コーヒーとサーペントフライの日常
食堂系のものを書きたくなったので書きました。
楽しんでくれると幸いです
現在午前7:00
ここはど田舎に唯一ある喫茶店、喫茶ブロートの開店時間になり[close]と書かれた札を裏返して[open]にする
チリンチリン
店の扉に掛かっている鈴が鳴る。
その音に気づき、厨房から出てカウンターから顔を覗かせ俺は来てくれたお客さんに挨拶をする。
「いらっしゃいませテルスさん、注文が決まりましたらお呼び下さい」
そう言いながら俺は机に水とお手拭きを置く。
「おう!今日も来たぞ!ブロートさん、今日はこのサーペントフライってやつとコーヒーを頼むよ」
水を飲み干しお手拭きでちゃんと手を丁寧に拭いている。
テルスさんはこの店がオープンしてからずっと通ってくれている四十代くらいの常連さん。
「かしこまりました〜!すぐに用意いたしますね」
俺はそう言って厨房に戻りさっそく調理を始める。
俺はまず店の奥にある冷蔵庫からサーペントの切り身を出して厨房に持ってくる。
身を捌く前に鍋に油を入れて火をかけてすぐに揚げれる状態を作る。
サーペントの切り身をまな板の上に置き、一口サイズに包丁で捌くと衣をつけて鍋に放り込みジュワジュワと上げていく。
サーペントの身は熱を通しすぎると味が落ちていくので俺は二分くらいで鍋から出して箸で少し触りカリカリに上がっていることを確認すると皿に盛り付け、横に少量のキャベツとトマト2個を添える。
サーペントフライ完成、次はコーヒーだ。
俺は予め焙煎して置いたミディアムローストと呼ばれる苦味が弱いのが特徴のコーヒーの作り方をしていく。
苦味が弱いのをチョイスしたのは俺のちょっとしたこだわりで、揚げ物につけるコーヒーは苦いとフライが不味く感じてしまうからである。
豆を中細挽きになるように引くとペーパードリップと呼ばれる簡単に美味しいコーヒーが作れる器具に入れお湯を注ぐとゆっくりとペーパードリップの下に置いたコップに注がれていく。
コップにコーヒーが半分くらい貯まるとコップを皿に乗せてから、サーペントフライの乗った皿とコーヒーをお盆に乗せ、テルスさんの元に運ぶ。
「お待たせしました、コーヒーとサーペントフライでございます。ごゆっくりお楽しみください。」
俺はテルスさんに一礼する
「ああ、そうさせてもらうよ」
テルスさんは笑顔を俺に向けそう言ってくれた。
俺は厨房に戻り適当に仕込みを終わらせるとカウンターに座りのんびりコーヒーを飲みながら新聞を読む。
なるほどなるほど、王都の勇者は魔王軍に敗北、期待を裏切り市民から罵倒……か
あ〜ひどいひどい、最近はこんなニュースしかないのか。
嫌だな〜
ふう…
しばらくゆっくりとした時間が過ぎていく。
少しウトウトしてきて寝ようとする
が平穏は突然に壊される。
誰かが店のドアを蹴り破り吹き飛んでテルスさんの机へと当たる。
あーあ…コーヒーこぼれちゃてテルスさん怒ってるよ〜?どうするの?これ止められないよ?
「あの、いったいなんの御用でしょうか?」
そんなに危なそうなトゲトゲしたハンマーを持ってどうするつもりなんだよ………こっちに向けないで!!危ない危ない!!
「お前は舐めてんのか?まあいい金をよこせ、有り金全部この袋に詰めたらお前らを肉塊にしないからよ」
どうやら強盗らしいな。
てか……テルスさんはこっち見て首をコキコキ鳴らしてるけど…それは強盗さん、殺られるやつじゃない?
「いやそれはさすがにできません。有り金を渡すなんて…そんな…」
俺はビビりながらそう答えると
「払わないのか…?ならそこのお客様を肉塊にしてやる……よっ!!」
強盗の男はトゲトゲハンマーをテルスさんに振り下ろす。
ヤバイヤバイヤバイ死んじゃう!!
パシッ…ドガドガドガドガドガ
強盗さんがね
テルスさんはトゲトゲハンマーを見ずに素手で掴み有無を言わさずボコボコにしていく。
テルスさん強すぎるだろ……いや俺の料理がおかしすぎるのか。
俺が作った料理を食べた人はどうゆうわけかチート級のスキルが付与される、まあ詳しい話はまた今度。
現在テルスさんが付与されているスキルはこんな感じ
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職業→村人
力+99999991
察知+99999991
素早さ+99999991
トドメの一撃+∞
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うん、自分でも思うけどチートだよ。
それに最後のトドメの一撃+∞って訳わからん。
なに?トドメの一撃でホントにトドメの一撃になっちゃうってこと?てことは……
あ〜あ…強盗さん昇天しちゃった。後で蘇生付与された飯でも流し込んでどこかに逃がすか……
一心不乱に殴るテルスさんをそろそろ止める
てかどんだけ俺のコーヒー好きなんだよ…まあ嬉しいけどね?
「テルスさーん?それ以上やると原型とどめなくなって蘇生出来なくなっちゃうのでやめてくださいよー」
俺は少し近づいてテルスさんを止めると
「あ、ああ悪かったな…だがブロートさんのコーヒーは三口しかつけれていなかったのだぞ……」
やっぱりこの人は俺のコーヒーが好きすぎる
「後でまたコーヒー出してあげますからね?だから殴るのはやめましょう?」
俺はまるで子供をあやすようにそう言うと
「ホントか!?ありがとう」
と殴るのをやめて席に戻り新聞を手にとってコーヒーを待つことにしてくれた。
俺は先程から煎れてあったコーヒーをコップに注ぎ、テルスさんに出し、壊れた扉を入り口の横に置いて、カウンターに戻りまたゆっくりとした時間を過ごす事にした
やっとゆっくりできる……ふう、今日はお客さんどのくらい来るかな…
田舎の入り口にある看板にはブロードが手作りしたであろうと思われる様な汚い字で看板が立っていた。
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喫茶ブロートはリーズナブルな値段で美味しい料理を楽しめます
最高のステータスをご用意してあなたをお待ちしています。
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感想等、お待ちしています!!