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ど田舎チート喫茶物語  作者: きびガンゴ
7/8

通行人Bと喫茶ブロート(後編)

駆け足になってしまっていますが、通行人編おしまいです。

これからもチート喫茶物語をよろしくお願いします。

俺が通行人Bを探しにアンデスクライドに向かっていた時、魚の入った箱を持った20代くらいの変な兄ちゃんに会った。

見た目はどう見ても一般人……それなのにモンスターで溢れかえっているアンデスクライドまで共に行くらしい。


自分の事も安全かどうか分からない、そんな状況で一緒にいるのがただの一般人。こんなに頼りないことは無い。


だから聞いた。戦えるのか?と


だが奴はサムズアップして戦えると言い残し、魚をしまってくると田舎に駆けていった。


こんな……ど田舎に住んでいるのか……?


とりあえず言われた通りにアンデスクライドに繋がる一本道をゆっくり歩いていた。




数分後に後ろからとんでもないスピードで兄ちゃんが追いついてきた事に少し驚いたが、表の世界を知らない俺は戦える人は皆こんなもんだと無理矢理納得した。


「すいませんお待たせしました!さてアンデスクライドに向かいましょう!!」

「今向かってるんだよ…」

この道がそうなんだよと呆れながら言うと兄ちゃんがとんでもない発言をした。


「いえ、背中に乗って下さい。運びますんで!!」

は?全く訳が分からない。


「そ…それはおぶって行くと言うのか?」

恐る恐る聞いてみる。

「そりゃそうでしょう。運んでいくってことはそういうことですよ。………ささ、乗って下さい!!」


突然体を掴んでひょいと背中に乗せられた。


「お…重くないのか!?」

「いえ、全く?」

な…なにもんだ……?こいつ。







呆気に取られていた俺を担いで、凄いスピードを出して走っていったとんでもない兄ちゃんのお陰であっという間にアンデスクライドの門に着いた。


「ここから先は化物だらけです。大丈夫ですか?」

兄ちゃんは真剣な目になり真っ直ぐ俺を捉えて質問してくる。

「…大丈夫…だ。」


門の前で既に化物の鳴き声や呻き声がめちゃめちゃ聞こえるので、かなり震えている。

だが通行人Bの為……頑張って踏み込むとするか。


「……行きましょう」


「ちょ……ちょっと待ってくれ、なんで………そんな大きな袋を持っているんだ?」


大きな麻袋を取り出し、少し笑みを浮かべながら門に踏み込もうとする彼の姿にデジャヴを覚える。

………あれだ、市場で大安売りが始まった時にキラリと輝く物色ハンター(おばちゃん)の目だ…。



「いやぁ、ここは食材の宝庫ですよ!特売みたいなもんです!それじゃあ先に行ってきます!」


訳が分からない事を言ってアンデスクライドに入って行ってしまった兄ちゃん。

俺も慌てて兄ちゃんを追いかけていく。




その先では信じられない光景を見た。


「ンギャー!」

かの厄介な魔物、キングガーゴイルやワイバーンが次々に空から叩き落とされていく謎の光景。


何となくだがそれを行っている人物は見当がつく。


近くで叩き落とされたキングガーゴイルの現場に向かうと嬉々としてキングガーゴイルの部位をどこから取り出したのか短剣で剥ぎ取る……案の定、兄ちゃんの姿があった。

なるほどその為の麻袋か……。



「いやぁ!!これは上物だ!筋肉がギュッとしていてジューシーな感じがする!!流石は魔王軍!…………おお!!このワイバーンの頭肉は高級食材っぽいなー!!……あっ!店主さんだったら調味料の店やってるし分かるかな……あの!!このワイバーンの頭肉って高級食材ですか?」


