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ど田舎チート喫茶物語  作者: きびガンゴ
3/8

商人のおっちゃん、喫茶ブロードへ行く(後編)

商人のおっちゃん編終わりです。

「お待たせしました。こちら[竜王の目玉の漬物]になります」

お待たせしました、と言ってもニ、三分程度。

竜王の目玉……竜王を討伐した際に目玉をくり抜き、手に入れたもの


大きさはバスケットボールくらいのサイズ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

作り方:

まずは少し薄めに輪切りにして中身を(食べるときに邪魔な物質)取り出します。

それを酢と昆布だしを合わせた液体が入った大きなツボに入れます。

約一週間ねかせます。

完成:竜王の目玉の漬物です。

食感はコリコリ、噛めば噛むほど旨味が広がっていきます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ちなみにだが酢を入れる理由を説明しとこう。

目玉をそのまま食べようものなら竜王に宿る大量の魔力を摂取してしまうことになり、魔力が暴走……そのまま死に至ることが多い。

そこでコイツ、酢の登場だ。

酢は魔力に3日間触れ続けると打ち消し合って魔力を消滅させる事が出来る。

そして少し酢の風味を残せるというおまけ付


とまあ説明が長くなってしまったがそんな感じで竜王の目玉の漬物を作る。




3つの輪切りにされた竜王の目玉が乗せてある皿をドヤ顔で商人のおっちゃんの席の机に置く。

「こ…これが…?竜王の目玉…?……スキル発動 [鑑定リアライズ]」

何か疑いが晴れないような顔でその皿を凝視する商人のおっちゃん。

ステータスを見る限り鑑定スキルを所持しているな。

今はそれを発動させているのだろう。

鑑定スキルとは、鑑定対象となる物の名前がその対象の上に表示されるスキル。

商人は絶対に持っておきたいスキルだな。



「あ…あ…、あ……信じられん!!ほ、本当に竜王の目玉を出してきおった…!!お、お主何者だ!?」



「ただのしがない喫茶店の店主でございます。それではごゆっくり」

そう言って俺はその席から立ち去った。





商人side


信じられん

フラッと立ち寄った喫茶店は50ゴールドで竜王の目玉を出す所だった。

ワシが生きてきた56年、そんな店は一つも無かった。

まず竜王の目玉を出す店が無い。

高級すぎるからだ

世界中を周った私が知っている中でも、出す店はほんの3件

相場は400万ゴールドで一切れ。

だからありえんのだ、この店は。一体店主は何者なのか?聞こうとしたが誤魔化された。


まあ今は腹が減っているし、そっちを優先しよう。


「パク……モグモグ……!?…う、美味い!!なんだこの美味さは!?」

口に入れた瞬間…昆布だしの旨味と程よく酸味が効く酢の風味、そして高級食材特有のまろやかさが口いっぱいに広がり食欲を掻き立てる。

まだこれだけで50ゴールド、他の料理も頼んでみよう


「店主ー!これと…これを頼む!!」



それからワシはサーペントフライとシンプルなコッペパンを2つ頼んだ。








「ふぅ……美味かった。」

竜王の目玉とサーペントフライをおかずにしてコッペパンをあっという間に食べ切り、最高の食事の余韻に浸っている、


まさか人生でこんな高級食材を食せるとはな……。


元気も出たし腹も満たされた。そろそろ次の街へ出発するか


「店主、お会計!」

そう呼ぶと店主は厨房から顔を出し、

「あ、もうお帰りですか?」

「ああ、腹も膨れたしそろそろ出発しなければと思ってな。」

「そうですか、ならこれを持って行ってください。」

店主がワシに手渡したのは銀紙で包まれている何か

「それはおにぎりです。具は食べてからのお楽しみですね、腹が減ったら是非食べてください。」

店主はニコッと笑った。

「それでは…お会計合計400ゴールドになります」

内訳

サーペントフライ300→ゴールド

竜王の目玉の漬物→50ゴールド

コッペパン→25ゴールド×2

計400ゴールド

と多分こんな感じだろう。


財布から400ゴールド出し支払うとその店から出た。



ワシは大きく深呼吸をして歩きだす。


村を横切って、さっき下ってきた所とは逆の山を下ると次の国、アンデスクライドだ。

さあ急ごう、そう思って村に立ち入った時だった。


空には見たことのある最悪の面影、キングガーゴイルが飛んできていた。

こんなのどかな村が襲われるなんて……。


ワシは何もしないという辛い気持ちを抑えて物陰に隠れた。



「おい!皆!あの野郎が攻めてきやがった!!」

一人の村人が叫ぶ。すると村人の子供と思われるちいさな勇者3人はキングガーゴイルの前に立ちふさがった


なんて…世界は残酷なんだ。ほんの興味本位で飛び出した子供、それをきっとキングガーゴイルは無情にも溶かして殺すだろう


「やい!!ボクがあいてだ!!おとうさんの田んぼをあらしたつみはおもいぞ!」

