇の祭壇の結界内部で交わった場合、まだ産まれていない生命をエネルギーとして抽出し、指定した物にエネルギーを付与します。
今回の場合はこの家全体に闇の祭壇の結界を設置し、開拓の中心として位置付けられている神棚にエネルギーを付与することによって開拓を促進させることができます。
邪神や破壊神の像にエネルギーを付与することが多いため、闇の祭壇という名称になっています)
ふむ、これは一石二鳥のような気がする。
ぜひとも進めなければ。
「闇の祭壇という結界を設置してその中でHすると、まだ産まれていない生命をエネルギーとして抽出して、家の神棚にエネルギーを付与できるみたい。
神棚に入ったエネルギーで、開拓をさらに進めることができそう」
えっと、あってるよね。
自分の言葉で説明するのって難しい。
「つまり、闇の祭壇の結界を設置してからもう一度Hすればいいのね」
「そうだね。ちょっと結界設置してくる」
バスローブを羽織り、家の周囲を回る。
(アイゼン、全能能力枠の隠密を闇の祭壇に変更)
(変更しました。現在の能力一覧を表示します)
1.ゲート Lv1
2.AI全知 Lv1
3.全能 Lv1
4.完全耐性
5.完全適応
6.闇の祭壇 Lv1
7.飛行 Lv1
以上
「闇の祭壇、設置」
設置範囲が表示されたので、家が収まるように範囲を設定する。
これで大丈夫かな。
(アイゼン、これで闇の神殿の結界は無事設置されてる?)
(無事に設置されています)
よし、これでいいかな。
設置を確認して家の中に戻る。
アイがすぐに抱き着いてきた。
「寒くなかった?
すぐにもう一回ね」
完全適応があったので気温のことを忘れていた。
もちろんすぐに楽しみましたよ。
「さっきの光がそうなのかな。開拓を進めるのに役立ってるの?」
「ちょっと開拓を調べてみるね」
(アイゼン、体が光ってなんか光が飛んで行ったけど、あれが闇の祭壇の効果?)
(はい。闇の祭壇は正常に稼働しています)
よかった。
後は開拓の方か
(アイゼン、開拓画面の詳細を表示)
(開拓画面の詳細を表示します)
視界が都市建設の時のように、上空からの視界に代わる。
他にも食料、魔素という数値がある。
詳細を見ると、
食料 1000 1日の増加量 400
魔素 158230 1日の増加量 400
ゲームと似たようだけれど、違う部分もいろいろあるみたい。
他は、ミニゴーレムちゃんと思われるマークが2か所についている。
都市と草原に今はいるようだった。
ゲームでいうところのこれが住人が稼働している地域かな。
どうやらミニゴーレムちゃんが住人役でそのマスを開拓してくれそう。
資源マークに合わせてみると、どうやら研究不足のようで活用できていない。
まずは現在の開拓範囲にある魔法金属と牛かな。
魔法金属は採鉱、牛は畜産の研究か。
(開拓者スキル、研究を表示)
視界に研究ツリーが出てきた。
アイゼンに指示しなくても直接でも開拓者スキルは発動するようだった。
まぁアイゼンに頼んでもいいんだけどね。
科学力の代わりに魔素が必要になっている。
しかも最初のうちは300固定だ。
現状の魔素の増加量が標準で1日400ということを考えると、1日1個研究できるくらいが本来の流れかな。
元々魔素がどれくらいあったのかがわからない。
闇の祭壇でだいぶ増えたのかな。
とりあえず研究をしてみよう。
採鉱はそのまま研究できたけれど、畜産は前提が必要か。
米も近くにあるし、農業にしておこう。
とりあえず採鉱、農業、畜産を研究。
魔素で完了させるということは即研究完了以外はないのかな。
この辺はゲームとは違う仕様か。
再び開拓画面の詳細に戻る。
魔法金属は既に有効になっていた。
都市の位置だから鉱山は建設しないでいいようだ。
続いて牛の地域に牧草地を建設する。
これも魔素300か。
労働力とか科学力的なイメージはないのかもしれない。
とりあえず建てる。
一瞬で出来上がる。
とりあえずこれで魔法金属と牛の資源は有効化されたようだ。
都市の外に配置されていたミニゴーレムを、都市南東の牛の資源のある草原に移動させた。
食料 1000 1日の増加量 700
魔素 156630 1日の増加量 1400
魔法金属によって魔素の増加量が1000、牛によって食料の増加量が300増えたようだ。
ゲームでは建物によるボーナスだったと思うんだけど。
アイゼンが資源の上にかまわず都市建設を進めたのはこのためなのかな。
(開拓者スキル、生産を表示)
視界に生産画面が現れた。
建造 温泉
ユニット -
ミニゴーレム
え?温泉?
建造?