子供のようなキラキラとした瞳で大きさ1mのワイバーンの頭を掲げて俺を呼ぶ兄ちゃんに呆気に取られながら兄ちゃんに向かって歩いていく。


流石の世間知らずの俺にも分かるくらいに強い……化物だ。


「いやいや、それよりも……いや今言った所で全く意味のない不毛な会話になるだけだな。…………アンタ、そいつは高級も高級、超高級の頭肉だよ。」

それよりもなんだ?それをする理由は?と聞きたいところではあったが、まともな問答になる気がしなかったので話すのを断念し、頭肉の価値について話していく。


「ちなみにそいつはな、ジュワっと焼いてステーキにして、胡椒をかけるとビックリするくらい美味い。」


こんな魔物だらけの所でこんなに緊張感が無い話をしている自分がどうかしてると思うよ。


「おおっ!!それは良かった!………後はどんなステータスになるか、だな。」

「ん?ステータス?なんの話だ?」

「ああ、いえいえ!こちらの話です!」

「そうか……てっきりステータスが見えるのかと思った。……流石にこの世に三人しかいない力の持ち主がアンタなわけ無いか、ハハハ。いや変な事を聞いた」


もしこんな強い人にステータスが見えるスキルがあるんだったらそれはもう本当の化物の完成だろう。



そんなこんなで緊張感の全く無いモンスターだらけのアンデスクライドを歩きながら、肝心の通行人Bを探していると


「あっ!あそこで人が襲われていますよ?」

兄ちゃんが指差した方向を見ると、そこにはオーガに襲われている……通行人B!?


「早く助けてやってくれ!!彼が通行人Bだ!!」

取り乱して兄ちゃんの肩を掴んで揺さぶり、叫ぶ。


「わ…分かりました!分かりましたって!……落ち着いてください……それじゃあ助けてきますよ。」

「あ…ああ、悪い。……頼むよ」



彼が走っていく背をそわそわしながら見送る。


相手は大きさ17メートルの凶暴な魔物、オーガ。

人を喰らい、魔獣すらも喰らう正真正銘の化物。

土地一つを吹き飛ばせるほどの力を持つ。

市民は皆、オーガに襲われた街はもう助からないとまで言っている。

その魔物に兄ちゃんが勝てるか不安だった。


先程上手くいったのは相手が飛行していたからかもしれない。

力ではなく、何かで撃ち落としたのかもしれない。

そんな考えが頭を巡り、どうにも信頼しきれなかった。

いざとなったら共に死ぬくらいで待たねばならない……。

覚悟を決めたその時だった。


兄ちゃんが拳でオーガを殴る瞬間が目に映る。すると……

ドスンッ


大きな地響きがした。

それはオーガが倒れた事を分からせる音だった。

まさかのワンパン



倒れてから一分ほど経った後、俺の目の前には通行人Bを担いだ兄ちゃんが走ってきた。


「は…離してくれませんか?」

通行人Bは苦笑いで言う。

「い…いや、すいません降ろしますね」

アハハ……と苦笑いをする兄ちゃんは丁寧にBを降ろす。


「本当に感謝するよアンタには。……聞いているかい?調味料を全部渡すって話」


「あ…はい!お友達さんから聞いてますよ!遠慮なく頂きますね」

満面の笑みで言われ、俺も少しいい気になるな。


兄ちゃんがホクホク顔で帰ろうと踵を返すと、突然通行人Bが兄ちゃんに声をかける。


「もし違ったらごめんなさい……喫茶ブロートの店主さんですか?」

「えーと…あっ!!もしかして貴方はヨルハさんですか!?あのフェンリル定食を頼んだ?」

「はい!そのとおりです!あの後、僕の足がものすごく速くなって…勇者に向いているんじゃないかと思って来たんですけど……」

「そ…そ…その時だけ調子が良かったんじゃないですか?」

明らかに震えた声で兄ちゃん改めブロートさんが言うと

「なんでオチが分かったんですか!?その通りで僕が速かったのはその時だけだったんですよ!!」


俺を置いて二人で話が進んでゆく。



話続けて20分、ブロートさんはそろそろ帰ると言って生肉が沢山入って血生臭い麻袋を肩に担いで走って帰っていった。


帰る直前にきっと帰り道辛いでしょう、と言って揚げ物が挟まったボリュームたっぷりのサンドイッチをどこからともなく取り出して渡してくれた。




そのサンドイッチを食べた二人は帰り道、足がめちゃくちゃに早くなっていたのはまた別の話

それとそれが原因でまた通行人Bが勇者を目指すのも別の話


二人がまた通行人を始めたのも別の話。









通行人Bと喫茶ブロート編のメニュー

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テルスさんが食べたもの


コカトリスの唐揚げ

力+9999999

抜刀+121212121

美容+999999999

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魚屋さんのオススメ


アケルノボーニの刺し身


美味い+999999


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通行人Bが食べたもの


フェンリル定食(フェンリルの唐揚げ、パン、野菜たっぷりコンソメスープ)


総合ステータス


走力+9999999

力+111111

素早さ+8888888

体力+888888

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感想、訂正等、お待ちしております。

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