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ど田舎チート喫茶物語  作者: きびガンゴ
6/8

通行人Bと喫茶ブロート(中編)

もしかしたら後編で終わらない可能性があります。

見切りでやるからこうなる……。

「おうおう!!そこの兄ちゃん!ちょっとうちを見てってくれよ!」

俺が市場をブラブラと物色していると魚屋のおっちゃんから声をかけられた。

「はい!是非見せてください!」

最近、魚が無くなって来ているしな。色々買っていくか。

「お?いいね兄ちゃん!そうだな……こいつはどうだい?」

おっちゃんは横にある魚を指した


「どっかで見たことあるような……」

「こいつな………アケルノボーニ…なんだよ…。」


「な…なんだって…!!」


アケルノボーニ、それは海の中でも滅多に取れない高級魚

サイズは40センチほど

色はまさかのベージュ色

見つからなさ過ぎて名付けられた名前は、不可視丿魚インビジブルフィッシュ


カッコイイね



身には脂がのり、さらにプリプリ

なので刺し身に人気がある。


だからと言って焼いたら不味いわけではない。

これもまた絶品なのだ。


焼くと身が引き締まり、一口食べるとホロッと溶けて、まるで最高級ステーキを食べているような感覚になる。

俺はどっちかって言うと焼いたほうが好みだ。


「これは……おいくら?」

恐る恐る値段を聞いてみる。

「今日は俺の気分がいいから値引きしてやるよ……」

「おいくらぐらい引かれんですか?」

「実際3万ゴールドのところを……」

「ところを?」

「一万五千ゴールドだ!」

「買ったぁ!!」

「毎度あり!!」

即決である。

なぜ?そりゃ一万五千ゴールドも安くされたんだ。買うっきゃないでしょ?


「いいねぇー、そうやってパッと決めれる男は好きだよ!!こいつも持ってきな!」

おっちゃんはスチロール製の箱に魚を一匹プレゼントしてくれた。

「ありがとうございます!また来ますね!」


いやぁ〜いい人だったな。

俺もあんな感じになれればお店に遠方の人も来てくれるかな?






さあさあやってまいりましたよ、調味料を特売にしている屋台に。


「すいませーん、誰かいらっしゃらないですか?」

屋台の様な形をしたそのお店には店員が見当たらない。

なんとなしに二回呼んでもやっぱりこない。


「この店主は今居ないんだよ。」

「!!……えっとなんででしょうか?」

知らない人に後ろからいきなり話しかけられた驚きを隠せず一度離れるも、すぐに気を改めて話しかけてきた人に向きなおり、居ない理由を聞いてみた。


「その理由は俺の古くからの友人に関係しているんだ。」


なんか深そうな話しになってきたな……


「今、俺の友人はアンデスクライドに向かってる。」

「アンデスクライドって魔王に攻め込まれた街ですよね!?」

商人が言っていた。

たくさんの魔物や魔獣が流れこんでアンデスクライドは終わった、と


「ああ、だから行くらしい。」

は?

「あなたの友人は勇者さんなんですか?」

滅びかけた……だから行くって事は魔物がいるから、って事になる。

てことは勇者だから国を救いに行くとかなんとかって理由になるだろう

「いや、違う……それを目指す冒険者だ。」

はぁ…冒険者か…。勇敢と言うべきか無謀と言うべきか……。


……俺も最初は勇者にあこがれて冒険者だった頃もあったな…。

懐かしくも鬱陶しい思い出だな。


「それで…店主が居ない理由とその冒険者になんの関係があるんですか?」


店主が居ない理由……話の核心を聞いてみると、後ろから話しかけてきた人は真剣な顔つきになった

「アンタは何もんだ?」

「えっと…どうしてですか?」

「アンタが戦える人ならば……二人を連れ戻して欲しい」

「いやいやもし戦えるのだとしても、僕にそれをやる理由がありませんよ!」

いきなり知らない人に頼まれて、はいやりますとも言えない。

それが罠かもしれないからだ。

もし相手が本気で困っているならやってあげたいのは山々なのだがいかんせん過去に騙された事があるので安易に信用はできない。


「もし引き受けてくれて無事二人を連れ戻してくれたら………この店の調味料を全て渡そう。」 

「はいやります」

安易に信用できる。なぜなら調味料をくれるから。


「それじゃ事の次第を話そう」


昨日、その友人は冒険者になると言ったそうだ。

それから向かう先を聞いたところ、アンデスクライドに向かう、と言ったそうだ。

男は危険なところと知っていながらも、友人に行かないでくれとも言える空気ではなく、止めれなかったそうだ。 

その事実を知った友人の友人、調味料店の主は店を放り投げて連れ帰りに行ってしまったそうだ。


これが事の次第らしい


ここからアンデスクライドまで走って10分くらいか…

さてと行くとしよう。

「それでは連れ帰りに行ってきますね」

「ああ、私の友人を任せたよ」

「はい、調味料のためならば!」

そう言って走り出す



「………あの人、走るの速すぎやしないか?」






走り始めてから五分、俺の店が構えてある山と山の間に位置する小さな村エウフウルロンの近くを走っていると村では見たことない明らかに市民と分かる地味で暖かそうな服装をした男性を見つけた。


…もしかしたら調味料屋さんの店主かな?


俺の勘がそう言っているので、近づいて話かけてみた。


「すいません……えっとー」

と言ってもどう話しかければ良いのか分からず言葉につまる。

「ん?どうした?」

その市民さんは俺に聞き直す




仕方ない、ステータスチェックはマナーとしてする訳にはいかないし……直球に聞いてみるか

「もしかして調味料屋さんとかやってます?」

違ったらマジで恥ずかしいけどな。



「ああ、やっているよ…もしかして私の代わりに彼を…通行人Bを連れ戻してくれるのか?」

はあ…合ってて良かった……って

…は?通行人B?


「いや…僕は冒険者の方を連れ戻しに行く予定でして…、通行人Bにはまったく用はないです」


すると店主は取り乱して

「違うんだ!その通行人Bは私の元同業者であり………親友なんだ!そして何を思ったのか冒険者になりたがり、勇者になりたくなったとか言ってアンデスクライドに向かいやがった!連れ戻してくれ!」


大方聞いた話と同じか。

でも……勇者になりたがるのはおすすめできないな。


「思いは伝わりましたから落ち着いてください!連れ戻しに行きましょう………ですがその通行人Bの方が分からないのでついてきてもらいたいのですが良いでしょうか?」


「ああ、構わないさ。………ところで失礼を承知で質問させてほしい。アンタは…………戦えるのか?」

店主さんは俺の身だしなみをジロジロみる。


現在の俺の姿

ジーパン

コート

左肩に魚の入った箱を担いでいる


うん見た目は戦闘なんて出来そうにないただの村人だね。



どうせ村の近くだし、一度喫茶店に戻って魚を置いてくるか。


「……すいません、この道をまっすぐ歩いていてください。僕は一度魚を置いてきます。すぐに追いつきますので!」

それと、と俺は付け加える


「腕には自信がありますので安心してください」


店主にサムズアップしてから踵を返して店に戻った。

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