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ど田舎チート喫茶物語  作者: きびガンゴ
5/8

通行人Bと喫茶ブロート(前編)

今回は前編、中編、後編を予定しております

この食堂はメニューが無い。

といっても一応あるにはあるのだが、ほとんど使っていない。

いつしかこの店は基本的にお客さんからのリクエストにお答えする形になっていた。

だから、この食堂にはメニューが無い。



AM8:30

今日もまたテルスさんが来店した。

「ブロートさん!今日はガッツリ食べれてあっさりしたものが食べたいな!」

あっさりとガッツリか…。

ん〜〜?

お!?いいのがあるな。

「はい!少しお待ちください!すぐに出来上がりますので!」

俺はすぐに冷蔵庫に行き、コカトリスのもも肉を取り出す。

コカトリスの肉は普通の鶏肉よりも歯ごたえがあり、食べていて満腹感が得られる上に、タンパク質が豊富なので筋トレをする人や女性に人気の高い食材である。


それを包丁で小分けにして、4つを一本の串で刺す。

よし、大体5本くらい作ればいいか


それを金網の上に置いて強火でひっくり返しながら焼いていく。


……よしこんくらいで良いかな。

あとは塩とレモン汁と胡椒をかけて……完成!


コカトリスの焼き鳥、レモン塩味!!

これならガッツリと食えてあっさりとしてるだろ?


小皿にフォーク、少量の千キャベツと五本の焼き鳥、ついでにパンをサービスしとくか

「お待たせしました、コカトリスの焼き鳥、レモン汁味、それとサービスでパンのセットもご用意いたしました。食べられなければ残しといてもらって大丈夫ですので。……それではごゆっくり」


俺はうやうやしく頭を下げてその場から立ち去る。

そしていつも通りカウンターで椅子に座って新聞を開く。



おいおい……まじか!?

ロムンクランドの調味料が全品半額バーゲンセールだって!?

行くしかない


「こりゃあ美味い!!美味すぎる!!口にいれた瞬間レモンのさっぱりとした風味が来たと思えば、塩味の効いたコカトリスの肉が口の中でドカン!!と弾けるような旨味を炸裂させるな…。これは素晴らしい!」


ん〜喜んでもらえるのは嬉しいんだけど、今は早く店を閉まっちゃいたい。

まだかな?まだかな?



「ガッツリ食えてあっさりとしている、それでいて満腹感があり何よりも美味い!…ブロートさん!お会計を」

食べ終えたテルスさんは満足そうな顔をしてレジの前で俺を呼ぶ。


「はい、コカトリスの串焼きオーダーで200ゴールドになりますね!」

「な…200ゴールドだと……?」

あれ?ぼったくりなのかな?コカトリスの相場を知らないから値段とか分からないんだけど……クソッもう少し安くてもよかったかな?


「安い!安すぎるぞ!やっぱりこの店はおかしいな!!ハハハ!」

高笑いをしながら安いと叫ぶテルスさん。

ホッ…どうやら安かったみたいだな。


テルスさんは満足気に200ゴールドを払い店から出ていった。



さて……店に客は来ないし、支度して行くとするか。


俺は手提げ袋と銭袋を持って、コートを着て外に出た。

口からは白い息が出るほどに冷えており、寒さ嫌いな俺には天敵である冬が到来していた。

openをcloseに変えて俺はロムンクランドに向かって足をすすめる。


ここから山を一つ超えたらすぐにロムンクランドなので時間は約30分

だが俺にかかれば走って五分でつく。



久しぶりの買い出しでテンションが上がっていた俺はロムンクランドに走ってむかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「なあそこの人、ここで何があった?」

勇者が僕に聞いてくる

その言葉に受け答えを何度したことか…

「あ…ああ、勇者さま。ここの地にはとんでもない魔獣が住んでおりまして、その恐ろしい魔獣に荒らされました。」

そうか……と言って過ぎ去っていく彼の背中を見て、僕は同じ道をグルグル回る。


その通路を歩み続けて、質問に受け答えして、何年目になるのだろう……?



僕は通行人B、道行く勇者に話をして情報を与えるという一般人だ。


通行人Aは適当な情報を言い、通行人Bは詳しい情報を言う、それは先代通行人から代々伝わる暗黙のルールだった。


そして通行人の仕事時間を終える今日、僕は一つある決心をしていた。



帰路の途中、もう一人の通行人の通行人Aを裏路地に呼んだ。

「どうしたんだ?通行人B、俺と話がしたいってよ?」

「あ…ああ、通行人A。……実は……」

そのあとの言葉に詰まった。

十年前からずっと一緒に通行人をしてきた通行人Aを僕は裏切ることになるのだ。

僕が通行人Bになってから十年……一生Aと一緒に通行人をすると近いあった十年前……


胸が苦しい

言う前に何度もイメージトレーニングはした。

それでも、いざ目の前だと苦しいのだ。


だけど……今言うと決心した。


「僕は……通行人を辞めて、冒険者になる。」

通行人になって色んな人に話をして、それで俺は世界に興味を持ってしまった。

通行人なんかで収まっているよりも、そこから飛び出して色んな世界を渡り歩きたい。そう思ってしまったんだ。

「お…おい待てよ、冗談だよな?ハハ!嘘が上手くなったな!昔はーー」

「冗談なんかじゃない、僕はなりたいんだ。冒険者に」

「おいおい……真剣…なのか?」

「ああ」


すると通行人Aの顔はやがて悲しげなものとなる。

「そうか……本当にお前がそう決めてるんなら、なってくれよ冒険者に」

「怒らないのか?」

裏切ってるんだぞ?と言って通行人Aの顔を伺う。

「怒らないさ、確かに昔の誓いを裏切った……でもそれは口約束でしかないからな。そんなものに縛られるほど俺は青臭くはないさ。」

「ありがとう」

思わずお礼をこぼしその場から立ち去ろう立ち上がった直後、通行人Aが声をかけた。

「いつ……行くんだ?」

「明日には出ていくつもりだ」

「そうか……頑張れよ」


その一言がなんだか照れくさくて、何も返さず俺は自分の家に戻った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私、ブロートはロムンクランドに到着!

いや〜市場に活気があるね!素晴らしい!

これは買い物日和だよ〜!!

さあて市場に繰り出そう!!

感想等、お待ちしております。

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