さっそく温泉を作ってみた。
迷う必要はないよね。
やはり魔素は300だった。
手抜きじゃないのか。
ミニゴーレムを選ぶと3体目、1000と出てきた。
もちろん生産。
すると4体目、2000と出てきた。
もちろん生産。
5体目4000、6体目8000、7体目16000、8体目32000、9体目64000。
現在の開拓範囲は9マス。
9体目まで一気に行きましたとも。
再び開拓画面の詳細に戻る。
ミニゴーレムは9マスすべてに配置されている。
食料 1000 1日の増加量 1400
魔素 32330 1日の増加量 3400
魔素があると一気に進む。
「ユウ、どう?」
開拓を進めていた僕に、愛がたまらず声をかけてきた。
忘れてた。
「ごめん。開拓を少しやってみた。
さっきの光でいいみたい。
いろいろできたけど、とりあえず温泉を作れたので作ってみた。
ちょっと外見てみようか」
家から外に出ると、家のすぐ脇に温泉があった。
「近い、ね」
まさかこんなに近くにできるとは。
「露天風呂。天然温泉。いいじゃない」
「そうだね、更衣室どころか仕切りも何もない。
そのまま天然の温泉っていう感じだね。
開拓すれば変化するのか、それとも自分で建物を建てる必要があるのか。
とりあえず入ってみる?」
空には二つの月。
家の周りは森が開けていて空が見える。
相変わらず近くでミニゴーレムが木を切っている。
「うん、温泉入る。
着ているものは飛ばされる困るから家の中に置いておくね。
バスタオルも玄関に用意して、行くよ」
アイ、早い。
話しながらそのまま準備も進めたみたい。
僕の分もバスタオルが用意してある。
僕もバスローブを脱いで温泉に入る。
「月を見ながらの温泉って、なんだかいいね」
「そうね、ちょっと熱めの温泉と外の気温が気持ちいいわ」
なるほど。
完全適応のためか完全耐性のためか。
温度のことはすっかり忘れていた。
なんとなく気持ちいいという感覚だけで。
月と温泉と言えば月見酒。
そういえば開拓の食糧ってどうなっているんだろう。
というか、あの食料は人間用なんだろうか。
もしかしてゴーレム用?
(アイゼン、開拓者スキルで出てくる開拓の食糧って人間用?ゴーレム用?)
(人間用です。ゴーレムは作成時に魔素が必要なだけで、維持にエネルギーは必要ありません)
おお、ゴーレムさん燃費いいのね。
(アイゼン、開拓者の食糧ってどうやって使えばいいの?)
(開拓者スキルの都市開拓詳細から使えます。直接、開拓食料使用、イメージする食料で取り出すことも可能です)
(アイゼン、食材ではなくて食料ということは料理とか飲み物とかでもいいの?)
(可能です。魔法と同じくすべてはイメージです)
やってみるか。
「開拓食料使用、月見酒」
『食料を20消費します。よろしいですか?』
はい、と念じる。
目の前にお盆に乗った徳利が現れた。
お盆の上にはおちょこが二つ載っている。
「え?こんなこともできるの。すごいわね」
アイが喜んでいる。
「開拓で手に入れた食料を使ってできるみたい。
イメージが必要みたいだから、味がわからないものは無理かも。
これは前に親戚の伯父さんとお父さんが月見酒を飲んでたから。
一口貰った時のイメージ。
本当にそのままかどうかわからないけど」
お猪口にそれぞれお酒を注いで片方飲んでみる。
「うん。よくわからない。
あまり味のこと覚えてないし、こういう感じだったかも」
アイも続けて飲んでいた。
「えへへ。なんだかお酒っぽい。
ユウ、いけないんだー、20歳になってないのに」
アイの顔がにやけている。
「アイだって同い年。
それにお酒が20歳からなのは日本の法律。
ここは日本ではないから法律違反ではないはず。
むしろどこの国でもない僕の開拓都市だから、僕が決めていいはず」
うん。
多分あってる。
そういうことにしておこう。
「うん。そうよね。
ここは日本ではないし」
そういうとお猪口のお酒を一口で飲んだ。
失敗した。
思い出させてしまったかもしれない。
アイのお猪口にお酒を注ぐ。
アイは再び一口でお酒を飲んだ。
と思ったら口移しでお酒を飲ましてきた。
「私ね、あの時はもうだめなんだって思ったの。
上玉とか味見とかお頭からとか楽しめるとか。
もちろん、どういう意味で言っていたのかなんてわかっているわ。
あのままつかまっていたら、私は盗賊たちに襲われ続けていたんだと」
アイが抱きしめてくる。
温泉の中で。
裸同士で。
「そこへ颯爽と現れるユウ。
捕まえようとしていた人たちは、いつのまにか寝てる。
私を助けてくれたユウ。
もう、かっこいい私の王子様」
えっと、なんか思い込みがすごいんじゃないかな。
アイはお姫様といってもいい。かわいい。
でも、僕は結構平凡だと思う。
「ここは異世界。
ああいうことが平気で起こるんだ、って思った。
元の世界に戻れるかなんてわからない。
元々異世界なんて夢物語なんだから、きっと元の世界になんて戻れない」
え?
あれ?
「ユウが助けてくれたから。
私もユウを助けるの。
何にもできないけど、一応これでも容姿には自信があるの。
プロポーションも自信があるのよ」
胸を強く押し当てて、キスをしてきた。
やばい。
まずい。
これ、いろいろ順番まちがえた。
すっかり忘れてた。
「ユウのお嫁さんとして、頑張るの。
何もできないけど、少しでも頑張る。
もちろん夜もいっぱいいっぱい頑張る。
だから好きなだけ楽しんでね。
私も気持ちいいから」
ああ、やわらかい。
これ、もしかして既に酔ってないかな。
「えっと、アイさんや。
お酒に弱かったりする?」
「酔ってない」
「えっと」
「酔ってない」
「うん。酔ってないね」
酔っている人は、酔っているとは言わないらしい。
確かにそんなことを聞いたことがある。
「で、アイさんや」
「酔ってない」
「うん。酔ってない酔ってない。
それでいい忘れていたというか、すっかり忘れていたというか、それどころじゃなかったといいますかね」
「酔ってないの」
「うんうん。酔ってない。
かわいいよ、アイ。
それでね、日本にはそのうち帰れるよ」
アイを思いっきり抱きしめる。
帰れるとなったら離れてしまうだろうか。
「え?帰れるの?」
「うん。今すぐではないけど、多分そのうちね。
いつ頃かはわからないけど。
日本への連絡だけなら、今すぐにでもできるよ」




