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ただいま転移暴走中  作者: ヨウ
第1章 異世界と地球
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第2話 パジャマ少女

「いや、来ないで!」


囲まれている先に女の子が見えた。

パジャマ姿の少女?のようだ。



僕も転移の間に行ったときは、Tシャツに短パンだったけど。

動きが鈍いのは、靴を履いていないのかもしれない。

僕も元々靴は履いてなかったし。


しかもパジャマ少女が着ているのは、ネグリジェと言われる系統のものだろう。

これは男が狼になるのは仕方がない。


盗賊達はそれじゃなくても見境がなさそうだが。



「そんな場合じゃないか。盗賊に範囲睡眠。眠れ」



盗賊がバタバタと倒れていく。

見えている範囲の盗賊はみんな倒れたようだ。

松明が消えるかと思ったら、意外と火は消えないようだ。

むしろ、周りの草に燃え広がっている気がする。

見なかったことにする。



(アイゼン、近くの盗賊は全員眠ったか?)


(近くの盗賊は全員眠っています)


(アイゼン、この眠りはどれくらいもつもの?)


(通常は30分近く持ちます。

ですが火が回っていますので、今回は5分もすれば目を覚ますでしょう)



ゆっくりはしていられないか。


隠密を解き、パジャマ少女の前に姿を現す。



「大丈夫?盗賊達はこの眠りから数分で起きる。逃げるよ」


「え、あ、はい」


びっくりしたのか、座り込んでしまった。

怖い目にあって気が抜けたらそうなるのかもしれない。

僕をじっと見ている。

気を失わないだけましかもしれない。


「ウィンドブレーカーにGパン?あなたも地球の人?」


「うん。僕も転移の暴走とやらに巻き込まれた。東京に住んでいる日本人」


「うう、よかったです。私は京都に住んでました」



彼女は涙目になっていた。


「とりあえず数分で盗賊たちが起きちゃうから逃げるよ。しっかりつかまってね」


しゃがんでいる彼女を抱き上げる。

お姫様抱っこ。

やはり裸足のようだ。



「僕と彼女の重力を軽減。飛行」


持っている彼女の体がすぅっと軽くなった。

そして抱えたまま飛行。

木々にぶつからないようによけながら、森の上に上がる。


「ここがこの世界の空だよ。周りは森しか見えないけど、月は二つある」


抱かれたままの少女が周りを見渡す。


「本当に、異世界なんですね」


「みたいだね。まぁ空も飛べてるし」


「ふふ、そうですね」


彼女に笑顔が戻った。

少しは余裕が出てくれたようだ。

彼女は僕の首に手を回し、しっかりと落ちないようにつかんでくる。



(アイゼン、休憩するのに向いている方向と場所を教えて)


(かしこまりました。視界で誘導します)



視界の中に、進む方向の矢印が現れた。

その方向に向かって飛行を続ける。



しばらく飛行を続けると、森が途切れ岩山地帯に突入した。

岩山の一部にマーカーが付いており、矢印もそこに向かっている。

どうやらアイゼンが選んだ休憩場所は近いようだ。


そこは岩山の一部が削れ、洞穴のようになっていた。

奥行きは5mもないが、休憩するには十分だった。


「地面の岩肌、平らになれ」


盗掘内の床面に足で立ちながら念じてみる。

岩がまるで磨いたような床になった。


「魔法って便利だね」


抱きかかえていた彼女を床に下ろした。

ここなら座っても痛くないだろう。



少し休憩していると、彼女は洞窟の奥のほうが気になるようだった。

僕には何もないのが見えているけれど、これは夜や暗闇の適応なのかもしれない。


「明るくなれ」


天井に明かりがつくイメージをしたら、光の玉が飛び出して天井にくっついた。


「奥にはないもないよ。これで見える?」


「ふふふ、ありがと。見えない暗闇っていうのは、何となく怖くなっちゃって」


「気が付かなくてごめんね。僕は普通に見えちゃってたから」


そう言って彼女のほうを振り返る。

明るい光の中で見る扇情的なネグリジェ姿。

目が離せない。

出るところは出ていて、引っ込むところは引っ込んでいる。

ネグリジェに合わせたのか、中に着ている下着もセクシー下着である。

これはなんていうか、ヤバイ。


そんなことを思っていると、彼女がすっと立ち上がった。



「えっと、ここで脱ぐ?」



・・・・・

え?ぬぐ?ここで?え?



