魔王様とブロートの記憶ー1
さて、書きたかった魔王様との食事ですね。
まだ食べませんけど……
「魔王様、こんなみすぼらしい村に美味いキッサテンとやらがあるとは私は到底思えません。」
「ハハハッ!!俺も最初は疑ったさ!先代の魔王と一緒に来たときは驚いたもんだ!!」
黒いローブを来て、木々が生い茂る山道を歩く私と魔王様
私はルシフェル、魔王軍の兵士長だ。
そして私の横で満面の笑みで嬉々として歩いているのは十八代目魔王、サタン·ロルフェンス·アルデリヒ
今日の午後にサタン様は仕事中の私の部屋に来て
「ちょっと飯食いに行かね?」
と誘ってきた。
それが魔王様直々のお願いだったのでお供をせざる負えない。
魔王になる前から王城を抜け出す事が多く、魔王になったあとも仕事が嫌いだからとかで逃げだして、私やテュポーンに仕事を押し付ける。勘弁したいものだ。
だがこうして共に行動できたのは幸いだった。
私に仕事が押し付けられなくて済む
これは大きな利点だ。
ザマァ見ろテュポーン
エキドナなんかとリア充してるからこうなるんだよ!!
彼女欲しいな……
私はそんな下らない妄想やら怨念やらを頭に浮かべながら魔王様に黙ってついていくと、私の目の前にしょうもない手書きの雑な看板が立っていた。
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身分なんて関係ありません。魔王でも勇者でも市民でも村人でも、平等にお料理をお出しします。喫茶ブロートにぜひおこしください!!
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「魔王様……これは……?」
私は戸惑いの表情で看板を指して聞く。
「ほら!言ったとおりだろ?喫茶ブロート、これだよ!!」
「え…?え…?」
なんとも言えない看板を通りすぎて魔王様は先に行く。
私は看板をもう一度見て不安感を抱きながら魔王様の後をついていった。
◇◇◇
さてここは喫茶ブロート、メニューはあるにはあるんだがほとんど使わず、注文は基本的にリクエスト制
テルスさんはメニューをたまに使ってくれるんだけどな……。
んで今回の喫茶ブロートの仕組み、それは……
俺はステータスが見れる、というもの。
この世界ではステータスを見れるものは三人
俺はそれを見れる者が誰かなんて知らない。
興味もない。
この能力はかなり使える。
その人の体調、身体能力、スキル、職業、何種かなどが一瞬で把握できるのは便利だ。
だが俺は自重している。
なぜ自重をしているのか?そんなのは簡単だ
だってプライバシーなんてあったもんじゃないだろ?
このステータスを見れるスキルは自制がきく。
なので、その人のプライバシーを尊重するため少ししか使わない。
相手がスキルを使っているっぽい時。
食事を食べて頂いたあとにどのくらいステータスが、上昇しているか見たい時。
相手が来店した時に職業が分からず聞きにくく、それでも確認したいとき。
使う時はこの4つのシチュエーションに限る。
さて、今日は珍しくテルスさんが来ません。
一体どうしてしまったのでしょう……?
暇だなぁ……
新聞を読むことにしました。
………
………
………
暇だなぁ
ぐぅぅ〜〜………
お腹が空いたな〜〜
なんかあったか冷蔵庫に確認に行くと、その中にはこの前ロムんグランドの魚屋で購入した伝説の魚、アケルノボーニが入っていた。
ん〜どうしよっかな〜、これはお客さんに出したい気もするし……でも俺も食べたいし…
そうやって冷蔵庫の前で一人、クヨクヨと悩んでいると
チリンチリンチリン
店の扉の鈴がなり、お客さんが来たことを知らせる。
俺は急いで厨房から出て
「いらっしゃいませ、ようこそ喫茶ブロートに……ってロルフェンスさん!!」
俺は初めて来た客かと思い初回限定挨拶をしようとした直後、ローブを外した二人の男の片方を俺はよく知っていた。
……魔王だ
「久しいな店主!!!一年ぶりか!!相変わらずみすぼらしいな!!」
「みすぼらしいなんて言わないでくださいよー!なけなしの金で建てた念願の喫茶店なんですよ!………それでー…その方は?」
俺はロルフェンスさんの横にいる高身長のイケメンに目線を向ける。
「失礼…紹介が遅れました。魔王軍兵士長、ルシフェル·レブル·ベーゼです。以後お見知りおきを。」
「あ、ご丁寧にどうも……喫茶ブロート店主のラノシュ·バン·ディアブロート、ブロートと気軽に呼んでください!」
おっと初めて俺のフルネームを語ったな。
改めて俺はラノシュ·バン·ディアブロート
ディアブロートは人から貰い受けた名前だ。
その話はまた機会があったら
「それではロルフェンスさん、ルシフェルさん、席にお座りください。」
俺はカウンターの席まで誘導し、回り込んで机の反対側で二人の注文を受ける。
「どんなのが食べたいですかね?メニューはありますけど、リクエストも受け付けていますよ?」
「よし、それじゃあ俺は上手くて魚の肉を頼むよ」
「はい!ロルフェンスさんは…アケルノボーニの刺し身で行きますか」
「…何!?アケルノボーニだと!?」
そう言って大きな声をあげて驚いていたのは物静かな雰囲気だったルシフェルさんだった。
「あ…アケルノボーニが食えるのか!?」
おおう……凄い執念
感想等、お待ちしております!!