「す、すごいねまっくん!よく[そんなつみがおもい]なんてことばしってるね!!」

「まっくんかっこいいだー、きんぐがーごいるなんてまっくんがやっつけちゃえー」


ああ!!なんで私は戦えないんだ!!彼らを救いたいのに、自らの命が惜しくて惜しくて戦えない。




こんな時ではあるが、改めてキングガーゴイルの説明をさせてほしい。

キングガーゴイルは体長3〜4メートルと少し大きい。四肢は未発達で攻撃はすべて口から吐く酸でする。

ガーゴイルの特徴は酸性雨程度の酸しか出せない。それに対し、キングガーゴイルともなると家を溶かせるレベルの酸を出す。

よく村にやってきては田んぼや家々を溶かすいたずらをするという。いたずらというレベルではないがな……



ガーゴイルとの違いは大きさと酸の強さ。

キングだからと言って一体というわけではない、何匹もいる。


ガーゴイルは[襲われると厄介な(強いとは言ってない)モンスターランキング]の20位以内に入っている、と予想する。


「ぼ、僕のおとうさんの(田んぼの)うらみ!!」

「まっくん!!その石できんぐがーごいるを倒すんだね!!」

「まっくんかっこいいだー、きっときんぐがーごいるなんてわんぱんだー」


リーダーと思わしき少年は石を持った。


そんなもので倒せる訳がない……

目の前で死にゆく少年に冥福を祈る…そう思っていた、


「エイッ!!!」

少年が目を瞑って投げた石は……まるで弾丸のようなスピードでキングガーゴイルの頭を撃ち抜いた。


へ………?

口がポカーンと開く



「やったぜ!!おとうさんの田んぼのかたきはとったぜ!!」

「すごいよ!まっくん!かたき、なんて難しいことばも知ってるんだもん!!」

「んだら、オラたちも投げてたおすだ!!」

「「「エイっ!!」」」


三人の少年は同時に石を投げると、それは先程と同じく弾丸の様に飛んでいき……残っていたキングガーゴイルを駆逐した。


ちょ…超人……なんて腕力してるんだ……


呆けてそんな光景を眺めていると、頭に何かビジョンのようなものが浮かんでくる。


その光景は、奇襲してきたキングガーゴイルの群れによって村の家が溶かされていく光景。その後キングガーゴイルは倒されるが家を立て直す労力が大変になっていた。


そんな光景…



多分一分後、見えたものが実際に起きてしまう。そんな確信があった。

そう思った瞬間ワシは叫んだ

「少年達!!後ろからキングガーゴイルの群れがやってくる。その為に石をたくさん持って投げる準備をしてくれないか!?」


「「「わ、分かったよ(だ)!!」」」

戸惑いながらもそう言った少年達はせっせと石を集め始めた。



集めた石は50秒で15個、十分だろう。


……来よった!


「「「「「ンギュアーー!!」」」」」


5匹のキングガーゴイルが村の南側から現れた。

「今だ!少年達!!」

ワシが少年達に支持を出すと

「おらぁ!!」

「いけえー!」

「うがー!」

純粋な少年達はまっすぐにキングガーゴイルを狙い、石を投げた。

新しく加わった少年二人も投げた石は弾丸のスピードで、その石はキングガーゴイルの頭をことごとくかち割っていく。


気づけばもうキングガーゴイルはいなかった。

勇者がパーティー組んでやっと余裕で倒せる相手を少年達は三人で討伐した。


「やっぱりブロードさんの料理は最強だ!!」

「まっくんがブロードさんからサンドイッチを貰って来てくれていたからだよ!!」

「そういえばおじさんが言ってくれなかったらオラたちの村はやばかっだ。おじさんありがとう……あれ?」


ワシは楽しげに語り合っている三人に背を向け次の国に向かって北に歩きだした。



ちなみに後日談なのだが、未来が見えたあの状態は二度と起こることは無かった。それにあの少年達がどうしてあんな化物じみた力を持っていたのかも謎だった。






本日の料理  効果は全て一日限定

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商人のおっちゃん


竜王の目玉の漬物

効能:[未来視(変更可能)] [判断力]  

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子供達が食べたもの


ハムレタスサンドイッチ

効能:[腕力+999999999] [自動回復]

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テルスさんが食べたもの


キングガーゴイルのモモ肉ステーキ

効能:[走力+999999999] [体内消化強化] [体内酸生成]

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商人のおっちゃんが貰ったもの(食べてない)


おにぎり

効能:[知恵+1290]

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感想等お待ちしております!

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