「え?」


「えっと、助けてもらったけど私何も持ってないし。

この世界はああいうところみたいだから、また襲われるかもしれないし。

初めては自分で選びたいし、ね」



僕は立ち上がって彼女を抱きしめる。


「ものすごくうれしいし、とんでもなくうれしいし。

今すぐに抱きしめたい、というか抱きしめているというか。

もちろんこのまま抱きたいし、ものすごくうれしいんだけどね。

これ絶対つり橋効果だから、ね。

今は異世界に着て混乱しているだけだからね。

せめてもっと落ち着いてから、ね」



僕はどうやら、かなりてんぱっているようだ。

据え膳食わぬは男の恥。

でもね、さすがにこれはまずい。



「ふふふ。吊り橋効果なのはわかっていますよ。

喜んでもらえるのも、伝わってきました」



抱きしめていた彼女が少し離れようとしているのが伝わってきた。

残念だが、非常に残念だが手の力を緩めた。


彼女は体を少し離すと両手を首に回してきた。


「んっ」


そして突然目を閉じたかと思うと口づけをしてきた。

僕もそのまま再び手に力を入れて抱きしめる。



しばらくすると彼女の手の力が抜けた。

そして唇を放して一言。


「予約ね」


かわいらしいウインク付きだった。

やばい。

まじでやばい。


異世界サイコー。

いや、お互い日本人で異世界関係ない、なんていう話は聞かない。

異世界という状況だからこそだ。

もう一度言おう。

異世界サイコー。


「そういえば自己紹介がまだだったわね。

私は早乙女 愛。18歳。高校3年生。

花の女子高生よ。

アイって呼んでね」


アイちゃんか。

ネグリジェ姿だから実はもっと年上かもしれないと思ってた。


「僕は渡辺 優一。同じく18歳の高校3年生。

ユウイチって呼んで」


「ん。ユウくんだね」


「よろしくね、アイちゃん」


「んー。アイって呼んで」


「えーっと、アイちゃん?」


「ちゃんはいらないの、ア、イ」


「わかった。よろしくね、アイ。その代わり、アイも僕のことはユウって呼び捨てで」


「ん。ユウ。よろしく」


そして再び交わる唇。



「やばい、やっぱりこのまま抱きたくなってきた」


「下半身に圧力を感じてるわよ。やっぱりここで脱ごうか」


「いやいや、落ち着こう。吊り橋効果。せめて落ち着いてから」



落ち着け下半身。

そういっても無理なのはわかるけど落ち着け。


「ユウのユニークスキルでベッドとか作れないの?

さっきも床をこんなに平らに加工してたし、眠らせたり空を飛んだりいろんな魔法使えそうだけど。

私のユニークスキルは歌姫。

音を使った魔法とかでいろいろできそうだけど、まだよくわからなくて」



「ユニークスキル?」



なんか聞き覚えがある。

なんだっけ



(アイゼン、ユニークスキルって何?)


(特別な固有スキルです)


(アイゼン、スキルは能力とは違うの?)


(能力とはあらかじめ持っている力です。

例えば人間が地上を歩くことができるのは地上を歩く能力を持っているからです。

スキルとは後から手に入れた力です。

例えば人間が素晴らしい歌を歌うことができるのは、素晴らしい歌を歌うスキルを手に入れたからです)


なるほど。

なんとなくだけど理解した。


(アイゼン、僕の固有スキルは何?)


(開拓者です)


(アイゼン、開拓者って職業じゃないの?)


(職業、開拓者が使えるスキルが開拓者です。ユニークスキルとして取得されているため、通常の開拓者のスキルとは異なった特別なスキルとなっています)


つまり、アイの職業は歌姫で、歌姫が使えるスキルがスキルの歌姫、ユニークスキルだからそれが特別な形になっているスキルとして使えるということか。


(アイゼン、現在使用可能な僕のユニークスキル、開拓者のスキル一覧を表示)


(一覧を表示します)



1.都市の建設


以上



ふむ。つまり一つしか使用可能なスキルはないということか。

まぁ、開拓者だし、それもそうか。



「都市の建設」



スキル名を唱えると、視界が上空から見下ろす形式に変化した。



『この場所に都市を建設しますか?』



この視界の表示、見覚えがある。

異世界に来る前までやっていたゲーム。

まるでC〇V4のように見える。

確かに開拓者、というのもその通りだ。


ということはもしかすると。


(アイゼン、今の上空からの視界に資源表示をON)


(資源表示をONにしました)


予想通り、マスに資源が表示される。

見慣れた牛や豚のマーク、よくわからないマークもある。



「都市の建設をキャンセル」


視界が元の状態に戻った。

目の前にアイの驚いた顔が見える。

そういえば抱きしめたままだった。



(アイゼン、この近くのおすすめの都市建設地及びその方向を表示)


(視界にマーカー及び方向を表示します)



「アイ、ちょっとまた移動しよう。

僕のユニークスキルは、開拓者だった」

名前が平仮名だと読みづらかったため、カタカナ表記に変更しました。

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